一人称で語られる、とても奥行きの深い物語です。閉じ込められている「わたし」が心と対話するのですが、ひとつひとつが散文詩のように読み手の心にも訴えてきます。それだけで終わるのかと思いきや、意外な展開が待ち受けていました。そうなのです。この物語は「SF」です。最後の詩を語るのは誰なのでしょう。奇抜なアイデアを用いているわけではありませんが、独特の世界観をかもしだしている作品です。