第7話 なのテクノロジーの罠

説明しよう。

ナノテクノロジーとは


物質の特性を決定する構造(例えば、結晶の大きさ、膜の厚さ、粒子の直径など)の少なくとも一つが、ナノメートル(nm:1メートルの10億分の1)で定義できる大きさを持った物質を創製すること、及びそれらの物質を組み合わせて、コンピューターや通信装置、微小機械などを創製する技術である。(文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターより抜粋)


そして「ナノ」という言葉は、ラテン語で「小人」という意味らしいが

ここでは違う。


第6話に出てきた先生のことを

「なのテクノロジー」(なの技術)第一人者と呼ぶ。



うつらうつらとした授業中。

耳に飛び込んできたのは先生の語尾。

彼は意気揚々と話す。


「今、説明したのがブロードバンドとナローバンドの違い、なの」


なの。

なの。

コートの中では平気…なの。


ッ!アタックナンバーワンッ!?


授業の内容どころではない。

語尾の「なの」が気になる。

気になりだしたら頭の中でエンドレスリピート。


「IPアドレスとMACアドレスってこういうこと、なの」

「BIOSってね、こういう仕組み、なの」


わけのわからん単語より耳をくすぐる「なの」の響き。

研修を受けた長い時間、私は「なの」しか覚えることができなかった。

「なの」テクノロジーの罠。



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