英雄と外道 4

聖女が嗤う。天使を軽く消滅させた事実、英雄を殺した事実。怪物の配下の力のままを見せつけられれば、言葉は一つ。




「すごいな、尊敬するよ。英雄ベルナット殿を殺したばかりか、天使すらも相手にならない」




 肩をすくめて、聖女は嗤う。聖女は英雄にしか見えていないはずだ。だがそれでも語る。聖女の言葉は雲には届いてないはずだ。だが伝えるために口を開く。




 聖女の希望の分身体は呼吸などしない。だが日常で行うものは、分身体でも無意識的にしていた。聖女が呼吸もどきをしても、空気などは体内に入らない。あくまで分身体の映像がそう見えるだけでしかないのだ。






 実際雲には聖女が何をいっているかは聞こえない。聞こえるのは聖女が会話し、この空間に満ちる悪意が雲に文章として伝えるだけなのだ。どういった声の音量すらもわからない。音量がわからなければ、声に含まれる感情がわからない。






 だが雲は悪意から伝わった言葉をうのみにした。文章のみであるし、姿なぞ気配でしかわからない。悪意が教えてくる気配と文章による通訳。








「・・・てんしなんか・・・ぼくのあいてではない」






 普段よりも低音の中年ボイス。子供の無邪気な笑みを浮かべて、漏れ出すものは自信の証明。大人の余裕を声が伝え、それをもたらす子供の姿がギャップを生む。










 聖女はそんなギャップを気にした。正しくは全てを気にした。アラクネが人語を喋る点。怪物に従う点。英雄を倒す点。天使を消滅させた点。この悪意の領域についても色々気にした。




 だが気にして、口には出さない。




 正しくは口に出す暇がない。






 聖女を包まんとする悪意。天使を消滅させた悪意たちが今度は聖女の領域にまで浸食してきていたのだ。この場における希望の感情。それは雲によって聖女をこの場にとどめるためのもの、呼び出すための餌。入り込めないとしると余計に知りたくなるのが人間の性。その人間の性を極限にまで高めさせたのも雲。聖女が英雄と怪物の戦いを見たくないわけがない。隠されたステージで繰り広げられる戦いを観察したくないわけがない。






 全ては雲の手のひら。










「せいじょさま」




 雲は歩き出す。悪意から伝わる聖女の気配。見えなくても声は伝わらなくても、意味だけは通じる。悪意という第三者が教える情報。ネットを通じて、世界の情報を知る。現代人と何も変わらない。聖女は希望という感情で世界の感情インターネットにアクセスしているだけに過ぎない。聖女とは、現代人のゲームでいうなれば、プレイヤーみたいなものだ。主人公を操作し、誘導し、戦わせ、決められた役割を代行する。






 だから強い。聖女は自分の本体は本拠に置き、分身だけを世界に送り込める。卑怯だといえる。間者は命を懸け、現地に潜入し情報を伝える。アサシンは敵地に忍び込み、相手を殺す。戦士は戦場にて、相手を殺す。誰もが命を代価に結果をもたらしている。






 貴族ですら王族ですら命を奪うための決断をしている。守るための見せしめをしている。






 聖女だけが、第三聖女だけが理が外れている。








 雲は歩く。聖女は近づいてくる雲に対し警戒も持たない。周囲を埋め尽くす悪意たちが聖女を押しつぶしても分身だけが消えるのみ。命も怪我も負うことが無い。リスクをおわずに現地に立つ。




 消えても、消されても、また来ればいい。








 雲と聖女が正面に立つ。手を伸ばせば届く位置。聖女は動かず、雲は足を止めた。逃げる気など見せないし、逃げさせる用意すら雲はさせない。








 雲はただ聖女の顔があるという位置に視線を向けた。実際悪意からの情報だけであるが、それでもいい。とにかく見つめた。何もない虚空を見つめている感じであるが、きっと違う。






 聖女は確かにいる。




 雲は手を伸ばす。蜘蛛の複数の足をぴんと張り立たせ、背を伸ばすようにして聖女の顔のところまで手をのばす。実際見えない。だが手を伸ばし、聖女の頬の部分を掴んだり、透き通ったりする。聖女は実態が無い。だから触れても手は通り抜ける。触れた感触なぞ何もないし、空を切っているようにしか感じない。




