タイトル一つで……! 『ミルクメイド』

 さる4月30日。

 大阪市立美術館のフェルメール展へ行って参りました!

 噂によると、『東京と違って、がっかり~! めぼしい作品が来てないし~』と言われた大阪展だが、それでもものすごい、ひと、ヒト、人‼ 

 わたしと、同行した妹は事前にチケットを購入していたので並ばずに済んだが、あれ、並んでたら何分くらい待つ羽目になったのだろう……。

 もはや過去の、しかも仮定の話はとにかく、タイトル一つで、である。

 

 その絵の名は『ミルク・メイド』

 

 安定のフェルメール。おそらくフェルメールの絵としては、二番目か三番目くらいに皆様お馴染みの絵ではないだろうか。

 そのお馴染みの絵を見て、わたしが『おっ?』と思ってしまった理由。

 それこそ、『ミルクメイド』というタイトルなのである。

 思い起こせば、フェルメールがその名を日本に知らしめたのは、およそ二十年ほど前、フェルメール・ブルーと共にではなかったか。

 当時、本屋でアルバイトしていたわたしは(おおっと、年がばれる……。そうよ、わたしは昭和後期の女)、『へえ、確かにきれいな青だな』くらいの感想しか持たなかったが、この当時、この絵のタイトルは『牛乳を注ぐ女』ではなかったか? (調べたところ、『牛乳を注ぐ召使い』としている書籍もあったが、わたしには長らく、この絵は『牛乳を注ぐ女』として記憶に刻まれていたのである)

 

『牛乳を注ぐ女』であったときは、家庭の主婦に見えていたこのひとが、『ミルクメイド』というタイトルを目にした瞬間、わたしの中で仕事に従事する若い女性に変わった。

 

 小説同様、絵も『タイトルが物を言う』を、ひしひし感じた一枚であった。

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