第115話 空気草を採取です
「コーリィ、右に一体!」
「分かった。"フレイムアロー"。」
私は後方で戦況の状況を注視しているロッテの指示を受け、右の草陰から迫りつつあったゴブリンの眉間を炎の矢で貫いた。
不意打ちを狙ったのでしょうが、喰らってあげるわけには行きません。
私たちは今、空気草の採取のため、川の流れをそって滝を目指していました。採取以来とは言え、外に出るのです。勿論魔物も現れるわけで……ゴブリンの小隊と遭遇してしまいました。
小隊を組んでいるとはいえ、ゴブリンはゴブリン。単体だとロッテでも簡単に倒せます。単体か、10体以下なら本当に楽だったんですけど……
「近くにゴブリンが集落でも作ったのかしら?」
「あり得そうね。帰ったらギルドに報告しなくちゃだわ。」
空気草の採取依頼を受けている私たちがわざわざゴブリンの集落を探して滅ぼす義務はないので、あるかもしれないという報告でいいでしょうね。まぁ、この量の小隊が現れるくらいです。間違いなくあるでしょう。
ちなみにティナですが、小隊の中へ突っ込み、次々とゴブリンを屠っています。たまに地から生えた氷柱がゴブリンを刺し貫いているのが見えるので大丈夫でしょう。というか、本当にティナの動きは凄いですね。流石はワーウルフですね。素でバーサク状態の私以上の動きをしてますよ……
あ、どうやら終ったようですね。ティナがヘルムを付けたゴブリンの首を持ってきました。なるほど、軍勢であまり遠くは見えませんでしたが、率いてゴブリンナイトがいたんですね。
「お疲れ様、ティナ。」
「言うほどお疲れてないよー!それなりに楽しかった!」
返り血により血まみれの顔で朗らかに笑うティナ。見る人によれば引いてしまうでしょうが、私たちには慣れたものです。ですが、女の子が血まみれと言うのはいただけませんので、持っていたタオルで顔を拭いました。
「ありがと!」
「どういたしまして。じゃゴブリンの頭を収納しましょうか。」
「……ねぇ、これどうやって持って帰る?ネコ……いないわよ。」
「「あ。」」
ロッテの言葉で思い出しました!ネコ様がいないということはネコ様の首輪のマジックボックスが使えないということ……つまりは各自が持っている鞄なりポケットじゃないと収納するところがありません!
結局、討伐した証としてゴブリンナイトの耳だけ切り取り、残りは私の火魔法で償却しました。同時に私たちはネコ様の物以外のマジックボックスも1つは確保しておこうということになりました。思わぬ落とし穴……
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その後も魔物と遭遇しましたが、私たちの脅威となるほどの魔物は現れず殴り倒しては燃やし、凍り付かせては砕いてを繰り返しついに私たちは空気草が生息しているといわれている滝まで到達しました。
滝は轟轟と音を立て、そのしぶきは少し離れている私たちにも届くほどです。
「ロッテ、空気草はありそう?」
「えぇ、ばっちり滝つぼにあるわ。……じゃ、ここからは作戦通りいくわよ?」
そう言うとロッテは服を脱ぎ始め下着姿となった。……あら可愛いピンク。
私たちの作戦と言うのは至極簡単で、ティナの氷魔法で滝を少しの間せきとめ、その間に泳ぎの得意なロッテが潜水をして空気草を摘むというものです。私は周囲警戒です。
私も泳げないことはないのですが、潜水は少し苦手ですからね。ここはロッテにお任せしましょう。
「それじゃティナ、お願いねー」
「はーい!"冷凍保存"!」
ティナが魔法を発動させると滝は次第に凍り付き、流れが止まりました。魔法は苦手と言っていましたが、ここまで出来れば十分だと思うんですけど……
ですが、滝をずっと留めておくなんて出来るわけもありません。ロッテは流れを止まったのを確認すると即滝に飛び込みました。
素早く潜水したロッテは、持っていたナイフで水底を掘り、根っこごと空気草を掘り出しました。
「ロッテまだー!?私もう駄目かもー!!」
必死なティナの声、水中故、その声が届いたのかはわかりませんが、ロッテは丁度空気草を刈り終え、戻ってきました。
「ぶはぁっ!!ティナ!もういいわよ!」
「分かったー!あーもう疲れたー!」
ロッテが岸に上がるのを見届けたティナは魔法を解除し、滝の流れを元通りにしました。
ロッテ曰く、空気草の質は良い物のようで間違いなく依頼は達成できるとのこと。空気草の採取で面倒なのは最初の滝で規定数を達していないとまた別の滝を探さねばなりませんから最初の滝で足りてよかったです。
水気もふき取り、空気草も鞄に詰めたし、さて帰りましょうかと思ったその時、不意にティナが滝の上を警戒するように睨み付けました。
「ティナ?」
「……大丈夫。いなくなったよ。」
この真剣な表情から察するに油断ならない相手がこちらを見ていたのでしょうか。
嫌ですね、最近本当に物騒です……はぁ、帰ったらネコ様に癒されましょう。
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ロッテのピンクい下着は皆さんで脳内補完してください。
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