涙のサポートセンター日記

第5話 アルトでOK、ソプラノOK

マイクロソフト（Microsoft）を「ミクロソフト」などというおじいちゃんは

かわいいものですが、ちょっとすました顔の知ったかぶーは困り者。

インテリっぽく言う中堅役職者風男性に多い。

「あー、セキュリティソフトがね、インストロールできねえんだよ」

インストロール？！

どうやって巻き込まれたらいいんでしょう。

お客様のいうことは確認のため復唱しなければならぬこの道。

い、いうんですか…？

ここで「インストールできないんですね？」というのは気まずい。

「セキュリティソフトが（小声で）インストロール…できないんですね？」

と言ってみたが今度は周りから「ニヤ」っとされる。

ああ、そうだよ。

インストロールだよ…。

こっちを見るな！

お客様あっての私でゴザイマス。

こんな私のために生涯「インストロール」を貫いてください。

年配の方の間違いにはそっと小声で復唱しますが

これからの長い人生、それは違うよきみ～と言われないためにも

僭越ではございますが、さりげなく訂正するときもゴザイマス。

フリーズしたときの強制終了。

まずは「Ctrl」+「Alt」+「Delete」キーが基本。

この「Alt」が曲者。

はっきり言ってこんなもん読めなくても生きていける。

ですが、お客様。

「ああ、これね。『アルト』キーね」

はい、ALTと書いて（小声で）オルトキー…でございます。

「じゃあ、押すよ、コントロール、アルト、デリート、同時ね？」

はい、コントロール、…ォルト、デリートです。

「あれ、だめだよ、終了できない」

では別の方法で…

「同時なんだよね？コントロール、アルト、デリート」

もう…いいんです、お客様。

私が悪かったのです。

アルトでOK、ソプラノOK、もうなんでもありです。

人生、生きていけるんです。

今日もどこかで「アルト」キー。