第2話 集まる”じゅうにん”
「とうとう追い詰めたぞ盗人が!盗んだ金返しやがれってんだ!」
「はっはっはー、僕らが全部食ッてやったもんねー、もう金なんて全部使ッてやッたもんねー」
少年達はお金の入っていた袋を逆さにして中に無いことを証明すると、背中に食べ物の大量に詰まった袋を背負い、また街の方向に走り去って行ってしまう。
「また逃げられちゃったけど、このまま追ってもまた繰り返しちゃうんじゃ?」
そう言ってみんなの方を見るが、シェインはいえいえと首を横に振る。
「その可能性は低いです。このまま逃げるつもりなら森を進んだ方が堅実でしょう。街に向かったのは、何かしらの意図があるのでは?」
「なるほどさすがシェイン、んじゃとっとと取っ捕まえよーぜ!善は急げだ!」
タオとレイナは来た道を急いで引き返していき、シェインは「本当にわかったんですかね?」と呟いきながらもその後を追った。
・・・
「えーとココみたいだけど、普通に家じゃないかな?」
そこは木造のどこにでもある家、というより小屋のような所だった。
「ん〜、どうしました?」
「な!?」
振り返るとすぐ後ろにはあの少年が1人立っていて、少年は犬や猫などに囲まれながら胸には兎を抱いていた。
「盗人!中にいたんじゃなかったのか?」
「?また”僕ら”が何かしたの?」
話ながらも少年は、動物達を森に逃がしてやり「じゃあねェー」と手を振った後、家のドアに手をかける。
木製のドアが軋むように音を立てると、中には沢山の少年がいた。
そう”沢山の少年”がいたのだ。
「・・・・・・もしかして君達全員兄弟なの?」
呆気にとられながらも、なんとか言葉を零すと、ひとりの少年が話しかけてくる。
「そうだけど君達は?僕らに何の用ォ?」
「私はレイナ調律の巫女よ、あなた達の中にお金を盗んだ盗人がいるはずなんだけど」
と、レイナは部屋見渡すが、8人も同じ顔が並んでいるのでは、誰が誰かを見極めるのは難しい。
「それは早急に探さなければ行けません、僕らの中に盗人がいるなんてゴンゴドウダンです」
また1人少年が声を上げると、栓を切ったとばかりに喋り出す。
「早く名乗り出ろよ、僕はとッとと外出てェーんだけど?」
「うん、僕も蜂蜜もう無くなっちゃうしィ〜また新しいの欲しい」
「僕も早急に終わらせて欲しいです、さっき議論したばかりですし」
「日もまだ出てるしなァー、僕も外行きたい」
「僕は今来たばかりですから、何が何だか」
「いいですよォ僕は、外には出ませんし、出たくないですし」
「ふァ〜、んむ、眠いですし僕はいいでふ」
「んぐ、あむあむ。ぼくもぐもんッ、ゴクン」
「オイ今言ったの誰だ!犯人じゃねーか。何でこの展開で白状した!」
いつの間にか扉から入って来ていた大量の食べ物を持った少年2人に、タオが胸倉を掴むがシェインがそれを制止する。
レイナはそのシェインの制止に対して疑問をぶつけようとするが、今度はその行動を僕が遮った。
「みんな外から何か聞こえない?」
『ギギャース』
その聞き覚えのある声に、4人はほぼ同時に同じ想像をし家を飛び出すと、家の周りを見たことある影が円を描いていて囲っていた。
「ヴィラン!何でここに?」
「私達か彼らを必要に狙ってる感じはありますね、理由はまぁ分かりませんが」
家の中から、遅れて飛び出してきた少年達はヴィランを認めるとすぐさまナイフを構える。
「やるしかないでしょ、あんた達も手伝いなさいよ?」
「仕方ねーけどやッてやんよ!」
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