第六章 あの夏への想い

 夏祭りが始まるまでぼくは家で過ごした。これまで遊んでばかりで家の手伝いができなかったので、せめて最後くらいは手伝いたい。そのことをおばさんに伝えると、廊下の雑巾がけの仕事を賜った。それが終われば、お風呂、トイレと家全体をきれいにする勢いで仕事をもらってはこなしていった。でも、掃除で疲れたら元も子もないというおばさんの計らいで、ぼくの仕事は窓ふきで打ち止めとなった。

 その代わりというわけではないけど、帰り支度を済ませておくことにした。大した荷物もなかったからすぐに片付いた。宿題は、父さんにはやったと言ってあったけど、実は一つだけ残っていた。作文だ。

 作文は苦手だ。書く時は大抵テーマが与えられるのに、どう書けばいいのか分からない。特に出だし。ここでいつも詰まる。ただし今回は書けそうな気がする。

 作文のテーマは「夏の思い出」。今年の夏は、本当にいろんな思い出を作った。いや、作り過ぎたと言ってもいいかもしれない。だから、どれを選んで書けばいいのかで悩みそうだ。……これから夏祭りもあるし、さらに選択肢は広がる。

 それは家に帰ってからじっくり考えよう。宿題を鞄に詰め込んで、その上にゲームを置いた。

 片付けが終わると、ついに手持ち無沙汰になった。夏祭りまではまだ少し時間があった。働くことはできないし、かといって作文を書く気にもなれない。

 と、ぼくはあることを思いついた。感謝の気持ちにと家の掃除をしたものの、止められたこともあって不完全燃焼だった。感謝の気持ちを伝える方法は他にもある。ぼくはもう一度鞄を開けて、あるものを取り出した。

 それをし終えた頃には、いい時間になっていた。万が一見つかったらいけないので、完成したものを鞄の奥に隠しておく。

 部屋を出て一階に行こうとしたぼくの背中に、ノリくんの声が届いた。どうやら扉の開閉音に気づいたらしい。

「頑張れよ」

 ただそれだけ。ただそれだけの一言が、他のどんな言葉よりもぼくを勇気づけた。

「うん!」と強く返事をして一階に降りた。

 おばさんに行ってくるという旨を告げて家を出た。

 ぼく自身がそうなっているせいか、遠くで聞こえる祭囃子のせいか、外の空気が浮ついているみたいだった。

 その空気に急かされるようにして、ぼくは学校まで駆け足で向かった。その際、今までどこにそんな数の人がいたんだろうと思うくらい多くの人を追い抜いていった。子どもからお年寄りまで、様々な年代の人が同じ方向に向かって歩いていた。みんなすでに楽しそうだ。

 校門に着くとグラウンドには結構な数の人が集まっていた。喧騒で祭囃子がかき消されそうだ。始まったばかりなのに、もうこんなに……。

 空はまだ明るくて、それだけが唯一の救いだった。今のうちにナツキたちを探す。

 人混みの中に飛び込もうとして、校庭に足を踏み入れようとした時だった。背後でぼくを呼ぶ声がした。

 テツロウと、ケンイチ、ミナミの兄妹が手を振っていた。その中でも、ミナミはピンクの浴衣を着ていて、他の二人よりも目立っていた。

「ミナミちゃん、その浴衣」

「かわいいっしょ」

「うん、似合ってるよ」

「くくく……」

 ミナミの笑い方は、昨日のテツロウのそれだった。思わずくすっと笑ってしまう。そんなぼくにテツロウは、「早かったな」と言った。

「そうでもないよ。人、もういっぱいいるし」

「しまった、今年も出遅れた」

 と舌打ちするテツロウに、ぼくは気になっていたことを聞くことにした。

「ナツキは?」

「分かんねーけど、遅れるみたいだ。ここら辺で待ってようぜ」

 テツロウの提案でぼくたちは隅っこでナツキを待つことにした。その間も次々と人がやって来て、会場はさらに賑わいを見せる。

 ぼくはこちらに向かってくる人たち――特に同年代くらいの女子を忙しなく確認した。あの子じゃない……あの子も違う……。

 ふと、ナツキが他の女子よりも大人びていることに思い当たった。いつも一緒にいたから、そのことに慣れてしまっていた。

 背が高くて大人っぽい人……。今度はそういう人に焦点を当てて探してみる。そうすると、目につくのはやっぱりオトナな女性ばかりで、それもナツキとは少し違うような気がした。

