地下帝国大学

奥田啓

第1話

地下帝国大学



大学の午前中の授業が終わるチャイムが鳴った

「さあーお昼だ食堂行こうぜ」飯田がのびをしながらいった

「おー、はやくいかないと席とられるぞ」浅井はせかすようにいう。

「おっけいそごう。」

「隼人は?」飯田がたずねる

「あっ俺ちょっと今日学生会の本部会があるんだよ」

「あっそうかわすれてた。夏はいったから曜日感覚忘れてしまってたわ」

「つかおまえ学生会まだはいってるの?」

「うんまあ・・・」

「あんまいいうわさきかないぞ大丈夫か」

「まあ承知の上だよ。でもまあやめるかもわかんないけど」

「おまえまでへんなまきぞいくらうぞ」

「まあ十分くらってるよ」

「大変だな・・・」

「そういうわけで今日は俺はいくから。午後の授業受ける?会計論」

「あーあれいきたくねぇけど出席あんだよな。」

「おれあれやめたー」

「くそやめられるのずりいな俺と隼人コース必修でやめられないんだよ」

「そうそう、くそむずいのにまじだるいよね・・・おおっともういかなきゃすまん。」

「おっけーおまえ遅くなるの?」

「うんちょっとな。」

「んじゃ席とプリントとっとくわ」

「あんがとなんか飲み物おごるわ」

「おう。」

「んじゃまたあとで」


俺は教室をぬけて

部室棟にいく。

吸い込まれるようにたくさんの人が部室棟にはいっていく。

みんなエレベータをまっているが、

学生会は2階なので1かいのぼればいいだけなので楽だ。

夏の間に改修工事やってようでだいぶおしゃれな雰囲気になっている。

こんなにきれいならあの3号館もボロいのなんとかしてほしいな。

歩くたびギシギシいってるし。

俺は学生会にはいって1年がたった。

最初は緊張してきたが先輩とかも優しいし

部活とかサークルにはいってないじぶんとしてはまあ心強い。

これはいってなかったらほんとうに居場所があまりないなとおもう。

ただひとつ難点なのが会長だ。

見た目すごく美人ですらっとしていてモデルみたいだ。

入学式でふらふらしてたら

学生会の人たちにつかまって

そのなかにしゃべらずおっとりとしたかわいいひとがいて

それにつられてついはいってしまったが、それは常套手段だったらしく

それで何人も釣れたらしいがすぐやめた。

続けているのはごく数人。その中に俺もいる。

会長は初対面は本当によかったのに

だんだん化けの皮がはがれていき

歓迎会の飲みで

うーパールーパーをのみはじめるとはおもわなかった。

意外と塩気があると言って白飯を頼んで

ご飯3杯くっていた

お酒にはめっぽう強く全然つぶれない。

もうあきたから水飲むといって日本酒と間違えて

ごくごく飲んでいたがそれでもなんともないかもしていた。

あんな顔してるのにもう頭おかしい。

でも成績は優秀で首席ではいったらしい。

弁もたつのであれよあれよといううちに会長の座に

すわっていた。

そして会長になると

改革だ改革だといっていつもなにかをかえようとして

大学側になんらかの提案を申し入れしている。

予算があんまり分配されていないのでどうしたもんかと思ってた時に、

全く使ってない空き教室を自分たちの店にしてモノを売りそのお金を予算にあてていろいろ買おうといって大学に申し入れして当然大学は拒否していたが

それを延々とバトってた。

そういうのが毎度本部会で提案されるので

今日は何を提案されるのだろうとびくびくしている。

そういえば最近副会長と書記などをつれてなんかひそひそやっていた気がする。

みんなすごくたのしそうにしていた

それがよけい気味悪い。

へんなのにまきこまれなければいいけど

そうおもいながら2階に着き廊下を歩き、

学生会の部屋につくと

なぜか電気がついてない。

おかしいな、今日本部会のはずなのに。前回出席したときなにもいわれなかったし、メーリスにも変更なんてかかれなかった。

みんな遅刻だろうか。

いやでも一人や二人は遅刻はあれどみんな一斉なんていままでにない

不思議に思いながらドアについている暗証番号を入力し

中に入る。

サプライズでだれかかくれてることを

期待したがやっぱりだれもいない。

電気をつけてあたりをみまわすが

ひとっこひとりいない。

おかしいな。

とふらふらと部屋を一周まわっていたら

俺の専用の机になにかおいてある。

封筒のようだ。

中に手紙がはいっている。

なんだろう。

あけてみてみると達筆な字で

【下に来い】

俺は何も理解ができなかった。

こんなにみじかい文章なのになにひとつ。

下へ来いってなんだよ。

1階ってこと?

よくみるとしたのほうに

なにやら地図みたいなのがかいてる。

部室棟の裏を指しているようだけど・・・・

一応行ってみるか

手紙をしまって外に出る。

1階に降りてエントランスをでて裏にまわる。

裏につくとただのゴミ捨て場が広がっているだけだった。

裏って言ってもなにもないじゃん。

なんなんだよ俺をからかってるのか?

