第78話 ひゃっほう!食べ歩きである!
無事ギルド長から証明の了承が出たことで、吾輩は待ちに待ち望んだ食べ歩きを実行していた。
明日まで依頼を受けることは出来ないし、各自自由行動でいいであろうと言ったところ、リンピオは武器を見て回りたいと離れ、ロッテとポチは吾輩たちについてくることになった。
「改めて賑やかなところであるな。」
「そりゃ王都よ?沈んでいたらそれこそ問題じゃない。逆に賑やかなのは栄えている証拠よ。」
それもそうであるな。
栄えているのであれば相応に美味いものも転がっているというもの。悪い話ではなかったであるな。
現にこのビリバードの焼き鳥は電気が走るような刺激的な辛さがとても食欲をそそるである。
串に尻尾を巻き付け、器用に焼き鳥を食べる吾輩に屋台の店長は、ポカンと口を開いたが、美味そうに食べる吾輩に気を良くしたのか、おまけにと焼き鳥を3本もくれた。
「呵々、ラッキーであるなぁ。」
「流石、ネコ様ですね。あの店長もネコ様の魅力を中々分かっていますね。」
「ネコは黙ってりゃ可愛いもんねー喋れば結構図々しいけど。」
といいつつ、吾輩の貰った焼き鳥をむしゃる2人+ポチ。
吾輩が食べてもよかったのだが、美味しいものは共有した方がいいと友が言っていた覚えがある。
それにこの焼き鳥3本食べて腹が膨れて他の食べ物が食えなくなるのはいただけないであるからな。
2人+1匹も焼き鳥は好評の様でペロリと平らげてしまったである。
「コーリィ、次っ!」
「はいネコ様!次は夜お話しました、ウッズシェルの蒸し焼きです!」
「うわ、予想以上に樹皮ね、それ。」
次にコーリィが持ってきたのはロッテの言う通り前情報が無ければただの樹皮にしか見えないそれは裏返すと立派に大きく白い貝の身が現れた。
漂う香りは貝その物で、樹皮の柄をした見た目からは想像がつかないくらい美味そう。
「こいつは何で樹皮の柄をしてるんであるか?」
「外敵から逃れるためでしょうね。でも人間に見つかっちゃ意味はないですけどね。」
元も子もないことを……だが、擬態能力は高いようで、採取する冒険者も慣れていなければ丸一日森を彷徨っても見つからず、取れ慣れた者でもそう簡単には採れないとのこと。
それ所謂高級食材なのでは?いや、金には余裕があるから寧ろ高級食材どんとこいなのであるが。
「それではネコ様、どうぞ。熱いのでお気を付けくださいね?」
「うむ。」
確かにウッズシェルからは濛々と立ち上って確かに熱そうあるな。
ふふ、この世界では猫は吾輩以外いないであるから猫舌という言葉がないであるが、元の世界の人間が見れば吾輩の舌を心配するであろう。
しかし心配する事なかれ。何と吾輩は猫舌ではない!……まぁイーターの効果で熱いものも平気で食べられるってことだけなのであるが。
さてパクリンチョ。
「ウマっ!」
貝の濃厚な味にこれは、キノコの風味であるか?それが貝の味と混ざり合い絶妙な美味さを醸し出しているである。
しかも貝ゆえに身もそこまで大きく無いためペロリと食べきってしまった。
口惜しいが、仕方ない。またいつか食べればいい話であるな。
うんうん、高級食材なのであるからそうホイホイ買っちゃいけないであるよな。そうそう、ダメダメ…………あっ駄目だ。
「コーリィ、もう1つ買ってきてほしいである。」
「はーい。」
パクリっと……はぁー美味しいである。
ほんと、前世じゃ絶対食べられなかったであるよなぁ。クシャルダに感謝せねばなぁーうまうま。
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ノリに乗った吾輩はコーリィ達を引きつれ思う存分食べ歩きに興じた。
骨付き肉に魚の塩焼き。麺類お菓子。タコがはみ出しているたこ焼きなんてものもあったであるし、栗の様な木の実をポップコーンが如くはじけさせて食べる物もあったであるな。
総評としてどれもとてもうまかったである。
その中でもトップなのはやはり、ウッズシェルの蒸し焼きであるな。
コーリィが仕入れた情報によると、ウッズシェルは採ってすぐ調理すれば刺身として食べることが可能だとか。
しかし、本当に採ってその場で調理せねば食べることは出来ぬそうだ。
「ふぃー食った食ったである。」
「アンタ、いつの間に酒まで……」
「あ、私が買ってきたのよ。ネコ様そろそろお酒が欲しくなるかなって思って。」
「よく気が利くわねコーリィ……」
良く出来た奴隷であるよなーコーリィに出会って本当によかったと思えたであるぞ。吾輩大満足。
んー?遠くから何か騒がしい声が聞こえるであるが……嫌な予感を察した吾輩は、シャドウダイブを唱え、ポチの影の中に隠れた。
「バウ?」
(ネコ様?)
(少し隠れるである。)
影の中に潜っていると例の騒がしさがどんどんとこちらに近付いてくるのが分かる。
それは止まることなく走り去っていったが、1つの声が聞こえた。
「どこだ!例の魔物はどこにいる!」
明らかに面倒な種になりそうな騒ぎの音は段々と遠くなりやがて聞こえなくなっていった。
ま、別にどうこうすることも無く、吾輩はそのまま影に出て食べ歩きを再開した。
「えっ、まだ食べれるの!?」
ロッテのツッコミは無視したである。
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