 雲は無邪気に手を伸ばし、聖女は無表情のごとく見下すのみだ。冷笑という見下しを聖女は見せつけるが、雲には伝わらない。何をしているんだという行動の疑問すら持っていようと口を開かない。








「・・・なるほど」








 雲はそうして手を伸ばすのはやめた。足を延ばすのをやめ、普段の立ち姿勢に戻した。




「満足したか?」






 聖女はただ問うた。何をしたかったのかすらわからない。だが実態があるかどうかを確かめたかったのかもしれないという素朴な答えで片づけた。見えるのにいないという事実は、誰にも理解しがたいことだ。




 凡夫なものが平凡なものが思う事実を、このアラクネも思ったというだけのこと。






 そう思い込まされた。気付けば雲の手は聖女の腹部を貫通していた。痛みなどない。実態もないのに本体もないのに痛みなどあるわけがない。






「私には触れない、結構面白いだろう」






 面白いといいつつ、聖女は面白くない。笑いも嗤いもなくなって、無へと転じた聖女の表情は氷そのもの。冷酷で残酷な世界を弄ぶ外道な一面が表へと少し出ていた。見るものを震え上がらす、棘上の表情。




「・・・きみはばかだね」








 見下す奴に、雲は見下し返す。




 自分が安全であるからこそ、偉そうにするのはよろしくない。関わりのないことに安全領域から文句をつけるのはよろしくない。




 英雄は強く、命を落とし掛けた。ベルクの人々、実際はベルクに潜んでいた敵対者の一員たち250人ほど動員。250人の命を懸け英雄から油断を奪い、誘導させた聖女のおかげで隙を生む。250人を溶かして作り上げた悪意の領域にて英雄を撃破。






 これは被害の大きな戦いだ。




 雲は命を懸けた。




 英雄は命を燃やして消した。






 聖女のおかげで勝てたとはいえ、聖女の事を好きではない。




「そうか、私は馬鹿か。だがお前はもっと馬鹿だな。人を馬鹿にする奴は、更に馬鹿だという名言を知らないようだしな」




「・・・へりくつだ」








「お前では私を殺せない。お前は私に触れて何がしたいのかわからない。だが言っておくぞ、お前は私を害せない」






「・・・しっているよ」






 単なる事実。雲では、現状聖女を傷つけることなどできやしない。だが雲は聖女を傷つけるつもりなんてものは何もないのだ。






 片手が聖女の分身を突き抜けた現状。






 それだけで十分だった。






「・・・だからきみたちは、ばかなんだ」






「頭の悪い奴だな、人を馬鹿にする奴が・・・なっ!!」




 聖女の余裕そうな表情が止まる。全てを見下し、最低な結末を弄ぶ聖女の顔がゆがむ。痛みではなく、害ある行為でもない。






 ただ雲の突き抜けた手から生じる違和感。






「・・・ごくろう、もうきみはようなし」






 雲は聖女の分身から片手を引き抜いた。引き抜いた手は何かを握るような形だ。それを軽く振り回すようにし、そして口に放り込んだ。






 聖女の分身にノイズが走り出す。ザッザッと音を立てるような砂嵐が聖女の分身を汚し、形を足から消滅させていく。悪意で消滅させたものじゃない。痛みが無いのに息苦しい。息を分身はしていないのに、肺が重苦しい。




 熱を生じたように頭が重い。










「せいじょさま、きみはだれよりも、よわい」






 聖女は強い。能力の規模からみて、世界に希望があればいつでもアクセスできるのだ。だがそれを雲は弱いという。






「それがどうした。私は弱い。誰よりもそんなことは知っている」






 消えかけでも開き直るのはやめない。上から目線をやめない。雲が知るよりも自分が弱いと認めることで上に立つ。聖女は諦めるのではなく、必ず上に立とうとする。






 雲の右手が自身の右目を覆い隠す。時間として一分。呆れた部分と呆れていない部分、その両方を雲は表情にも出さず、ただ見下した。聖女を見下すように馬鹿にし、聖女も雲を上から目線で馬鹿にする。






