第57話 改めて結成である!
王都に行くと言っても吾輩たちが自分たちの足で行く訳ではなく、王都から馬車が迎えに来てそれに乗って楽して王都に行くらしいである。
で、結局何故ロッテ達にも話を聞かせたかというと、パーティを解消しない限りは全員に知らせなければいけないのだと。もっというと、同行しても構わないのだとギルド長は言った。
もちろん無理強いするつもりはないので、2人に同行するのかと聞いたところ――
「んーそうねぇ、折角だし行こうかしら。コーリィとのパーティ楽しいしね。」
「バゥン!」
うむ。ロッテが来てくれるのは、ありがたい。同性で近い年齢の友人がコーリィには必要だと思っていたであるしな。
あぁうん、ポチ?嬉しいのは分かるであるがな?そう吾輩に対して嬉しいことがあった時に顔をペロペロ舐めるのは何故であるか?
「お、俺も行くぞ!」
「え?リンピオ、お前は今回限りではなったであるか?」
「え゛っ!?いや、そのー」
コイツの言う恩返しはオーク殲滅依頼でのパーティを組んで、報酬を吾輩たちに支払うということで、既に果たしたはずであるからな。
つまりリンピオは晴れて自由の身。このパーティに縛られる必要はないのである。
「お前には世話になったであるな、リンピオ。まぁ元気でやるがいいである。」
「そうね。ネコを助けに行くって言った時のあなたはちょっと格好良かったわよ。」
「なぁっ!?ラカロッテまで!?」
吾輩の流れに乗じてロッテまでもお別れムード全開であるな。
……まぁ正直なところ、吾輩は別にリンピオが同行したいというのであればそれを拒む気はないのである。
コーリィとロッテだけであるならば、2人とも美人であるから呆けた考えを持った馬鹿な男が寄ってこない訳がない。勿論吾輩とポチがそんな不遜な輩を近寄らせる訳もないのであるが、魔物より同じ人間の方が事は簡単に済むであろうしな。
――ふむ。少し悪戯が過ぎたであるかな。
「すまんすまん、リンピオ。お前さえ良ければこのままパーティに居てくれぬか?」
「いいのかっ!?」
おおう、まさかそんないい顔をされるとは思わなんだ。
そんなに王都に行きたかったのであるか、こいつ……
ロッテも吾輩の考えが分かっていたのか、彼女もあっさりと了承した。
おっとコーリィは……うぅむ、さっきから黙っておるが……?最初コーリィはリンピオを嫌っていたし聞いておくべきだったであろうか。
(コーリィ、事後承諾で済まぬがいいであるか?)
(……)
(おい、コーリィ?)
(……)
(コーリィ!!)
「はっはぃ!?ネコ様どうされましたか!?」
「……お前どうしたのであるか?」
コーリィにしては珍しくボーッとしているであるな。考え事でもしているのであろうか。
とにかく、正式のパーティ結成を伝えると少し驚きながらも了承したのでよしとしておくであるか。
「話は決まったか?では、迎えが来るのは3日後らしいからそれまでに準備しておいてくれ。それとこれがオーク討伐の報酬だ。素材の買取は後でそれぞれ行ってくれ。」
まさかギルド長自ら報酬を渡されるとは……まぁ列を並ばずに済むのは楽であるからいいのだが。
受け取った報酬は金貨2枚。大銀貨でも貰えるのかと思ったが、予想を上回る結果となったであるな。そんで、約束通りリンピオから報酬をいただき――合計金貨4枚が吾輩たちの報酬となった。
「大分奮発するのであるな。」
「あぁ、オークキングもさることながら、クイーンの素材も結構高い値段で売れるんだよ。だから結構今のギルドは儲かってな、それぐらい簡単に払えるんだ。お前たちは上位種も狩ってるからな。その分上乗せってわけだ。」
ほー。では吾輩のジェネラルの素材もそれ相応に売れるという事であるか。楽しみであるなぁ
その後、吾輩たちは執務室を後にし、ロッテとリンピオの分のオークの買取に付き合った。
もしかして素材過多で買取価格が下がっているのかと思ったが、タオラも言っていたようにオークの肉はここでは割と珍しい肉であったな。リンピオの全売りが大銀貨5枚で、ロッテは肉を半分ほど引き取ったので大銀貨2枚で買い取られたである。
「ほーら、ポチ。オークの肉よ。」
「バゥバゥ!」
早速オークの肉にポチは堪らずと言った感じで喰らいつく。美味そうに食うであるなぁ。吾輩も後で食べてみるであるかな。
……うん?何であるかポチ。そんなにジッと吾輩を見て。
「バウ。」
「にゃ……?」
一鳴きするとポチは自分の食っていた肉を吾輩の前に差し出してきた。
食えという事であるか?……気に入られたものであるなぁ。
好意はありがたいが、これはポチの報酬みたいなものであるからな!……あ、でも美味しそう……いや駄目である!!
強靭な意思で欲望を振り払った吾輩は、自分の肉は自分で食べるようポチに勧めた。いや、本当にいいであるから!吾輩を揺さぶるでない!
無事、2人の買取も終了したことで、今日の所は解散となった。
さて、吾輩とコーリィはタオラの店に行かねばならぬな。買取もそうであるが……王都へ行く話もせねばなるまいしな。おっと、後で進化した吾輩のステータスもじっくり確認せねばな。忘れぬよう忘れぬよう。
吾輩にしては珍しく、コーリィの肩に乗らず自分で歩いてタオラの店へと向かう。
いやぁ、足が、体がとても軽いである。あの時は動けなんだが、この調子の吾輩であればあの巨オークにも引けはとらないのではないか?
などと考えていると、コーリィからテレパシーが届いた。
(ネコ様、少しよろしいでしょうか?)
(む?何であるか?)
(少しお願いがあるのですが……)
(ほう、珍しいであるな。言ってみるである。)
(覆面を買っていただけませんか……?理由は聞かないでいただけるとありがたいのですが……)
え?覆面?……いや、いいであるけど……何故であるか。
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