 考えてみれば、ナツキは不思議な女の子だ。

 背が高くて年上のように見えるけど、一緒に過ごしていると同じくらいの年齢に感じるというか……。

 結局、ぼくはナツキの年を知らない。聞いたら失礼かなと思って、今まで聞けずにいた。

 それを意識すると、もう明日でお別れなんだから聞いておきたい気持ちが膨れ上がってきた。どうしよう。直接聞こうかな……。

 と、ぼくは隣に目をやった。ぼくと同じように、テツロウはナツキを探しているようだった。

 そうだ。直接聞けないのなら間接的に聞けばいいんだ。

 おずおずといった感じでテツロウに問いかける。

「あのさ……。ずっと気になってたんだけど、ナツキってぼくたちよりも年上?」

 突飛な質問を受けてきょとんとするテツロウだったけど、すぐに調子を取り戻して言った。

「ああ、そうだぜ。言ってなかったか? あいつ、中一。ユウキが来る前に誕生日を迎えたから、十三歳だ」

「やっぱり……」

「やっぱり? どういう意味だ?」

「えっ、あ、いや……何でもないよ」

 うっかり声に出していたみたいだ。慌てて取り繕う。

 そっか。そうだよね。ナツキは、年上。出会った時からそんな気はしてた。みんなのことよく見てくれるし、優しいし。

 ……でも、何だろうこの気持ち。想像通りだったのに、受け入れられていない?

 ぼくはどうやら、胸を衝かれたみたいだ。

 大したことじゃない。ほんの、ささやかな衝撃。だって、予想していたことだから。でも、そう感じずにはいられなかった。

 ……何でだろう。と考えた時、ぼくの中のナツキが遠くなっていることに気づいた。ああ、そっか。年上だと分かった途端、彼女は完全に見上げる存在になったんだ。

 今までは年齢のことを知らなかったから対等に接してくれていると感じていたけど、実際は年下に接するようにしていただけなんだ。

 結構ずうずうしかったかな。……特にホタルの時とか。

 そうなるとぼくは、羞恥心のスパイラルに陥ることになる。これまでナツキにしてきたことを思い返して、苦しくなる。

 ひっそりと強烈な羞恥心に悶え苦しんでいると、テツロウが声をかけてきた。

「ああ、でも気にすんなよ。あいつ、そういうの気にしないから。だってオレもユウキも、ナツキのこと呼び捨てでタメ口だけど、怒られたことないだろ? まあオレは他のことで怒られたりするけどさ。とにかく、ナツキはそういうことで怒ることはない。だから気にすんな」

 それは確かにテツロウの言う通りだ。でも……。いいのかな、これまで通りで。

 そうやって悩んでいると、テツロウは「あ」と声を上げた。「あれ、ナツキじゃね?」

 ナツキ!?

 ぼくは勢いよく顔を上げた。必死になって人の顔を確認していくと、遠くの方にそれらしき人物が見えた。けど……。

 本当に、ナツキ? 遠くて見えにくいということもある。でも何より、感じる雰囲気が全然違っていた。

 遠目に見るナツキらしき人物は淡い水色の浴衣を着ていた。下駄を履いて、さらに背が高くなっている。髪だっていつもは肩まで下ろされているのに、今日は一つにまとめられていて細い首がむき出しになっている。相変わらずの白い肌だった。いつも一緒に遊んでいたのに、今日までナツキは日焼けをすることはなかった。不思議だ。日焼け止めでも塗っているのかな。

 伏し目がちで口元は少しだけ緩められていて、らしくない表情だった。繊細というか、儚げというか。目を離したら消えているんじゃないかなと思ってしまうほどだった。

 そういうこともあって、ぼくは穴が開くほどにナツキを見ていた。すると、ぼくの視線に気づいたのか、ふっとナツキが顔を上げた。撫子的な姿の彼女と目が合ってドキッとした。

 今までの仕草とは打って変わって、ナツキは「おーい!」といつもみたく手を振りながら駆け出してくる。ぼくの方は可憐に着飾ったナツキを変に意識してしまって、いつもを出せなかった。

 カコカコと下駄が音を立てる。そして、止まった。

「あ、ミナちゃんも浴衣着てきたんだね。かわいい、似合ってるよ」とナツキは開口一番ミナミを褒めた。

「うん……ありがと」

 どうやらミナミも普段とは違うナツキを意識しているようで、珍しく照れていた。

「ナ、ナツキ……。それ」とテツロウが目で浴衣を指し示す。

「うん。お祭りだからね。着てみたんだ。どう? 似合ってる?」

「……に、似合ってる……よな! ユウキ!」

「えっ!? あの……うん。似合ってるよ」

 テツロウは恥ずかしさでぼくに同意を求めたんだろうけど、ぼくとしては助かった。ぼく一人だけじゃ、言えそうになかったから。

「えへへ、ありがと」とナツキは頬っぺたを紅くして笑う。「じゃあ、行こっか」

 う、うん。と頷いたものの、いまだに胸が苦しくってお祭り気分じゃなかった。……大丈夫かな、この先。


 受付でチケットを買ったぼくたちはノリくんの教え通り、かき氷の屋台に並ぶことにした。長蛇とまではいかなくても、すでにかなりの人が順番を待っていた。ぼくたちの順番が回ってくると、みんな好きな味のシロップを選んだ。どれもまだ補充があるようで、希望通りのかき氷を買うことができた。かき氷をすくいながらこれからのことを考える。