 悪意が聖女を包む。用が無いといったときに悪意は聖女をけそうと行動を起こしている。だから間もなく姿を消すだろう。






 そして聖女が掻き消える瞬間、雲は隠していた右目をさらけ出す。






 その右目は蒼き正常なる希望を携えていた。もともとあった悪意からなる赤い目がなくなり、その右目は蒼く色を変えていた。






「!!!!!!」




 聖女の目が驚愕に開く。口が開いては言葉を出せず、雲の右目を凝視する。その右目には確かに希望を携えた善意なるものが秘められている。






「・・・ごくろうさま、きみのおかげで、・・・きぼうがてにはいった」






 聖女には害はない。先ほどの腹部に手を貫通させた行為には害はない。ただし、二つほど問題がある。聖女が違和感を感じた点だ。雲は希望の分身体から希望を奪った。希望の分身たちは現地の希望によってのみ構成される。だからそれをまず奪った点。あと一つ、希望を奪うだけでは運用できない。活用できない。






 だから希望をどうやって集めて、形にしているのか、構造を知らなければならない。このベルク悪意領域を発動した理由、英雄撃退ともう一つ聖女の力の秘密を探ることなのだ。








 聖女の頬を触ろうとした点は油断を誘うため。触れるかどうかを実際試したかったのもあるが、目の前で子供が自分に触れようとしている点、触れられない相手に何をされようとも気にしないという大人の余裕を利用。腕を突き刺しても、痛くもないことによる慢心を利用。そもそも希望を奪おうとするなんて予想外の利用。








 腹部に貫通させた手から希望を集め、纏めて、運用する術を全てコピーした。術式などではない。悪意を運用できるのだから、少し構造をしれば善意も操れるはずという無茶理由による動機。




 大よそ善意85人。




 この85人は雲が使い潰したベルクに潜んでいた間者250人の力だ。死んだ人間より集まった魂はマイナスであるが魂は魂。悪意に溶かした魂と肉体の中でも希望に転じるものがある。溶かしきれなかった魂もある。その収穫をしれば問題はない。




「あり得ない、私以外に希望が操れるなんて・・・」






「せいじょさま、さようなら」






 愕然としているのか、上から目線の聖女は、さすがに驚愕と衝撃による心理的ダメージが深い様だ。自信満々、もしくは対外的に見下す表情が温かみを示している。熱を帯びて、目を見開いているのだ。








 どうやって。




 どうして。






 その疑問が浮かび上がり、そして表に出ることもない。






「待て!!!」






 雲が聖女を掻き消す瞬間、制止の声が聖女からあふれだす。焦りと疑問による知識への熱意。誰よりも見下し冷酷な聖女が感情の色を帯びて、声を上げるのだ。








 だが無慈悲な雲はそれを無視。






「ばいばい」






 雲は片手を軽く振る、さようならといった手を左右に振る。そして悪意が雲の動作と共に聖女の分身体を掻き消した。あっけない終焉である。英雄ベルナットは強く策を持たなければ勝てなかった。聖女と人々を利用しての戦いでようやく勝利した。聖女は油断ばっかりで余裕だった。








「げーむはおわっていない」






 左目に地獄の叫びを生じる悪意の感情。左目に聖常な喜びを上げる善意の感情。左目と右目はそれぞれ色を変化させ、オッドアイと呼ばれる状態になった。両方の感情を持ち、それを耐えるための強固な肉体も手に入った。






 英雄の心臓。






 もう一つ足りない。








 雲は英雄の元へと歩む。聖女を撃退し、英雄の死体の元へと歩み出した。悪意の霧は晴れていく。一歩踏み出すたびに悪意の霧は消えていく。聖女を寄せ付けない程度の悪意を残し、外から木漏れ日が闇を突き刺していった。






 英雄の元にたどり着いた。だが用があるのは英雄じゃない。英雄の近くで転がるジャッジメントだ。雲はジャッジメントの前まで歩むと、身をかがめた。指で持ち手をつつく。






「えいゆうべるなっとのぶき、きみはいしきをもっている。たんとうちょくにゅうにいう、しね」






 雲はジャッジメントをゆびで小突きながら言う。感情など秘めることもなく、ただ無表情でありながらジャッジメントに死ねという。






 むろん、ジャッジメントの答えは否である。






 当たり前だろう、死ねといわれて死ぬ奴はいない。






「きみがしねば、えいゆうはえいゆうのまましなせる。えいゆうのはかもつくろう、えいゆうのかつやくをえがこう、えいゆうはえいゆうであったとみとめさせよう。えいゆうべるなっとは、かいぶつさいだいのてきとせんでんしよう」




