003「妖精さん、裸の銀髪ロリを覗く」  

シルバーは道なき獣道を歩いた。

森は歩くのが困難な上に、死角が多く、獣と遭遇して戦闘になったら銃を使う前に殺されそうだ。

それ以前に、尖った枝に触れて怪我をする危険性がある。


「山道辛い……虫がウジャウジャ。

清潔な都会に住みたい……」


『その羽って飾りなん?』

『妖精なら空べるよな』


「あ」


『自分の利点を忘れるなよ!』

『駄目だ、コイツ。

人間だった頃の感覚で行動してやがるっ……!』


シルバーは、頭が真っ赤になるくらい恥ずかしい気分を味わった。

空を飛ぶ特性欲しさに妖精を選んだのに、その利点をうっかり忘れてしまったからだ。


(俺ってアホなんだな……でも、これで、辛い山道生活は終了だ!)


背中から生えている蝶蝶の羽を震わせた。

そうすると、シルバーの小さな体が空中に浮く。

急に体重が消えてなくなったかのように軽い浮遊感を味わう。


(これが空を飛ぶって事かっ……?

風すら利用せずに、宙に浮けるってしゅごい………)


『すげぇ、まじ異世界。どうやって浮いているんだ?』

『妖精さんの生足がたまらん、ペロペロしたい』


どんどん上へ上へと、シルバーの身体は上昇していく。

今の自分なら、何処までも飛んでいける、そんな気分になれた。

天空から地上を見下すと、広大な森林地帯、そして青い湖が見えて、不思議な爽快感が彼の中であふれまくり――


「俺は天空の支配者さん!」


『調子乗るな』

『俺も妖精になりたいです、安西先生……』

『それ以上、上昇するな!酸欠で死ぬぞ!』


迂闊に上昇しすぎると、酸素が薄い空気層に突入して死んでしまう事に、気づいたシルバーは上昇をやめた。


(人間と体の構造は違うとはいえ、脳みそがある以上、大量の酸素が必要な生物だよな……)


ふと、彼は地上に青く広がる湖を見る――そこに人影があった。


(お、人間だ。

やった、俺の遭難生活終了だぜ)


空からゆっくり近づくと、人影はとんでもなく美しい若い少女だと分かった。

輝く銀髪に、真っ白な肌。水浴びをするために裸になっている。

胸は小さかったが、それがより一層、彼女の完成度を高めている。シルバーはロリコンみたいな感想を抱いた。


「ふつくしい」


『空を飛んでやる事が、覗きですが妖精さん!』

『うほ、良い銀髪ロリ』

『こんな素敵な美少女が、現実にいる訳がない』


木々に隠れながら、シルバーは少女の裸体をじっくり眺めた。

傾国の美女ならぬ、傾国の美少女と言ってもいいくらいに、彼女は美しい。

水に濡れた小さな肢体が、犯罪的なくらいに芸術作品だった。


(なんて素敵な娘なんだろう。

人は外見が9割って言葉があるし、きっと内面も素晴らしい娘なんだろうなぁ……。

あんな娘とイチャイチャできたら、俺の人生ゆっくりできる気がする……)


『なぁ、妖精さん』


「ん?」


『銀髪ロリの近くに、豚顔の化物が20匹くらいいる訳だが?』


「な、なんだとっ……?」


化物の存在を指摘され、シルバーは周りを見渡す――確かに、銀髪ロリの近くの茂みに、竹槍で武装した豚が20匹いた。

ただの豚ではない。

直立二足歩行する太った豚人間だ。

どうやら、銀髪ロリを今から襲おうとしてるようだ。


「このままじゃ、あの娘が危ない……?

殺されちゃうっ……?」


『いや、銀髪ロリの護衛の可能性があるんじゃね?』

『うっかり銃撃して、間違いだったら怖いよな』


咄嗟の事態に対処できるように、シルバーは、自動拳銃グロック17を腰のホルスターから取り出して、手に持ち、ゆっくりと状況を眺めた。

そうすると事態はすぐに動き出す。

豚人間達は、大量のニンニクを銀髪ロリに投げつけ――


「「ニンニクを食らえブヒィィィ!!!」」


「く、臭いっー!」


ニンニクの匂いに混乱する銀髪ロリの元へと、竹槍を強く握り締め、走り出した。


「ブヒィ!!! 邪悪な吸血鬼を退治しに来たブヒィ!!!」

「俺達のお嫁さんにしてあげるブヒィ!!!


『どう見てもレイプ魔です、ありがとうございました』

『なぜ、ニンニクを投げた……?いや、これニンニクなのかっ……?』


「いやぁー!臭いっー!ニンニクはらめぇー!」


突然の事態。そして、ニンニクの匂いに混乱した銀髪ロリは、豚人間達に体を拘束された。

すぐに手足を縄で後ろに縛られ、浜辺に、仰向けに寝かされる。

豚人間どもは、美しい少女を捕虜にした事に大満足し、歓喜の声を上げた。


「ブヒィ!!!吸血鬼が怪力でも、こうなったら無意味ブヒィ!!!!」


「この世の天国を味わせてやるブヒィ!!!!!!」


「ハッピーウェディングっ!ブヒィ!!!」


このままだと、銀髪ロリがどうなるのか馬鹿でも理解できる。

陵辱されるのだ。豚人間の子供を無理やり孕まされ、女として最大限の屈辱を味わい、地獄を見るのだ。

それを理解している銀髪ロリは悔しそうな顔で――


「くっ……!僕を殺せっ!