「次どの屋台に行く?」浴衣と同じ青い氷の山を崩してナツキが言った。

「お好み焼き食いたい」テツロウはレモン味だ。

「えー。もう本格的に食べるの? 早くない? みんなはどう?」

「僕は遊びたいです」ケンイチはメロン味だ。

「あたちも遊びたい!」ミナミはイチゴ味。

「ユウキくんは?」

「ぼくも遊びたいかな」ナツキと同じブルーハワイのかき氷を口に運んでぼくは言った。

「よし、四対一だね」

「ちぇっ」とテツロウは唇を尖らせる。

「それじゃあ……射的やろっか。今なら空いてるよ!」とナツキはすぐ近くにあった射的の屋台を指差す。

 一番手はナツキだ。前かがみになって狙いを定めている。そして――

 銃口から飛び出したコルク弾は、見事に的の間をすり抜けていった。

「あーだめだ! もう一回……!」

 顔を紅くして必死になるナツキ。そんな彼女を心の中で応援していると、ふと視線を感じた。ナツキから目を外して辺りを見回す。

 絶えず形を変える人混みの中。そこに立ち尽くす一人の少年。

 ユーイチだ。

 あ、と思った瞬間には彼の前を人が通り過ぎて、再び視界が晴れた頃にはもうユーイチはいなくなっていた。

 気になって探しに行こうとしたところに、ナツキの呼び声がかかった。ぼくの番が回ってきたらしい。流れを止めるのも悪いなと思ってナツキから銃を受け取った。思考を変えられないままぼくは銃を構えた。

 射的はみんな惨敗だった。唯一ケンイチが、狙いの的ではなかったけど当てることができたくらいだった。

 次に向かったのはスーパーボールすくい。ただ、隣の屋台で蛍光ブレスレットが売っていて、ミナミがそれに食いついた。すかさずケンイチが他のことに注意を引こうとしたけど、全く意味を成さなかった。

「買おうよ」「だめだ」の応酬が続いた。間にナツキが入ってじゃんけんを持ちかけて、最終的にケンイチが負ける形で勝負がついた。ミナミはもちろんブレスレットを買って、その場の雰囲気でぼくたちも買うことになった。青い光がかっこいい。