よくわかんねーな。

困っていると

ゴミ捨て場のゴミが積もっているところの裏のレンガがなんかおかしい。

なんか浮いてるような気がする。近づいてみる

なんなんだ。

そのレンガをさわると横にうごいた

「うわっ!!」と声を出してしまった。

さいわいまわりにだれもいなかった。

両手でそのレンガをおすと

ドアのように横にひらいた。

なかにはいれるようだ。

こんなところにへんなのつくってまた大学におこられないのかよ・・・

ぶつぶついいながらなかにはいる。

ひかりがつよいところにでると

そこにエレベーターがあった。

「ええ・・・こんなところにエレベーター?」

一人でおおきめの独り言をいってしまった。

いやでもこんなところにあるなんて怪しすぎだろ。

手紙をみる

【下へこい】

まさかこれのことか・・・?

下のボタンしかない。

上がるようではないのか。

そんなにしたになんかあるみたいなのきいたことないぞ。

怖いけど・・・乗ってみるか。

ボタンを押すと

しばらくしてドアが開く。

割と普通のエレベーターだ。

コントロールパネルをみると

【地下】としかかいてない。

地下ってかいてあるのはじめてみたわ。

ここは数字とかじゃないのかよ。

つかこれおちたりしねよな・・・大丈夫だよな

もう不安しかないが

地下ボタンを押すとエレベータがしまり、エレベーターが下へと移動する。

しばらくしたにいくのがつづく。

下降音だけがエレベーターの中に響く。

ちょっとながくねぇか・・・?

どんだけ下に行くんだよ。

こんなところで一人でしにたくねえよなんだよこれ

永遠に続くんじゃないかという長さのなか

ついに下降がスピードが緩まっていく。

やっとしたか。

チーンと音がして

エレベータのドアが開く。

すると

目の前に地上のような景色が広がっている。

「は?なんだこれ。」

ひとつの都市のようなものがそこにはあった。

しかしところどころ開発中のようで工事をしている

いやいやなんだよ。

しばらくあるいてみると

工事の作業員が何人かいて工具でなにやら作業している。

そのひとりが顔をこっちにむけた

さっきまで一緒に授業を受けていた飯田だった。

「おっきたな!」

飯田はにこにこ笑っている。

「えっおまえなにやってんの」

「いや工事してんのよ」

さも当然のような顔をしている

いやさっきまで一緒に授業っていうか・・・昼飯くいにいったんじゃないのかよ

「いやーいろいろ事情があってさ。そんなことよりおまえ急げよあっちな。」

「え?なにが?」

「本部会あんだろ?あっちだから」

指をさす方向を見ると

立派な建物がある。

「えっあれ?」

「そう、いってこいおれは作業があるからじゃあな」

「じゃあなっておまえ授業は・・・」

飯田はドリルをつかって大きい音をだしているのできこえてない。

なんなんだよ・・・・

とりあえず立派な建物のところにいく。

いろんな疑問があるけどきっとあそこにいったらこたえてくれるはずだ。

少し走り気味で向かう。

扉の前までいくと

立派な表札がかかれている。

そこには

【新学生会】とかかれている。

ますますいみわからん。

こんなのゆめならはやくさめてほしい

俺はとびらをおおきくあける。

すると長机に並びながら座る学生会の面々がいた。

おれはあっけにとられていた。

その中央にすわっているぬしがこえをあげた

「遅かったな。もう始まってるぞ」

いつもの美人で中身が残念な会長が変な口調でいう。

「さあ席につけ」

おれはしぶしぶあいているせきにつく。

すると会長がたちあがり前に出る。

「さあ全員集まったな。きょうあつまってもらったのはほかでもない。最近の大学のげんじょうについてだ。」

なにやら仰々しい始まり方だ

「生徒から不満の声がたくさん学生会に寄せられている。大学の悪しき風習によって悩まされ、健全な大学生活をおくることができないとなげている。わたしはそんな声をひろって日々大学側にとどけていたがまったく聞く耳ももたなかった。一度も現状を顧みてかえようとしなかった。わたしたちは大学と生徒の窓口であり、大学がおかしな方向にいかないようにする第二の組織として機能している。はずだったが、まったく形だけだったようだ。私たちの存在はただのお飾り。なんの力もないことを知った。だけどわたしは大学を変えたいという思いは強くある。ならばどうしよう。学生会ではなにもかえられない。ならば大学を変える必要はない。」

なにをいっているんだ・・・?

いつになく雄弁にかたる。

「わたしたちが大学をつくればいいのだと。そして作り上げたのだこの地下に。ここでわたしたちだけの王国をつくろう。自分たちの望む大学、そう地下帝国大学を」

何を言っているのかさっぱり理解できなかった。

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地下帝国大学 奥田啓 @iiniku70

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