RPGの裏側で

@makoto1716

第1話 ニートからの昇格



外では蝉が騒がしく鳴き、

むんむんとした暑さの続く

夏真っ盛りの8月。


しかし俺には関係ない。

クーラー全開の部屋で目を覚ました俺は、

窓から両親の車がないことを確認すると

ドアを開き1階へ降りた。


冷凍庫の中身から

アイス一本を取り出し

口に押し込む。


そして、階段をゆっくり登り、

自分の部屋に戻った。


俗に言う、ニートである。


今年高校を卒業し、

特に進学するわけでも

就職するわけでもなく

ただひたすらに家にこもっていた。


「今日もゲームすっか」


そう、だらしなく欠伸をしながら

日比野 旬 はパソコンの電源をいれた。


「あれ? おかしいな」


電源のスイッチを何度押してもつかない。

旬はイライラしだした。


「くそっ、これも古いからなー、新しいのでも買うか」


久しぶりにケータイを開き

通販サイトを漁る。


しかし、

どのパソコンも届くのに一週間ほど時間がかかる。


「お盆か」


そう呟き、ため息をすると

重い腰をあげ、

身支度を始めた。


旬が5ヶ月ぶりに

外に出る決意をした瞬間である。





「あちーな」


旬は、玄関の扉を開いた瞬間

やっぱりやめようかと足を止めた。

しかし、パソコンがなくてはなにもできないと思い直し、歩き始めた。



「もう無理だ」

家からまだ5分ほどのことだった。

暑さにやられ、

足もおぼつかない。


それから数分後、

ついに、旬は倒れた。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

RPGの裏側で @makoto1716

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る