 指で雲は小突く。






 ジャッジメントの答えはなかった。この程度で自分の死を認める生命は馬鹿であろう。他者の名誉のために自分の死を選ぶ。そういったものを人間は馬鹿という。




 だが、ジャッジメントは悩んでいる。答えは否であったが、英雄の名誉は守りたい。








「きみがこばめば、えいゆうのめいよはどうなるか。あんまりすきじゃないが、きみがしなないのであれば、えいゆうのめいよ・・・ちにおとす」






 雲は指で小突く。人差し指、中指を交互に小突く。






 ジャッジメントは人からもらえる名誉などに価値はないと思っている。だが英雄ベルナットが他者から侮辱されるのは腹に立つ。




 だからこそ、聴いてしまった。ジャッジメントは語らない。口を持っていない。だが雲が指で触れている間は、ジャッジメントの意志は雲に伝わる。






 自分が死ねば、英雄の価値は守られるのか?








「むろん・・・やくそくするよ・・・・きみたちをぶじょくしたものは・・・ぼくが・・・せきにんをもってたいしょする」








 雲は約束を破らない。雲は英雄を侮辱しない。ジャッジメントは雲のねじ曲がり具合を知っている。英雄の死体を傷めずに殺しきったのも知っている。








 だからもう一つ聞きたいのだ。






 ジャッジメントから見て雲は魂の宝庫だ。左目に悪意、右目に善意。先ほどの悪意まみれの両目とは違い、両眼とも別の感情が秘められている。その魂の宝庫の中に英雄は、自分は閉じ込められるのかという疑問。






「えいゆうも、きみもたましいはとらない。ちからだけもらったら、きみたちはかいほうする」




 指で小突くのをやめ、指がジャッジメントに押し付けられている。




「じゃっじめんと、べるなっと、きみたちははなれない。おなじ・・・はかにいれる」








 その言葉が決め手となった。ジャッジメントは英雄ベルナット以外に使われる気はない。死後も誰にも使われたくない。






 英雄と共に死ねるのであれば、本望である。忠実なる槍は言葉を交わさずとも忠義を見せる。






「・・・めいよのためにしをえらべる・・・きみたちはすごい」






 関心だった。雲の小声からなる関心の感情。それをジャッジメントは聞き取り、言葉にはしなかった。だが、雲に認めさせたという点は死後の土産になるだろう。






 ジャッジメントはそう思い、自身の魂を崩壊させた。魂の片隅から壊れていく自分の心。崩れて、砕けて、気付けば意志はなくなっていた。






 その瞬間、雲の指先から何かを吸い上げるような感覚がジャッジメントの残骸にあった。意識も消え、感覚も麻痺しかけ。魂ではない、別の部分。






 力だけを奪われ、魂は無事奪われることはない。








 アラクネでも約束は守るのか。






 そういう思いをもってジャッジメントは死んだ。




















 雲の手元に幾つもの力が手に入った。ジャッジメントの生命殺しなる力。英雄の心臓。聖女の善意。髪に秘められた悪意。




「はじめよう」




 雲はその場に座り込んだ。倒れないように、初めから座っていくスタイル。






 どくり。どくん。どくん。英雄の心臓が激しく鼓動する。英雄が蓄えてきた魔力が雲の全身を回る。彼が集めた悪意を体内に、聖女から奪った善意を体内に。ジャッジメントの力を体内に。巡り回せ、全身の肉体を作り上げる。






 一つ一つの力が急激に収縮し、体内を駆けまわる。






「があああああ」






 痛みが回る。全身を痛みが走る。座っていた体制などすぐに崩れ、地面に横たわり駆けまわる。力が暴走しているわけじゃなく、力が新たな力を引き起こすために生じた痛み。善意も悪意も魔力も感情と魔力を共存させる形にする。そのための生命殺し。そのための英雄の心臓。力を耐えるための肉体が心臓であり、力を抑えるための力が生命殺し。心臓に宿った魔力と善悪の感情が強化する力そのもの。