 そして、ようやくスーパーボールすくいだ。二人分のスペースがあったのでぼくとナツキが参加する。

「ユウキくん、勝負だからね」といたずらっぽく笑うナツキ。

 その言葉を聞いて、ぼくの頭にある考えが浮かんだ。

「それじゃあ、勝負に勝ったら――」

 勝負に勝ったら、二人で屋台を回ろう。そう言おうとした。でも、ナツキの顔を見ると言葉が出てこなかった。

「勝負に勝ったら?」

「……ごめん、何でもない」

 頭にハテナマークを浮かべるナツキだったけど、それほど気にしているようでもなかった。袖をまくって言う。

「それじゃあ、始めよっか」

「うん……」

 隣にナツキを意識しながらぼくはボールをすくった。たまに腕が触れたりいつもとは違う柑橘系の甘い香りがしたりして、全然だった。

 ぼくとは対照的にナツキは上手で、ぼくなんか敵ではなかった。今となっては勝負に勝った時のことを言わなくてよかったとつくづく思う。

 広げた指の間にボールを挟んでナツキは言う。

「スーパーボールは生きてないからねー。ちょこまか動く金魚すくいは苦手」

 それから二つほど縁日を回ったところで休憩することにした。ただテツロウにとってはここからが勝負らしい。

「よし、まずは焼きそばだな」

 焼きそばは確か頼めば大盛りにしてくれるはず。そのことをテツロウに伝えると、既知の事実だったらしくて、「ったりめーよ!」と返ってきた。

 ぼくとテツロウは大盛りを頼んで、ほかの三人は並を頼んだ。人気の少ない校舎付近の石段に座って食べ始める。

 出し抜けに、テツロウがポケットからチケットを取り出して眺め出した。ほとんどが切り取られずに残っている。

「急がないと全部回れないな……」

「ねえ、てっちゃん。どうして完全制覇にこだわるのよ。もっと好きな屋台を楽しんだらいいのに」

「分かってねーな、ナツキ。引換券のなくなったチケットは勲章になんだぜ。何物にも代えられない、特別な勲章にな」

「何それ、意味分かんない」

「ああ、女子には分かんねーよ。な、ユウキ」

「え、あーうん。かもね」

「えーそんなことないよ、ユウキくん。きっと男の子にだって理解できないことだよ」

「そんなことねーよ」

「そんなことありますー」

「ない!」

「ある!」

 ぼくを挟んで熱い議論が始まりそうだった。居心地が悪くなって逃げ出そうとしたところに、二人の声がかかる。

「ユウキはどっちに味方なんだよ?」

「ユウキくんはどっちの味方なの?」

「ええっ!? 味方!? それは……」

 どうしようどうしよう。どっちの味方につけばいいんだろう。ナツキのことは好きだけど、テツロウだって大切な友達だし……。

 まさかこんなところで苦渋の決断を強いられることになるなんて……。

「ぼくは……」

 ぼくは……。

 その時、ユーイチの姿が頭に思い浮かんだ。少し無理やりだったけど、そっちの方向に話を変えようと話題に出した。

「そ、そう言えばさっきユーイチを見かけたんだ。ユーイチも誘わない?」

「ユーイチって誰?」

「ナツキが声をかけていた男子だよ」

「ああ、あの子。へぇ、ユーイチっていう名前だったんだ。でも、どうして名前を?」

 ぼくはユーイチとアイスを食べたことを話した。

「そっか。そんなことがあったんだ。私、ユーイチくんにひどいことしちゃったなぁ……」

「ひどいこと?」

「うん。夏祭りの準備をしていた時、ユーイチくんにユウキくんの居場所を聞かれたの」あの時のことか。一昨日のことだからよく覚えている。「その時、私みんなのことで悩んでいて、ちょっと気持ちに余裕がなかったの。それで、何の関係もないユーイチくんにひどくあたっちゃった……」

