第3話 かおすてらーはだれ?



「おし、盗人!次はてめーの番だぜ、盗んだ金を返して貰おうか!いやむしろ食物を置いて行け!」


「いえタオ兄、それはちょっと待って下さい。」


シェインは少年達を見回し指折り数えながらも、「閃きました」と自慢気に、いや、自虐的に笑ったのを恐らく3人共気づいた。


「その前にシェイン達がここに来た目的を話しましょう」


本題に入る為に話の前置きをしようとするが、そこにタオが口を挟む。


「俺らがここに来たのは盗人をとっちめる為じゃなかったのか?」

「別にとっちめる必要はないんじゃ」


タオはぶっきらぼうに吐き捨てようとして、僕が否定するがそれらをシェインは予想外の

言葉で一蹴する。


「カオステラーが何処にいるのか、この想区は何の想区なのか、ですね」


「「!!」」


「シェインわかったの!?」


前置きはしていたが、その言葉は存外簡単に発せられたので、僕達は驚きを隠せなかった。


それと同時に明確な不安を顔に表した、それはいつも感情的にならないシェインには、特に珍しい露骨なものであった。


「”テン・リトル・インディアンズボーイズ”という想区で間違いないと思います、そして”カオステラーが何処にいるのか”ですが・・・」


そして10人の少年を指差した。


「”この中の誰かがカオステラー”という事になります」


シェインはそう言い切った。


「 いやいや、待ってどういう事?それに彼らの誰かがカオステラーって?」


「確信がある」といった表情のシェインに、レイナが困惑して聞き返す。


さらに僕も疑問の持った部分を付け加えるが、それも織り込み済みらしく賛同される。


「でもそれじゃあ、ヴィランが自分達を襲ってるって事になるんじゃ・・・」


「そうなります。当人から見れば調律して欲しくないので、そうなっているんですがね」


「いやいや、全然わからねぇ。シェイン勿体振ってないでちゃんと・・・・おわ!?」


振り返るとそこには、湾曲した短剣の切っ先が首のすぐ横を斬り裂いていた。


「クソッ!!てめーがカオステラーかよ?」


1人の少年は大きく空振りした後、体制を立て直す。


「て、てやッ!」

「レイナ!!」

「キャ!?」


先程タオに斬り掛かった少年とは、また別の少年が今度はレイナに斬り掛かるが、それを

寸前の所で割り込み右腕で庇う。


「お前もカオステラーか?・・・・・ッ!!撤退だ!」


カオステラーは1人じゃなかったのかと、いう所でハッと何かに気づき、大声で叫んだ。


他の誰でもないタオが撤退を宣言した。


それはそれだけで異常事態を意味しており、頭は一瞬で「どうやって逃げるか」という目的に切り替わっていた。


シェインは一足早く逃げる体制に入っており、逃げ道を確保しようとしていた。


「切り抜けます。そこから退くことをお勧めしますよ?」


「僕らもヒクニヒケナイ、いや”死ヌニ死ネナイ”事情があるんでねェ!!」

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