第4話 甘酸っぱい季節
そんな1年生を経て2年生になった。
2年に上がる際もクラス替えが行われ、せっかく仲良くなったクラスメイトとも
離れ離れになり、新たな顔ぶれがクラスに揃った。
ふと、同じクラスに部活の先輩の弟がいた。
同級生だということは、姉である先輩から聞いていたが
同じクラスではなかったため対面したのは、教室に入った時が初めてだった。
特に気にも留めず、体育祭が近づく5月まで時は流れた。
体育祭の準備を始めて、クラスメイトとの交流も増えた。
特に誰かと仲良くするわけでもなく、黙々と作業することが増えた。
先輩の弟であるBは、サッカー部のエースで同じ小学校出身の女子にはもちろん
出身校関係なく男子にも人気の姉の先輩に似て明るく元気な青年だった。
いつも取り巻きがいる感じで「青春謳歌してるな~」と俯瞰で見ていた存在だった。
「彼女いるんだろうな」と客観的に思っていた。
人気者だったし、今でいうイケメンだった。
姉である先輩も美女で快活で生徒会役員もやる憧れの先輩だった。
憧れる先輩の弟だったからなのか、クラスのムードメーカーだったのか
私はいつの間にか目で追っていたような気がするが、今となっては分からない。
そんなある日
休み時間に教室に戻ろうと横着して3分の1ほど開いた隙間から入ろうとした。
すると同時にBが廊下に出ようとした出会い頭でぶつかってしまった。
軽く互いに吹き飛んだ。
「ごめん!」
「ごめんなさい」
私の顔がみるみる赤くなる。
謝罪もそこそこに慌てて自分の席に戻ろうとする私。
心配したBが後ろから
「(筆者)さん、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。ホントごめん」
目も見ずに謝る私。
教室内にいた男子が
「わざとだろB」
と茶化す。
「違げーよ」
と赤面するB。
ちょっとザワつくBの取り巻き。
何が起こっているのか、分からない私。
「え?何??」
と野次馬が増え始めた時
そんな空気を知らずに入ってくる先生のおかげで
空気が一新され授業が始まった。
その後の体育祭の準備中も他の男子に押されて
飛ぶように私のそばにやってくるB。
中学生特有の「付き合っちゃえば」的な行動である。
前回のHの時も同じだったけど、自分から行動を起こさない男が嫌いだったのか
はたまた自分は責める方が良かったのかは、今となっては分からないが
そんなBの姿を見て、私はBを避けるようになった。
「私の気のせいだし」
そう言い聞かせ、Bの背後に感じる他の女子痛い視線を避けるように
私が身を引いて終わった。
あんなに人気ものだったし、きっと私も好きだったのかもしれない。
でも今も思うのだ「あれは、私の勘違いだった」と。
結局のところBの気持ちは聞いていないし、
茶化した男子たちも一過性のものだったんだろう。
体育祭が終わるころには、すっかり教室は静かになった。
Bとは、クラスメイトとして中学生活を終える。
きっとイケメンだったし、中学生を謳歌して
彼女もできて幸せな中学時代を終えたのだと思う。
そうやって私も無事に中学時代を終えるのだろう
と、思ったのだが、秋になり席替えをしたことで事態は一変した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます