第二回 コネクションを作るにはどうすればいいか?
僕が夢に破れたのは、コネクションを作れなかったのが最大の理由だ。
じゃあこのコネクション、いったいどうやって作ればいいのか?
答えは簡単すぎる。
実力を上げるしかない。
これは声優業界、イラストレーター業界でもそう。
基本的に同レベルの人間とやはり群れを作る。
つまり、血反吐を吐いてでも、実力を高めてその群れの中で仕事を安心して任せられる人間にならなくてはならない。
力があったとしても群れに馴染めないとか諸々の問題はあるが、そこは入口を通過してからの話になるので割愛しよう。
実力があると、どんなコミュ障でも必ず一度は声を掛けられる。
専門学校がどういう場所なのか理解している人間は、自分から積極的にコミュニティーを形成しようとする。
そして利害が一致したら、そこから親交を深めていく。
僕の周りの実力者達は皆それだった。
ちなみに実力がない人間がその群れに行っても、軽くあしらわれるだけだ。
僕の場合、実力は皆無だったがアイディアは面白いという事で一度は誘われた事がある。小説も実際に見てもらったしね。
でも、彼らの群れに加わる事はなかった。
彼らの場合は理想が高すぎた。
「一緒に俺達の手で、アーマードコアのようなリアル対戦ロボット3Dアクションを在学中に作ろう!」
うん、無理だ。
これは頭が悪い僕でも理解出来た。
彼らはネット回線を通じて対戦できるようにしようとしたのだ。
僕は以下の質問をした。
・サーバーの用意や維持費はどうする?
・僕はアイディア以外はてんで底辺だ。どう活かす?
・製作人数は?
・製作期間は?
・最終着地はどのように見込んでいるのか?
返答は、上から順になるが、
・それはこれから考える。
・アイディアを練ってほしい。それ以外は寝ててもいい(おい!)
・最終的には二十人。
・約一年。
・フルボイス且つドラマチックなストーリーを作り、カスタマイズ性溢れるバトルを演出。それを企業に売り込む
さぁ、これが在学中に出来る事だろうか。
所謂、彼等はビックマウスだった。
僕はそれを断って、仲の良い友達でチームを組んだ。
通常友達同士で製作するのは、本当に危険だ。
仲良しこよしでなぁなぁで終わってしまう。何の意味もないのだ。
でも僕達は、偶然にも上手く噛み合った。
僕は一応リーダーとなって色々指示、後はプログラムが苦手なのでHTMLを使用してのホームページ作成や説明書製作、そしてテストプレイとスケジュール管理を行った。
後の人間はプログラムが大なり小なり出来る理数系の頭を持っていたので、プログラムを徹底的に作成。そして最後のグラフィックは、全員で頑張って分担して作成と楽しく終始笑顔で製作出来た。
おかげで卒業前のプロのクリエイターの前で行ったプレゼンは、見事優秀賞を頂いた。これは本当に嬉しくて、全員で泣いてしまった。
僕も褒めて貰えたのだが、これはたまたま友達が実力があっただけ。
僕はあまりにも無力だった。
僕達チームはそのクリエイターさんと話せる機会を頂き、僕は実力がない旨を伝えた。
「確かに君は、正直ゲームクリエイターとしての能力は一切ない」
卒業前にばっさり切られた。
へこんだのだが、言葉は続く。
「しかし、リーダーシップは持っている。これは誇っていい。それに仕事の質は普通程度だけど早さは素晴らしい。そういう人間は最低でも一人は欲しいんだ。それが他のメーカーが望むものだったら、君の前には道はまだ残されている」
結局は今のままでは運頼みという事だろう、という事がよくわかった。
でもこれのおかげで、自分の強みは少し知る事が出来た良い経験だった。
事実、今僕は携帯業界のお店ではたまにリーダーに近い仕事を任される。何とか機能もさせているとは思う。
今の僕があるのは、この言葉のおかげだ。
話を戻そう。
結局僕のチーム内で一番プログラムが出来た友達が、そのクリエイターの推薦によりゲーム会社へ就職出来た。
これも立派なコネクション作りだ。
自分達が製作したものを見てもらい、プロの目に留まったのだ。
僕も少なからずコネクションが出来、その友達のおかげでゲームデバッガーとしてゲーム業界に関わる事が出来た。
プロへの近道。
それは専門学校で教えてもらう事ではない。
専門学校でコネクションを作る、これが最優先事項だ。
意外と親交を深めた友人の紹介で、ってので入社出来たり声優デビューやイラストの仕事が入ってくるという事もある。
出会いは、本当に大切なのだ、現代社会においては。
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