第三回 夢を叶える為の第一歩とは?


 約十年前、僕は実況者をやる前にニコニコ動画で動画をアップしていた。

 とっても小さな界隈ではあるが、様々な投稿者と交流を持てた。

 その時に将来の夢は「有名な歌い手になって歌手になる」と宣言していた男子高校生だった。

 お世辞にも歌は、平均レベルで恐らく僕とドッコイ程度だ。

 そんな彼と夢を語った事がある。

 僕は夢破れた側として語ったのだが。


 彼曰く、待ちの姿勢が大事だと考えていた。

 歌い手として動画を投稿していれば、いずれは声がかかる。

 もしかしたらバンド結成の誘いも来るかもしれない。

 下手に動くのは失策だ。なら待てばいい、と。


 確かに動画をアップしてアピールするのは良い考えだ。

 今の社会、何かしら作品を上げるという行動こそ意味がある。

 だが、夢破れた人間から言わせてもらえば、待ちの姿勢では叶えられないだろう。

 僕の実体験を踏まえて意見を述べたが、「お前は大人なのにガキみたいな考え方だな!」と罵られ、それ以降交流は途絶えた。

 そんな彼は現在、フリーターを続けて待ち続けている。デビューの切符を持っているスカウトマンを。

 


 さて、待ちの姿勢こそ正直愚策である。

 何故なら、コネクションが形成出来ないからだ。

 コネクションは、ただ動画をアップしただけでは悲しいかな、形成されない。

 それはtwitterだけでも広がらない、つまりリアルが必要になる。

 そのリアルを重視しているかどうかによって、夢を叶える近道になると言える。

 では、リアル重視とはどのようにすればいいか?

 意外と答えは簡単だ。



 コミケ等の即売会を利用する事。



「俺は今でもそれをやってるよ!」


 そういう方もいらっしゃるだろう。

 だが違う。

 ただ売ればいいのではない。

 隣同士になったサークルさんと交流を持って仲良くなる。

 もしそのサークルさんが貴方の作品を「いいものだ!」と判断すると、twitterとかでもそうだがリツイートしたり、何かしら反応がある確率が上がる。

 良い作品を作り続ければ、さらにそれはネズミ算的に広がっていき、プロの耳に入る確率が上がっていくのだ。


 僕は専門学校時代、とある講師の方から貴重なお話を頂いた。


「我々プロは、常に人材を探している。その場の一つとして即売会を活用している。ブログ(当時まだtwitterは流行っていなかった)等はあくまで我々から見たら履歴書、そして即売会は面接に等しい」


 つまり、プロの方もアマチュアや素人の作品に目を光らせてヘッドハンティングをするケースもある。

 もちろんtwitterとかでも仲良くなったり宣伝してもらう事は可能だろう。

 だが、実物を見ないで真剣に宣伝をしてくれる人は皆無に等しいだろう。

 なら、知らない人にもしっかり実物を見てもらう。出来れば同じサークル側で参加する人がいいだろう。

 下心丸見えになるが、互いの作品を広めてくれるという思惑が見え隠れしているが、それでいい。

 相互利益こそ、コネクションの正体であり、正しいあり方だ。


 こういう活動はむしろ、学生時代から動き出すべきだ。

 よく「俺はもう少しレベルを上げてから参加するよ」という人はいるが、もったいなさ過ぎる。

 今からでも動き出すべきだ。

 思い立ったが吉日なのだ。

 僕が夢に破れた理由は、これを怠ったからだろう。


 とにかく、どんどん自分から積極的に動いて、自分を売り出す事に専念すべきだ。

 事実夢を叶えた同級生は、皆高校時代からそういう活動をしていた。

 読んでくれている人はまだまだ若い(きっと)。

 だが時と社会は残酷で、どれだけ学生時代に濃密な体験をしたかを求めてくる。

 だから、今すぐにでも行動に移してほしい。

 それでも行動に移せなかったら、今持っている夢は早々に諦めた方が時間を無駄にしなくて済むだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る