13#身体いっぱいの風船

 「こんなにものいっぱいのカラフルな風船。父や母や、ボウガやモウガやバルガに魅せてあげたら、喜ぶだろうな。みんな一緒に風船で遊びたいなあ!!」


 ムウガの体自体はまるで風船になったようで、軽い足取りになった。


 しかし歩いていくうちに、段々心配になってきた。


 「みんな、僕のことなんか心配してないかもな・・・だって、誰も見当たらないもん。

 何度も見た夢のように、僕の家族自体が『幻想』だとしたら・・・


  みんな、人間に見つかって殺されていたら・・・先祖達のように・・・

 カワウソ然り、トキ然り、人間に消されたと思った仲間がいたんだもん!この膨らませてくれた風船が、出会った証拠なのに、肝心な家族がいないなんて・・・」



 ムウガは顔を曇らせ、足取りは重くなった。




 とぼとぼ・・・とぼとぼ・・・




 風船の束が歩く。




 とぼとぼ・・・とぼとぼ・・・




 啜り泣く風船の束が歩く。




 かあー!かあー!かあー!かあー!かあー!かあー!かあー!






 


 

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