第3話 かき消す言葉
中学生になると部活動で忙しかった。
先輩たちとも打ち解けて来た1年生も終わりに近づいた時
とある女友達から遊びに誘われるようになった。
その子は、小学生の途中から転向してきた子で
名前も1文字違いで意気投合して仲良くなったが
中学に上がってクラスが一緒にならず遠のいていたMだった。
久々だし楽しみにしていた待ち合わせ場所には
Mの他に男の子KとHがいた。
大して気にもとめず、遊んでいると帰り道でMが
恋愛に関して知識ゼロな私に言った。
「私、Kのことが好きなんだよね!
だから協力してくれる?」
経験はゼロだが、友達だから協力してあげようと思った。
その日を境に、何度かKとH、Mと私という男女2対2で遊ぶことが増えた。
実はHとは小学校が一緒で自宅も近所だった。
HもMと同じで転校してきた子だったが、Mと同様気が合う友達の1人だった。
ただ、中学生になり男子と遊ぶ機会が減り疎遠にはなったが
Mのおかげで元の関係に戻り、小学生のころにもどったような気がして嬉しかった。
今振り返ると、その時 私はHのことが ”好き”になりかけていたのだろう。
でも、ある言葉をきっかけにそれは瞬時にかき消されてしまったのだ。
しばらくすると、KとMが付き合うことになり私の役目は終わったと
安心していた帰り道での出来事だった。
Mが私の腕を引っ張り、道の脇にそれたかと思うといきなり言った
「Hがね、(筆者)のこと好きなんだって!」
その一言だけいうと、彼氏となったKのもとへと行ってしまった。
Kと仲良く歩くMを視界に入れながら、Hと歩く。
気まずい・・・
たまらずイチャつくMに近づいて
「私、今恋愛とか眼中にないから、無理だよ」
と言うと
「えーなんで?Hがそれでもイイ!俺が振り向かせてやる!って言ってたよ」
グループ交際ってヤツがしたかったのかMはとてもはしゃいでいた。
私はその”俺が振り向かせてやる!”の言葉に一気に冷めた。
「それが無理、帰るね」
私はHに告白のチャンスさえ与えずに3人を置いて家に帰った。
その日からしばらく、極力男子を避けるようになった。
今思えばそれは、仲の良い友達から、
その一線を越える友達を作りたくなかったのではなく
ただの”思春期”の一つだったのだと思う
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