 会って謝りたい。とナツキは言う。

「探すか、ユーイチ」テツロウはすっくと立ち上がって言った。

「いいの?」

「いいのって、もやもやするだろ?」

「……うん」

「じゃあとっとと探すぞ」

 そう言ってテツロウは一人石段を下りていった。ぼくたちも姿を見失わないように、その後に続いた。

 探す、とは言ってもこの人の多さじゃ見つけるのは難しい。ぼくはテツロウを呼び止めた。

「どうした?」

「手分けして探さない? 人が多いから、二人と三人に分かれて探した方が効率がいいと思う」

「そうだな。じゃあナツキ、オレはユウキと探すから、ケンイチとミナミの三人で探してくれ」

「分かった!」

「よし、行くぞユウキ」

「うん!」

 と返事をして駆け出そうとするぼくの背中に、ナツキが声をかけた。

「二人とも、ありがとね」

 ぼくとテツロウは顔を見合わせ、笑い合った。

「校門のとこ集合な!」

 テツロウが走り出したのを見て、ぼくも追いかけた。

「なあユウキ、いつユーイチを見たんだ?」

「ぼくたちが射的をやっている時だよ。少し離れたところからこっちを見ていたんだけど、すぐに人混みに消えちゃって」

「なるほどな。どの方向に消えたかは……分かんねーよな?」

「うん、ごめん」

「となると、片っ端から探していくしかねーか」

 テツロウは「よし」と気合を入れて人の波をずんずん進んで行く。そのスピードがあまりにも速くて、ぼくはついて行くので精いっぱいだった。

 どうしてこんなにも一生懸命になれるんだろう。テツロウの背中を見て思う。やっぱり、ナツキへの想いが強いからなのかな。ナツキのためを想うと、そんな風になるのかな。

 それじゃあぼくは、ナツキのことが好きじゃないのかな。

 いや、そんなことない。ぼくはナツキが好きだ。でも……。前を行くテツロウを見ると、その想いは、もしかすると弱いんじゃないかなと思えてくる。

 テツロウの背中が大きくて、それに圧倒されて、ぼくの足は次第にそのスピードを緩める。……そして、止まった。

 ぼくは、ナツキが好き。好きだけど、ぼく以上にテツロウの想いは大きくて、一途だ。

 ぼくはテツロウには敵わない。

 認めたくなかったけど、認めざるを得なくて。認めてしまった途端、自分が情けなく思えてきて悔しかった。

 下唇を噛んで俯いていると、「ユウキ」と声がした。顔を上げると、目の前にテツロウがいた。

「何突っ立ってんだよ。疲れたのか?」

「ううん」

「じゃあ、どうした? 何かあったのか?」

「テツロウは、どうしてそんなにナツキのためを思って行動できるの?」

 突然の問いかけにテツロウは少し驚いたみたいだった。

「ぼくは……そんなテツロウみたいに一生懸命になれないよ……」

 言ってしまった。テツロウに言って解決することでもないのに。

「オレさ、あれからまたナツキに告白したんだ」

「え?」

「今まで黙ってて悪かった。で、フラれた」

 言葉が出なかった。それどころか、テツロウの言うことが信じられなかった。

「直接嫌いって言われたわけじゃねーし、好きな人がいるとも言ってなかったけど、ナツキが好きなのはお前だ、ユウキ」

「テツロウ……何言って……」

「なあユウキ。俺がフラれたって聞いてどう思った? ナツキがお前のこと好きだって知ってどう思った?」

 テツロウは畳みかけるように尋ねてきた。……そんなこと、言えるわけない。だってそれは、ひどく醜い感情だから。言ってしまうと、自分が本当にひどいやつになってしまう。

「言えよ、ユウキ」でも、テツロウはぼくの目を真っ直ぐに見て要求してくる。「正直に言えよ、本当のこと。言ってみろよ」

 まるでそれは、夕立が降ったあの時のような感覚だった。言いにくくて仕方がないのに、言わないといけないように感じてしまう。喉にきゅっと力が入って言葉を出しづらい。

「……安心した。……嬉しかった」

 これが本当のぼくだ。テツロウがフラれて安心して、ナツキがぼくのことを好きだと知って嬉しかった。……自分がこんなにも醜かったなんて知らなかった。

 テツロウはそんなぼくを殴ってくるだろう。渾身の力を込めて。それが一番ふさわしい流れだから。でも次の瞬間、ぼくは殴られたわけでも、蹴られたわけでもなかった。ただ肩に手を置かれただけだった。

 きょとんとするぼくにテツロウは言った。

「それが紛れもない好きって気持ちだろ。ライバルがいて、そいつがフラれたら誰だって安心するし、好きな相手が自分のことを好きだと分かったら誰だって嬉しい。そういうもんだろ」

「そういうもん……かな」

「ああ、そういうもんだ」

「じゃあテツロウは、僕が告白したとして、どういう結果を望んでる?」

 決まってんだろ、とテツロウは笑う。

「フラれろ」

 その言葉を聞いて自然と口元が緩んだ。ぼくだけじゃなかった。テツロウも、ぼくと似たような感情を持っていた。今はそれが、心の底から嬉しいと思えた。

「ありがとう、テツロウ」

「別に礼を言われるようなことじゃねーよ。むしろこんな話するんじゃなかったと後悔してるくらいだ」

「じゃあ告白に成功して、もっと後悔させてあげるよ」

「お前、この数分で嫌なやつになったな」

「へへ」

「そんな嫌なやつにナツキは渡さねー。だからとっとと見つけるぞ」

「うん!」

 ぼくたちはお互いに頷き合ってユーイチの捜索を再開した。


「もう一周か……。見つかんねーな」少し上がった息を整えながらテツロウは言った。「休憩したらもう一回探すぞ」

「待って」今にも走り出しそうなテツロウを止める。「一度、校門に行ってみない? みんないるかも」

「……そうだな。そうするか」

 ぼくたちは、一時捜索を中断して集合場所に向かうことにした。それでも、歩いている最中は周囲に視線を巡らしてユーイチがいないものかと探した。

 結局、ポケットに手を突っ込んでいる人さえ見つけられないまま校門が見えてきた。

 提灯を吊るした柱の下にナツキたちはいた。ぼくたちに気づいて胸の前で×印を作り、いなかったことを伝えてきた。

「だめだったか……」

 テツロウは呟くと、ナツキと同じように腕をクロスさせた。

 ナツキたちも見つけられなかった。一体どこにいるんだろう。……もしかして、もう帰ったのかな。

 そう考えた時だった。ナツキの背後に見覚えのある帽子がちらついた。ポケットに手を突っ込んで俯いて歩くその人物は、紛れもなくユーイチだ。

 本当なら見つけたことに対する喜びを感じるはず。なのにぼくはそれを感じるどころか、その姿に嫌な予感を覚えた。

「ナツキ……後ろっ!」

 と叫んだ時にはもう遅くて、ナツキとユーイチは激しく衝突した。その拍子によろめいたナツキは、咄嗟に柱に寄り掛かった――それが間違いだった。

 ナツキの受けた衝撃が柱にも伝わり、鈍く重い音を立てながらナツキの方へと倒れてきた。

 誰かが「倒れるぞ!」と叫ぶ声がして、次に悲鳴が上がる。

 ケンイチとミナミはその場から離れることができたけど、ナツキは足をひねったらしくて動けないでいた。

「ナツキ!!」

 ぼくとテツロウは二人同時に叫び、駆け出した。ナツキを助けることに必死で、周りのことなんか全然頭に入ってこなかった。危険を促す叫び声も、悲鳴も、どこか遠くの方で聞こえていた。ぼくの目には、恐怖に支配されて怯えるナツキの顔だけが映っていて、微かに開いた口からこぼれる「助けて……」という声がはっきりと聞こえた。

「ナツキ!」

 柱が地面を叩きつけた。吊るされた提灯がバチッと音を立てて光が消えた。倒れた柱を中心にして、左右に吊るされた提灯も光を消していく。幸い、柱はその一本しか倒れず、残りは耐えているようだった。

