004「吸血姫、妖精さんに恋をする」 



プラチナは焦っていた。

彼女は、ここら一帯を統治する吸血鬼である。

綺麗な銀髪と、美しい肌が自慢な女の子だが、吸血鬼由来の怪力で、銀貨すら握力で捻じ曲げる事ができる。

豚人間なんて楽に倒せる――はずだった。

しかし、現実は水浴びの最中にいきなり奇襲されて拘束され、手足を縄で強く縛られてしまった。

吸血鬼の弱点であるニンニクが近くにあるせいで、力が出ない。

縄にも、ニンニクの匂いがプンプンする。

このまま、豚人間達が、プラチナを担いで巣まで運べば、女性として最低最悪の辱めを受け、望まぬ妊娠を死ぬまで繰り返す事になるのは明白だ。

しかも、豚人間の子種は、一度受精すれば、たった一ヶ月で急成長して、母体から飛び出るくらいに育つと聞く。


(ど、どうしよう……。

不思議な魔法を使う妖精さんは、味方っぽいけど、このままだと僕の人生が、自殺した方が良い感じに、台無しになっちゃう……)


救いなのは、空を自由自在に飛び、次々と豚人間をあっさりと殺した銀髪の妖精(シルバー)さん。

プラチナは銃を見たことがない。だから、高度な魔法だと判断している。


(……でも、なんで、さっきから魔法を撃たなくなったんだろう?

あれなら豚人間なんて簡単に殺せるのに……あ、そうか。

あの魔法はそんなに精密な攻撃ができないんだ。

僕が、豚人間に盾代わりにされているから……妖精さんは迂闊に……攻撃できない……?

僕が足でまといになってる……?)


「ブヒィ!!!今日は厄日ブヒィ!!!」

「さっさと巣に帰って、この娘とイチャイチャするブヒィ!!!」

「ゆっくり森まで全軍後退ブヒィ!!!」


その言葉に、プラチナは冷や汗を流す。

豚人間の数は残り17匹。

巣には、もっと大量の豚人間がいるはずだ。そいつら全員と子作りさせられるのかと思うと、戦慄せざる負えない。


(嫌だ。僕はまだ恋をした事がないのに、純潔をこんな豚に破られるのは嫌だ。

出来れば、格好いい人と、恋愛してイチャイチャして、納得ができる結婚をしたい。

自分の人生が、豚人間ごときにっ!めちゃくちゃにされるなんて嫌だ!)


大人しくしたら性奴隷にされて人生終了。

ならば、やるべき事はただ一つ。

手足を拘束された状態でも、頑張って暴れれば、豚人間達は自分を取り落とすはずだ。


(豚人間って、確か……女性にはエッチィ事するけど、余程の事がない限り、殺したりしないはず。

なら、暴れよう。たくさん。

これで死んだとしても、豚人間の子供を孕むよりは……マシだよね)


豚人間達が、プラチナを担いで森へと走り、後10秒ほどで到達しそうになった瞬間。

プラチナは腹筋に力を込めて盛大に暴れた。

彼女を担いでる豚人間達は、バランスを崩し、足を止めてしまう。


「大人しくするブヒィ!!!」

「夫の言う事を聞かない女は、良いお嫁さんになれないブヒィ!!!」


「だ、誰が豚のお嫁さんになんかなるか!」


「逆ハーレムの素晴らしさを堪能させてあげるブヒィ!!!」

「乙女の夢は逆ハーレムだと、俺は分かっているブヒィ!!! 」

「あとで、女の幸せを徹底的に刻み込んでやるブヒィ!!!」


プラチナが作り出した混乱。

それが彼女を救った。


~~~~~~~~~~

   豚

  豚  豚

  豚  豚

豚 ロリ 豚 豚

 豚


~~~~~~~~~~


空を飛ぶシルバーが、空き缶サイズの中古の音響閃光弾をネット通販で購入。それを豚人間達へと向けて投げたのだ。

豚人間の1匹に着弾した瞬間。

目を眩ませる閃光と耳をつんざく爆発。その二つが場に炸裂した。

豚人間達とプラチナの全感覚が麻痺。その場に倒れこむ。


(な、なにこれ……音と光の魔法っ……?

まるで空気が爆発……したみたい……。

僕の体が動かないよぉ……!)


