第2話 突撃! ヴィランの街

エクス達は街へ向かって、歩いていた。

その後ろを、パンツ一丁のおじさんが付いてきている。

そのおじさんは、エクス達から見て、一歩後ろに下がった状態でいた。

先程の不潔と言われたのが、よっぽど効いたみたいなのか、一歩後ろに下がった状態で付いてきているのだ。

「ここだな」

タオが目の前にある街を眺めるように見る。

タオはそのまま街へ入ろうとしたが、

「待ってくれ」

後ろのおじさんの呼び声に応じて、立ち止まる。

「どうしたの? 」

その声に反応を示したのはエクスだった。

「わしは先程の黒い獣から逃げるために街を出たのじゃ。 なので、黒い獣は街にうろついている。 そのまま、入っても群れで襲われてしまうんじゃないだろうか?」

「それもそうですね」

その問いにシェインが答えた。

「流石に大量に来られると、こちらが辛いですね」

「じゃあ、どうするの?」

そのレイナの問いに五人は頭を悩ませていた。

「正面突破じゃな」

話を切り出したのは、おじさんだった。

「それだと辛いのじゃ……。」

エクスは控えめに言ったが、エクスの言う通りであった。

街はヴィランで溢れている。

そこを正面突破するのは、無理がある。

そう言った顔を4人はおじさんに向ける。

「辛いのは分かっておる。 だが、ここを切り抜けないと、目的を達成できないじゃろ?」

その言葉に4人は黙った。

確かに、ここを突破しないと、カオステラーを倒しに行く事はできない。

「やってやろうじゃねぇか!」

タオは気合を入れるように叫ぶ。

「ここでやらないとな! 他に方法はないんだ! 皆、行くぞ!」

「そうね。 他に方法がないのなら、正面突破で行くしかないわね」

それに同調したのはレイナだった。

残りの二人も同意のように頷く。

「そこでだ。 わしにも剣を貸して欲しい」

「戦えるのですか?」

おじさんの問いに、シェインが尋ねる。

「もちろん戦える! わしは王様だからな! 剣技もおしゃれも一流でなければな! それと、わしの事は王様と呼んでもらおうか」

その答えに、

「タオ兄、姉御、どうします?」

二人は同意のように頷いた。

「新入りさんもいいですね?」

エクスも頷く。

シェインは王様に身長分のある丈のある大剣を渡した。

「うむ。 ありがとう。 これでわしも戦える!」

「その武器についてなんですが、私達の置いてある装備の余り物です。 その銅の剣は耐久性が持つかどうかーー」

「大丈夫じゃ! 城に行けばわしの剣がある。 服と一緒に取ればいいのじゃ」

「剣!?」

剣があると言った瞬間に、シェインは目を輝かせる。

「城に剣があるんですか!?」

「うむ。 わしの剣がある。 だが、その話は後じゃ。 今は城に行く事を考えよう」

「よっしゃー! タオファミリー突撃だぜ!」

5人は街の門を走り抜け、街の中のヴィランに群れを発見する。

4人はそれぞれのヒーローにコネクトし、王様は大剣を構えた。

「わしが引きつておくから、少年君達ははその隙間から、城への道を確保してくれ」

「分かった」

王様が先頭に立ち、ヴィランの大剣の距離を計り、

「うおりゃーー!!」

大剣を振り落とし、ヴィランは紫色の霧を出して消滅した。

「まだまだぁー!」

振り下ろしたを終えた大剣を起き上がらせるように横へ薙ぎ払う。

王様の腕が一流なのは間違いないであろう。

王様を敵対しているヴィランを確実に減らしていく。

「よし! 行くぞ」

4人は守りの薄くなった道へ向かった。 しかし、そこにはまだヴィランが残っていた。

「我が一正義の一閃に倒せぬ悪なし!」

そう言って、ヴィラン達に突撃の槍が刺さる。 そのドン・キホーテの無防備なところはハンプティの剣技でフォローを入れる。 アリスとエイプリルはみんなの後ろからの援護に徹底した。

この連携により、ヴィラン達をある程度減らす事ができた。

これなら行ける!

5人がそう思った時だった。

道路の奥には、二匹のメガヴィランがいたのだ。腕から 羽を生やしており、まるで巨大な鳥人である。

メガヴィランは竜巻を起こし、5人の行く手を阻めようとした。

彼達はメガヴィランの呼び起こす竜巻を避けながら、射程距離に近づこうとしている。

そうはさせまいと、竜巻を起こそうとする瞬間、矢が腕に刺さっていたのだ。

アリスが竜巻を止めるために、二匹のメガヴィランの腕に矢を放っていたのだ。 メガヴィランが体制を整えようとするが、4人は目の前まで近づいており、そのまま4人の餌食になってしまった。



周囲にヴィランがいないのを確認してから、4人はコネクトを解除した。

「かなり多かったですね」

シェインが額の汗を拭い、話しかける。

「まさか、メガヴィランまでいるとは」

タオは予想外の展開で、少し驚いているようにも見える。

「じゃあ、城に入りましょうか」

レイナの言葉に皆が頷き、城に入っていった。

城の中には何もいず、全員は安堵のため息を出した。

「そうじゃな。 ここで休憩とするか。 誰もいないみたいじゃしね」

皆は賛成と言わんばかりに首を振り、

「先程の嬢ちゃん、シェインちゃんだったかの? 武器庫もあるんじゃが、見たいかい?」

「はい! 是非!!」

シェインは王様の言葉に目を輝かせて答えた。

「じゃあ、わしの着替えが終わったら、ここに戻ってくるから」

そう言って、王様は着替えるために上の階の階段を上っていった。

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