この命を奪える事を誇りに思え!」


『ブヒィ!!!エロゲーの女騎士みたいな発言とか、最高ブヒィ!!! !!』

『妖精さん、はよ助けに行け』

『こいつら使っている言語が、日本語な件』

『異種姦とか、遺伝子どうなってるの?』


「やぁー!そんな所を舐めちゃだめぇー!やだやだっー!あっー!」


銀髪ロリの貞操が大ピンチだった。

その魅惑的なボディを、豚人間の舌がペロペロと這いずり回り、陵辱5秒前状態。

このままでは、穴という穴に、豚人間の股間のアームストロング砲が突き刺さる事は明白だった。

そんで、白濁なナパーム弾が大量に炸裂するに違いなかった。


(これ、なんてエロゲー)


『可愛いロリ娘が危ない!』

『いや、むしろこの状態を放置したまえ!豚と銀髪ロリとか最高のシチューエションだと思わないかね?』

『妖精さんっ!はよっ!』


「よしっ!

可愛い娘を助けて、リア充になってくる!」


シルバーはそう言って、自動拳銃グロック17を強く構えて、空から降下した。

豚人間達の10mほど上空で停止し、銃口を豚人間に向けて、力強く叫ぶ。


「そこの豚どもっ!

彼女から離れろ!」


「「ブヒィ?美しい妖精さんが来たブヒィ!!!

可愛がってあげるブヒィ!!!」」


豚人間達は、銃を見ても全く動揺しなかった。

恐らく、銃器を見たことがないから、拳銃が『ただの鉄の棒』にしか見えないのだろう。


『はよっ!射撃しろよ!』

『銃はペンより強し!』


銃弾が銀髪ロリに当たらないように、拳銃の照準を銀髪ロリから離れているオークに狙いを定め、引き金を引いて連射。

薬莢内部の火薬が爆発し、勢いよく弾丸が銃口から飛び出た。

豚人間3匹の頭とお腹に、銃弾が次々と当たり、豚どもが痛そうに地面へ転がる。


「ブヒィィィイ!!!

痛いブヒィィィイ!!!」

「魔法ブヒィィィイ!!!」

「強敵ブヒィィィィ!!」


『現代兵器ちゅよい』

『見せてもらおうか、豚の性能とやらを』


豚人間達は、突然の事態に対処するために、シルバー目掛けて竹槍を投げてきた。

だが、元々、投擲武器に向かない太くて長い構造。

空中を動き回る彼に当たるはずもなかった。


(……空を飛ぶのってチートだなぁ。

きっと、竹槍とか当たっても、あんまり痛くないだろうし)


『どんな武器も、当たらなければ、どうという事はない』

『弾丸の再装填を忘れてるぞ』


自動拳銃の複列弾倉をゆっくりと交換。

シルバーは眼下の豚人間目掛けて撃ち放つ。


「ブヒィィィイ!!!

凄い大魔法使いブヒィィィイ!!!」

「空を飛びながら魔法まで使うなんて卑怯ブヒィィィイ !!!」

「女の子を盾にして逃げるブヒィィィイ!!」

「これ以上、魔法を撃つと当たるブヒィィィイ!それでも良いのかブヒィィィイ!!!


完全に勝ち目がないと理解した豚人間達は、「た、助けてぇー!」と叫ぶ銀髪ロリを担ぎ上げた。

銃弾から身を守るために、小さな少女を盾として扱ったのだ。

シルバーは、豚人間どもの卑劣さに、激しい怒りの感情が湧き上がる。


(なんだよっ……!

お前らだって、その娘の事を可愛いと思ったから襲ったんだろう!?

なんで盾にできるんだよ!ふざけんな!)


『なんて卑怯な奴らだ』

『妖精さん、懲らしめてあげなさい』

『これ、地球でもそれなりに使われている戦術だよな……。人類って豚並なのかよ』


シルバーは考えた。

銀髪ロリに流れ弾が当たらないようにして、豚人間どもを効率よく殺す方法を。

拳銃という武器は、近接戦闘武器だ。

遠い標的には当たらないが、近い標的なら当たる。

そして、今の状況は図にするとこうだ。

~~~~~~~~~~

   豚

  豚  豚

  豚  豚

豚 ロリ 豚 豚

 豚


~~~~~~~~~~


(いや……素人の俺じゃ、無理っぽい……?

適当に乱射しても良いなら、ほとんど殺せるけど、あの娘に当たったら死ぬんじゃないかな……?

銃弾って殺傷力高いし、一発でも当たれば死んじゃうだろ、あの娘……)


シルバーが思考を無駄に費やしている間も、豚人間達は、銀髪ロリを担ぎ上げたまま、森の方向へと移動している。

このまま時間を許せば、障害物だらけの場所に移動されて、銃弾を当てるのも難しくなりそうだ。

そうなったら、銀髪ロリに、白濁なナパーム弾が大量に炸裂して、中古品の美少女になってしまう。


(俺、どうすれば良いっ……!?

あの娘を傷つけずに助ける方法ってあるのかっ……!)


『妖精さん、俺、元自衛官なんだが』


「ん?」


『鎮圧用の武器をネット通販(笑)で購入すれば良いんじゃないか?』


「鎮圧用……?」


『殺さずに相手を無力化する兵器ってあるだろ?

それなら、銀髪ロリを殺さずに助けられるはずだ』


シルバーの少ない貯金が、また更に減ってしまった。




--------------------------------------------------------------------------------




★9mmパラベラム弾×50  1000円

★中古のスタン・グレネード2000円


3000円消費  

残金2万8000円 ⇒2万5000円



中古のスタン・グレネード「なお、超至近距離で炸裂したら、やっぱり相手は死ぬ」


妖精さん「!?」



--------------------------------------------------------------------------------




(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html


【小説家になろう】 神様「すいませんでしたぁー!特典つけて転生させてあげます!」 何で主人公が横柄なの?

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_4.html


【内政チート】「俺はドワーフの職人でチートする!」テンプレ

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_93.html

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る