「ナツキ、大丈夫か!?」

 ぼくたちは何とかナツキを救出することに成功した。ギリギリだったから少し荒っぽくなってしまったけど、とにかく助かってよかった。

「ありがとう……二人とも」目に涙を浮かべるナツキに、ぼくはハンカチを差し出した。

 そしてすぐに立ち上がってユーイチの姿を探す。……学校の外に、走る彼の姿を捉えた。

「ぼく、あいつを追うよ。テツロウはナツキについててあげて」

「分かった。後は頼んだぞ、ユウキ」

「うん」

 ぼくは全速力で走り出した。

 夜の道を一直線に突っ走る。近づくにつれて、ユーイチへの怒りがどんどん膨らんでいった。あいつは、故意にナツキとぶつかった。ナツキに怪我をさせるつもりでやったんだ。そして、今こうして逃げている。許せなかった。

 ぼくの足音に気づいたユーイチは、これまで以上に速度を速めた。

「待って! ユーイチ!」

 ユーイチも本気で逃げ始めたけど、もう遅い。すでに助走を終えたぼくはさらに加速していった。そして――。

 ユーイチの肩を強く掴んだ。それでもなお逃げようとする彼を押さえようと、胸倉を掴みかかった。その拍子にバランスを崩して、二人とも地面に倒れ込んだ。

 街灯の真下でぼくたちは睨み合った。

「お前、どうしてナツキを突き飛ばしたんだ……」

 静かな空間にぼくの声がやけに響いた。普段お前なんて言葉を使わないから、ヘンな感じがする。

「…………」

 ユーイチは仰向けに横たわって、ぼくに胸倉を掴まれたままで何も答えようとしない。

「どうして……どうしてあんなことしたんだよ! どうしてナツキなんだよ! ぼくに用があるんだろ。だったら……だったらぼくを突き飛ばせばよかったじゃないか……」

「…………」

 ユーイチは何も答えない。そんな態度の彼が許せなくて、ぼくは拳を握った――

「ユー……イチ……?」

 ユーイチの目からは、次々と涙が溢れてはこぼれていった。声も上げず泣く彼にぼくは動揺した。

「ユウキ!」テツロウの声がしたのは突然のことだった。振り返ると、テツロウの他にナツキたちもいた。「もういいから、離してやれよ」

 ぼくは納得できなくてナツキの方を見た。うっすらと微笑みを返すナツキは、まるで「暴力はいけないよ」と言っているみたいだった。振りかぶっていた拳をほどいて、腕を下ろした。ゆっくり立ち上がってナツキたちの元に行った。

「ナツキ、怪我はない?」

「うん、大丈夫だよ。ありがとね、ユウキくん」

 ぼくにお礼を言ってから、ナツキは前に進み出た。声も上げず泣くユーイチを見ても、ぼくみたいに驚いたりはしなかった。

 ユーイチの前まで行くと、ナツキはしゃがんだ。そして、ぼくのハンカチを彼に渡した。

「ごめんね」とナツキは謝った。どうして!?  って言いそうになるのを、テツロウが止めてくれた。「あの時、私がひどいことを言っちゃったからあんなことしたんだよね。私、きみにずっと謝りたかったの。本当に、ごめんね」

 とナツキは深く頭を下げた。

 すると、ついにこらえきれなくなったユーイチが嗚咽を漏らし始めた。

「ボ……ボクの方こそ……ごめんなさい。ほんとはみんなと仲良くしたくて……でも言える自信なくて……。ユウキくんなら話せるかなって思って……探したけど見つからなくて……。ユウキくんといつも一緒にいる人なら何か知ってるんじゃないかなって思って聞いたら、怒られて……。それが悔しくて……それで今日見かけたら、みんな楽しそうにしてるから……。何だか許せなくて……少しだけこらしめてやろうと思っただけなのに、あんなことになっちゃって……怖くなって……ボク……ボク……」

 本当に……ごめんなさい……。とユーイチは泣きながら謝った。

 そこでぼくは初めてユーイチの気持ちに気づいた。

 ユーイチは何でもないように見せていて、実は一緒に遊びたかったんだ。もっと早くに気づいてあげられれば……。

「ううん、私が悪いんだから、ユーイチくんは謝らなくていいんだよ。ごめんね」とナツキは何度も謝った。それに呼応するかのように、ユーイチも謝り続けた。

 そしてようやくユーイチが泣き止むと、ナツキは言った。

「ね、仲直りの証として、みんなで屋台回ろうよ!」

「……いいの?」

「うん。だって私たち、ユーイチくんのこと探し回ってて全然遊べてないんだもん」

「ボクを……探す?」

「そうだよ。謝りたくて、みんに協力してもらってたんだ」

「みんな……」とユーイチは呟く。ぼくたちを順繰りに見て、最後に目の前のナツキを見た。

「さ、ほら立って」とナツキに促され、ユーイチは立ち上がった。「私の名前はナツキ。よろしくね」

「オレはテツロウな」

「僕はケンイチです。それで、こっちは」

「ミナミだよ! よろしくな、ユーイチ!」

「二回目だけど、ぼくはユウキ。さっきはごめんね、ユーイチ」

「ミナミ……ちゃん。ケンイチくん……。テツロウくん……。ナツキちゃん……。……ユウキくん」ぼくたちの名前を一人一人呼んで、ユーイチは初めて笑った。「ボクはユーイチ。よろしく、みんな」