プラチナは、頭が痛くなった。

だが、豚人間達もそれは同じだ。感覚が麻痺しているせいで身動きが取れない。

シルバーは空から一気に降下して近づき、次々と豚人間を拳銃で効率よく射殺する。

だが、自動拳銃グロック17の最大装填数は18発。

1匹1匹に効率よく致命傷を与えても、豚人間を殺しきれない。

当然、麻痺状態が立ち治り――


「ブヒィっー!!!!大魔法使いブヒィっー!!!」

「怖いブヒィっー!!」


この場から逃げようとする豚人間も発生する。

シルバーは、その背中に向けて、再装填を終えた自動拳銃を向けて撃つ。

大半は見当違いの所に飛んだが、残りの弾丸は豚人間の背中へと当たり、行動不能への追い込んだ。

銃弾は一発でも当たれば、その時点で致命傷だ。仮に生き残ったとしても、銃弾が体に残って傷口から化膿する。

そういう意味で、いやらしい厄介さを持っている。


「逃げる奴は豚だ!逃げない奴はよく訓練された豚だ!」


(しゅごい……。

豚人間をこんなに簡単に殺せる魔法を使えるなんて……きっと有名なんだろうなぁ。

銀色の美しい髪、この世の者とは思えない美貌……あれ?

これってまさか――伝説の大英雄ダーク・シルバー様じゃ……?

世界征服する寸前まで行って、7英雄に封印された偉大なる妖精王だったりする……?)


シルバーは狙いを定めて、効率よく次々と豚人間に、致命傷を与え、動かない豚へと変えていく。

その有様を見たプラチナは、小さな胸がドキドキした。


(こ、この気持ちなんだろう?

危ないところを助けてもらうなんて、今の僕って……まるでヒロイック・サーガーのお姫様みたい。

外見は僕より可愛い気がするけど、すごい魔法使うし……頼りになる男性って事でいいのかな?

でも、シルバー様って、色んな女性に手を出して500人規模の大ハーレムやっていたような……?

ど、どうしよう)


プラチナが、シルバーの圧倒的な虐殺っぷりにウットリして見惚れている間に、豚人間は残り3匹になっていた。

拳銃の有効射程の外にいる上に、森へと逃げ込んだから、これ以上の追撃はとても手間暇がかかる。

ネット口座の貯金が残り少ないから、無駄弾を撃つ余裕がない。

だから、シルバーは自動拳銃を片手に、顔を真っ赤に染め、『全裸のすっぽんぽん状態の』プラチナのところへと歩いてきた。


(す、すごい美少年だよっ……!

美の神様が作ったような、しゅごい美しさだよっ……!)


プラチナも、シルバーのイケメン外見っぷりに圧倒され、顔を赤らめた。

どのように接すれば良いのかわからなくて緊張している。

しかも、今の自分は手足を縄で拘束されているから、エッチィ事されても抵抗できない。


(どうしよう、お礼言わなきゃ。

ここで失礼な女の子だと思われたくないよっ……!

そ、そうだ!こういう時は思った事を全部、口にだそう!そうしよう!)


プラチナは空気を大きく吸い、すぐ目の前のシルバーへと語りかける。


「あ、あのっ!

助けてくれてありがとうございます!

ひょっとして、アナタ様は……暗黒王子のシルバー様だったりします?」


「あ、はい?」


「僕と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか!」


率直すぎた。全裸のスッポンポン状態で、一世一代の愛の告白。

プラチナは、自分が仕出かした行為に気がつき、顔が赤くなる。


(ぼ、僕、何を言ってるんだ!

初対面の人に、プロポーズとか馬鹿っぽい!?

それに、今の僕は裸だよ!?

ひょ、ひょっとしたら、この人に襲われてエッチィ展開になったり……そうなったら、どうしよう)


「え?はいっ?」


この日、二人はカップルになった。





『ちょwwwwww

紛らわしい返事するなwwwww』


『絶対に、この娘、勘違いしているぞ……っ!』


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★9mmパラベラム弾×50 1000円



1000円消費  

残金2万5000円 ⇒2万4000円


主人公(´・ω・`)どんどん命綱(リアルマネー)が減っていく……



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(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html

【内政チート】 戦国時代「情報戦でチートしたいだって!?情報少ないから一番重要なのは判断力だぞ! 」 15世紀

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/5_4.html

【小説家になろう】主人公「教えた文化を改良して発展させる異世界人すげぇぇぇ!」 異世界征服 ~異世界に転移したので略奪スキルで商人を目指していたら世界を掌握していた件~

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_27.html

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