16#生きてる証し

 オオカミのムウガは疲れ果て、その場に倒れてしまった。


 ムウガは、ハアハアと荒い息をした。


 ・・・やっぱり、僕はここで終わるんだろうな・・・家族にも逢えずに・・・そうだよ僕達オオカミは、既に・・・!!




「絶滅なんかしていないよ!」


 ・・・その声は・・・カワウソのソウさんとリーヴァさんだ・・・!!


 「だって、今君がオオカミとして『生きてる』んじゃない?!」 


 「そうだぜ!オオカミ!!」「元気出せよ!」

 ・・・あっ!クマタカのソリッドさんに、ツキノワグマのブーフさん・・・


 「俺達だって、人間に滅ぼされそうになってるけどさあ、俺らなりの『生きてる証し』を持ってるんだ!」


 ・・・生きてる証し・・・?!

 

  「お前さんの風船を家族に見せようとして、追いかけていた情熱…!!あるじゃないか!お前さんの『生きてる証し』が!」


 ・・・えっ・・・!


 「さあ、生きなさい…!!もうあなたは立派な『オオカミ』です!!」


 ・・・あの時の・・・トキさん…!!


 オオカミのムウガの目から止めどなく涙が溢れ出した。


 いつの間にか激しい雨は止み、鉛色の空から光が差してきた。


 「さあ、大空へ吠えてみろ!!」


  脳裏から囁いてきた今まで出逢った仲間達が、オオカミのムウガを奮い起たせた。

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