5#孤独な子オオカミ
「父ちゃん母ちゃん、モウガにボオガ。そして、バルガ。みんなに見せてあげたいよ。
こんな不思議な木の実・・・。
みんなと・・・みんなと・・・。」
そう思うとまた、子オオカミのムウガの目から涙が零れ、鼻面を空高く突き上げて悲しそうに吠えた。
うおーん!
うおーん!
ムウガは、深く息を吸い込むとまた、
うおーん!
うおーん!
と、山々にこだまするように遠吠えした。
うおーん!!
うおーん!!
子オオカミのムウガは、体の空気が抜けるかのようにめいいっぱいの声を張り上げて、遠吠えした。
涙も声も枯れ、疲れはてたムウガは、じっと空を睨んでいた。
すると・・・?
ふうわり・・・
一面の雲でどんよりとした空から、七色の風船・・・木の実がゆっくりと子オオカミのムウガに向かって降りてきた。
「おーい!戻ってきたぁ!!」
ムウガははしゃいだのもつかの間・・・
ばっ!!
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