 彼の笑顔につられて、ぼくたちも笑った。

「よし、ユーイチ、チケット持ってるか? 今年は屋台完全制覇を目指してる。お前も手伝え」

「うん、分かった! 頑張るよ」

「お、頼りがいがありそうだ。どこかのユウキとは違って」

「テツロウ。どこかのユウキって、それ全然遠まわしでもなんでもないから」

「うっせー。いちいち細かいんだよ、ユウキは。ほら、行くぞ」

「あ、ちょっと待ってよ!」

 ぼくはテツロウとユーイチの背中を追って駆け出した。振り向いて笑いかけてくるユーイチを見ると、あの時勇気を出して声をかけてよかったと、本当に思う。ノリくんの言う通り、ぶつかってみないと何も始まらない。そのことがよく分かった。

 ぼくたちは後れを取り戻そうと急ピッチで屋台を回った。フランクフルト、焼きトウモロコシ、お好み焼き、たこ焼きなどなど……。。

 ユーイチの尽力があって、ぼくたちは食べ物系の屋台を完全制覇することができた。三人でハイタッチをして、その努力をお互いたたえ合った。

「ユーイチ、お前すげーよ! ほんと!」

「そんなことないよ。……ただ、一つ気になることが」

「何だ?」

「ベビーカステラ、やけに高くなかった?」

 …………やけに高い? …………。

「ああっ!」

「なっ、何だよユウキ」

「そう言えば従兄が言ってた。この夏祭りには一つだけぼったくりの屋台が紛れ込んでるって」

「おせーよその情報」

「ご、ごめん」

「まあ、どっちにしろ買わなきゃいけなかったからいいんだけどな」

 すごい執着心だ。

 それからぼくたちは、ナツキたちと合流して別の屋台を回った。

 こんなにはしゃいだ夏祭りは、初めてだった。何をしてもおもしろかった。くじが当たっても外れても大騒ぎをして、型抜きに夢中になって、ようやくできたと思ったらみんな他のところで遊んでいた。そして気づけば、笑い過ぎて声が出にくくなっていた。

 そんな楽しい時間も、ずっとは続かない。お祭りの終わりが見え始めた頃、ぼくはそわそわと焦り出す。

 ナツキへの告白。今日の最終目的であるそれを、まだできていない。ナツキは少し離れたところで、ヨーヨー釣りをしていた。

 一人の今なら、と近づこうとした時、計ったようにテツロウが彼女の元に駆け寄った。手に持ったアイスのうち一つを、差し出す。ナツキは嬉しそうにそれを受け取って、小さな舌で舐めた。

 思わず、目を逸らしてしまった。これ以上あのペアを見ていたら告白できそうにない。

 そうやって目を逸らした先に、ノリくんらしき人物がいたような気がした。すぐに人混みで隠れて見失った。でも人の波が途絶えると、その人物はまだそこにいた。うん、ノリくんに間違いない。彼の目の前にはショートカットの女の人が立っていて、ノリくんを見上げていた。

 あの人が、マナミさん?

 ノリくんは照れと嬉しさがごちゃ混ぜになったような表情で一生懸命何かを話していて、マナミさんは、微笑みながら真剣にノリくんの話を聞いているみたいだった。

 ぼくも、頑張らなきゃ。

 ノリくんからもう一度勇気をもらったぼくは、意を決してナツキの元へ歩いていった。そして声が聞こえる位置にまで来た時だった。ブツッという拡声器の電源が入るノイズが聞こえた。

「今からビンゴ大会しまーす! 参加したい方は私のところまで集まってくださぁーい!」

 ビンゴ大会……。いや、今はナツキへの告白を優先しなくちゃ。と思ったのに……。

「あ、ユウキくん! ビンゴ大会だって。やろうよ!」

 どうやらビンゴ大会の方を優先しなくちゃいけないみたいだ。


「それじゃあ次の番号を読み上げます! 次はぁーー……? 二十八番!」

 ぼくたちは全員でビンゴ大会に参加した。今リーチになっているのは、ぼくとテツロウの二人だけ。

 番号が読み上げられると、歓声と嘆声が同時に上がる。ぼくは本来なら歓声を上げるべきなんだろうけど、告白のことが頭にあって素直に喜べなかった。

「お、ユウキくんもあるんだね! イェイ!」とナツキはハイタッチをしてくる。

 パン、と乾いた音を鳴らすと、ナツキは怪訝な表情で「どうかした?」と聞いてきた。

「えっと……その……。ぼく……」

 ナツキのことが……!