 雲の複数の足がまとまって、肉体同士で結合しては、結合がとかれる。魔物の部位が人のような肌と機能を見せては魔物の部位に姿を戻す。何度も繰り返して、何度ももとに戻される。






 苦痛によるものが、雲を悲痛な表情へと変化させる。だがやめない。雲は辞めずに痛みに耐える。やがて雲の折れた鼻が自然に形を元に戻していく。耳穴から垂れた血が止まり、耳奥の鼓膜が徐々に修復していく。奪われた機能が戻りつつある中、痛みだけは激しさを増した。








 そして、それはとまった。








「はぁはぁはぁ」






 呼吸は止まらない。痛みの残滓だけが残る中、自分の足を見た。蜘蛛の足だった部分が人間の足へと変化していた。複数の足だった部分が二足のものになった。だが雲は再び蜘蛛の足へと戻す。人間の足が分裂し結合がとかれ、複数の足へと再びわかれる。人間の皮膚のような皮だけが地面と足に絡むが、それでも元に戻る。






 雲は人間になるすべを手に入れた。本質は魔物であるからこそ、人間にはなりきれない。だが人間として姿を隠すことができるようになった。






 人間になるつもりなどはない。力を得た中で、人間側から奪ったものが多すぎたために影響を受けただけ。雲は魔物である。魔物ように生きて死ぬ。人間になりきるつもりなどはない。




 多少人間として遊ぶかもしれないが、それ以上のことはしない。






 肉体の変化などそれぐらいだった。




 だが内包する力は違った。子供の雲の現在のステータスは大人のアラクネすらも上回る。下手をすれば同ランクの魔物程度相手にすらならない。そのぐらいのステータス上昇具合が手に取ってわかる。






 極力肉体の変化は抑えたつもりではある。だがそれでも5センチほど伸びた身長、指の長さ、手の長さ、視線の範囲拡大といったもの目に見える部分と目に見えない部分が大幅に強化されてしまっている。5センチは伸びすぎだと雲ですら驚く。






 今までは彼の腰半ば程度の身長でしかない。だがそれから5センチも伸びてしまっては少し困ったことになる。だが、そんなのも些細な問題。










 一番大切なのはタイミング。






「・・・あれがつくころに、しらせがとどくようにしよう」






 雲はカラカラと乾いた笑みを浮かべる。中年ボイスと子供から若干少年に近づいた身長。そこは極力変えることはしたくない。




 そういったイメージを守り、今回の知らせもタイミングを合わせて届くようにする。






「くきゅきゅきゅ」














 雲は乾いた鳴き声をこぼし続けた。






 雲の現在のランク 最下級のSランク。Sランクのなかでの最下級。されど他のランクから見れば格上の魔物。英雄、ジャッジメント、聖女の希望、怪物の悪意を力とし、繰り上がった稀代の魔物。










☆あだ名 雲




☆本名  ガーレアシア


 アラクネの中で最も嫌われるものに与えられる名前。この名前が刻まれたアラクネは他の名前に変更できない。




☆種族1  アラクネ




 蜘蛛と人の混ぜ合わさったかのような魔物。人の悪いところと魔物の悪いところを組み合わせた最悪の魔物。






☆種族2  混沌の化身




 通常では決してなれない種族。個の種族になった場合、それは異常者である。破綻者である。




 悪と光と命と魔が組み合わさった異常者。その魔物は善悪の感情を操り、魔を操り、命を掻き消す存在。感情と魔が共存するという矛盾。食らいあう関係ではなく、共存。お互い内部にいる間は食らいあわない。




 この魔物は、魔物でありながら人間である




 人間の力を利用でき、魔物の力を利用できる。








☆現時点の状況、能力




 相手の力量を悪意と善意の知識から引き出す。環境の悪意と善意にアクセスし、相手の力量をある程度図ることができる。




 この魔物は相手の一部を取り込める。




 この魔物は怪物の悪意と聖女の善意の力を両方使える。ただしオリジナルよりかは能力が劣る。




 この魔物は律儀である。約束は破らない。そのため通常のアラクネより信用される。




 この魔物は同種族から嫌われやすい。アラクネから好かれない。混沌の化身を持つ魔物からも好かれない。人間からも苦手と意識をもたれやすい。




 この魔物は怪物の信奉者である。この魔物が活躍する度に怪物の評判を生み出す。


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