第11話 精霊都市のハロー注意報

小さい頃、TVの天気予報を見ていた。

画面に映っている文字は読めない。

気難しいおじさんが天気図の前に立ってしゃべってるのを聞くだけ。


「明日は高波のため、ハロー注意報がでています」


なにっ!?


ハロー注意報?!


波が高いと、外人さんが流されてきて「ハローハロー」と町に出没するのかっ?!

それとも

波とともに異国の風がふいて日本全国「ハロー」が挨拶になるのか?!

日本語死滅の危機じゃないか!

「ハロー」があるなら「アロハ」もあるかもしれない。

それから一生懸命天気予報を見るようになったが

TVの中の背広のおじさんは「アロハ注意報」を出すことはなかった。


それが「波浪」注意報だとわかったのは中学になってからだった・・・。


小学校の頃、自分の住所を書いているときに誰かが言った。

「ここは、せいれい都市だから県名は書かなくて市から書いていいんだよ」


なにっ!?


精霊都市?!


なんと、ここは精霊に守られているファンタジックな都市だったのか!?

火のあるところに精霊が出てきて、火の玉ダンスを踊ったり

水辺には美しいお姉さんが腰かけて、妖しい微笑で手招きするのか!?

それから妖精ものの本を読み漁って、今後に備えたが見ることは出来なかった。


それが「政令」都市だとわかったのは高校になってからだった・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る