 というぼくの声を覆い隠して、アナウンスが入った。「七十五番! さあどうですかー。そろそろビンゴが出てもいい頃ですよー?」

「やった! あった! ユウキくんは?」

 ぼくのは……。ビンゴ……。

「ユウキくん!」とナツキはぼくに代わって歓声を上げようとする。だけど、ぼくはその手を掴んで言った。

「ナツキ!」

 名前を呼んでそのまま走り出した。ナツキは驚いていたけど、その手を振り払うことなく

ついてきた。最後に振り返って見た時、テツロウは全てを理解しているみたいだった。

 学校からある程度離れて喧騒が遠くなったところで、ぼくは足を止めた。

「どうしたの、ユウキくん?」とナツキは息を整えながら聞いてきた。

 ビンゴカードを落としてきたぼくは、両手をきつく握って言った。

「ナツキ、大事な話があるんだ」

 そう言うと、ナツキは驚いた表情を引っ込めて真剣さを宿した。「うん、聞かせて」と落ち着いた声がした。

 大きく息を吸って、吐き出した。

 伝える。ナツキへの想いを。

「初めてナツキと会った時、ぼく、思ったんだ。いつもみたいな夏にはならないんだろうなって。実際、テツロウやケンイチ、ミナミちゃんとも仲良くなっていっぱい遊んだ。秘密基地で、川で、駄菓子屋で、学校で。タイムカプセルを埋めて、ホタルを見て、星も見た。ぼくの予想通り、いつかナツキが言っていた特別な夏になった。

 そんな夏に、いつの頃からか……ううん。最初からナツキはいた。いつもナツキがいて、気がつけばナツキのことを追っている自分がいた。

 ぼくは、ナツキに恋をしていた。

 それからテツロウとは恋のライバルになってぎくしゃくしちゃったけど、また仲直りできた。嬉しかった。こうやって、夏祭りをみんなで楽しめて、本当に嬉しかった。だけど……。だけどやっぱり、自分の気持ちに嘘はつけない」

 一度目を閉じた。そして、深呼吸をする。目を開けて、真っ直ぐにナツキを見る。


 ――ぼくは、ナツキのことが好きです。


 静かな空間に、ぼくの声だけが響いた。そよ風が吹いて、二人の髪が揺れる。

 長い間だった。もしかして聞こえていなかったのかもしれないと不安になってしまうくらい、長い沈黙が続いた。

 その後で、ナツキの唇がふっと開かれた。自然と体に力が入る。

「……私、バカなんだ」

「え?」

「星を見た日、テツロウとユウキくんの気持ちを知った日、確かに私びっくりして思わず帰っちゃった。でも、本当は嬉しかったの。嬉しかったのに、自分の気持ちには嘘をつこうとした。だってユウキくんは夏が終わるといなくなっちゃうから。だから、好きになっちゃいけないって思い込んでた。

 それからはみんなでいると気まずい空気になっちゃって、ほんとはつらいのに、その方がみんなのためになるって自分に言い聞かせて。ユウキくんがすぐに帰っちゃうって知った時も、悲しかったけど、これでいいんだって思うおうとした。でも、もう自分に嘘がつけなくなってた。その後でユウキくんは、私たちに会えてよかったって言ってくれたよね。自分の気持ちに嘘はつかないで。すごいなぁって思った。それに今だって、私に好きだって言ってくれた。本当に、ユウキくんはかっこいいよ。だから私も、ユウキくんを見習って本当の気持ちを言います。私も――」


 ――私も、ユウキくんのことが好きです。


 その瞬間、ドンッという音がお腹の底に響いて、視界が明るくなった。ぼくたちは一斉に同じ方向の空を見上げた。

 ……花火。最初の一発目が上がると、次から次へと色とりどりの花が夜空に咲き乱れた。

 夜空を染め上げる花火は大きくてまぶしくて、圧倒的だった。音と振動を伴って、咲き続ける。

 ぼくはふと、ナツキが気になって彼女の方を向こうと――

 その必要はなかった。だって、ナツキが目の前にいるから。ううん、違う。ナツキがあまりにも近くにいるから。……それも違う。熱を測られた時よりも近かった。

 ……ナツキは、ぼくの頬っぺたにキスをしていた。時間にしたらほんの数秒。でも、とても長いように感じた。

 そっと離れて、彼女が微笑んだ時、あの夏の香りがした。


 夏が終わる。ぼくの、特別な夏が。ぼくは、花火を背景にして微笑む夏の少女の姿を、じっと見続けていた。

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