第12話 変態まであと少し
好きです。
声。
そう、私は「声フェチ」の女。
ある日、何気なくゲームしていた。
最近のゲームはフルボイス仕様。
文字を読むほうが早くて声なんて聞いちゃいない。
〇ボタン連打で速攻早送り。
ふとそのとき、登場人物が普通の人だったら寒くて引きそうな台詞を言った。
あたしゃあ、引かなかった!
やさぐれてる心に一滴の癒しの雫が広がっていく。
ここまで堕ちたか、自分。
そう思いながら「乙女ゲー」と言われる婦女子専用恋愛シミュレーションを購入。
「キミが、キミが好きなんだっ!」叫ぶ美しき登場人物。
なにそれ。引く。
こんなことありえねぇし!
チッ、所詮ゲームだな。
堕ちてないことを確認し、安心したものの
何か気になるあのトキメキ。
そうだ、あのゲームだ。
ゴソゴソ取り出し、PS2にセット。
「もう誰にも悲しい想いはさせたくない」
憂いに満ちたせつない声。
こ、これだ。
この声だ。
あたしゃ、この声が好きだ!
よかった・・・誰でもいいわけじゃなかった。
それから、気になるその人をチェック。
いっぱいあります。
さすが声優、人気のアニメもやってます。
こうなったら、とことんハマりましょう、貴方のその声に!
そして。
私の携帯は朝7時と夜12時にアラームがなる。
朝は「起きろよ!ってかもう起きなくていい、寝とけ」などと冷たくされ
夜は「夜の帳が(略)さあ、行きましょう、貴女と私の夢の世界へ」と甘く囁く。
コンチクショウ、最高だぜ。
人には言えない哀れな独身女の携帯アラーム声。
変態まであと少し。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます