第2話
この春、高校生になったアタシのそばには、ずっとアイツがいた。
タツヤ。
アタシのことを親代わりに育ててくれた、血の繋がっていない家族。いや、血が繋がっていないどころか、戸籍上ですら他人だ。
アタシが産まれる前。両親とタツヤ、そしてタツヤの母親のカヤさんは、家族のように親しかったらしい。
母子家庭で、カヤさんが仕事に出ている間は隣の部屋に住んでいた両親が幼いタツヤを預かっていたのだという。
写真でしか見たことのない、両親とカヤさん――三人は、アタシが産まれる前、産まれた時に死んだ。
母さんが産気づき、仕事を中抜けしてきた父さんの運転で、付き添いのカヤさんと病院へと向かっていた時。雪でスリップした大型トラックが、三人の乗った車へ――。
父さんと、助手席に乗っていたカヤさんは即死。後部座席で横になっていた母さんはまだ生きていたが――アタシを産んで、すぐに息を引き取った。
大事故の中、まだ産まれてなかったアタシだけが、こうして生きている。
タツヤは――そのことを、どう思っているのだろう。
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