第9話 窮屈な想い

 学校も終わって家に帰ってきた。

白玉団子たちとのクエストは、仕事のある人も居るため、明日の祭日になってる。

その日は、両方とも両親も居ないはずなので都合が良かった。

 

 ぼくは今、階段を上がって、夕凪の居る部屋に向かっている。

 部屋に到着して声を掛けた。

 

「姉さんご飯だって」


 返事が無い。

 時間としては、夕凪のことだから勉強をしている頃だ。

 ぼくの部屋とは隣り合っているので、部屋を出たなら気配で気づく。

 部屋に入ったきり、そんなことは起きていないようなので、夕凪は、部屋の中に居るはずだ。

 

 ドアノブに手をかける。

 

「入るよ」


 ドアを開くと、涼しさを感じた。

 早速見えたのは開いた窓と、揺れるカーテン。

 ベッドの上で夕凪は無防備を晒してる。


 あまりに心地が良くて、そのまま、と言ったところか。

 ぼくは、そっと近づいた。

 胸が上下に揺れている。

 とても静かな寝息だ。

 よれたキャミソールの肩紐がだらしない。


 ぼくは、どうしてか、夕凪の顔を見つめていた。

 吸い込まれるような美顔だ。

 夕凪に自覚はあまり無いようだけど、整い過ぎてる。

 よくあるギャルゲーの設定で、姉弟でも血が通ってませんでした、と言われたら、信じるかもしれない。

 夕凪の、厚ぼったい、ももいろの唇から吐息が漏れた。

 目が離せない。

 夕凪の唇はどんな感触ななんだろう。

 駄目だ危険な考えたに陥ってる。

 いい加減に起こそう。


 右手2本の指を使って、自分の唇に触れた。

 それから夕凪の唇に触れる。


 気づいたときには、そんな行動を取っていた。

 感触は覚えていない。

 さっと手を引く。


 夕凪が、身じろぐのが見えて、心臓が破裂する思いで部屋を出た。


「広太?」


 夕凪の声がする。

 さすがに姿を見られたのかもしれない。

 

「ご飯だってさ」


 言い訳みたいに言って、ぼくは立ち去った。


 本当に頭がどうかしてる。

 実の姉に、やっていいことじゃない。

 そんなこと分かっているはずだ。

 そのはずなのに。

 ここまでだったなんて、思ってなかっただけだ。

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