第46話 まさかの救援である!?
どうしよう……格好つけたものの、このオーク共一筋縄じゃ行かないであるぞ。
まず鎧が邪魔で魔爪が通らないときたもんだ。折角斬撃強化を追加しても鎧が切れないのであれば意味がない。まぁ爪がかけたりしないだけ良しとするであるが……
「ブギッヒッヒッヒ!」
「ブギャー!!」
ジェネラル共が奇妙な声を上げるが、口角を上げていることから恐らく笑い声なのであろうか。吾輩が齢と思って笑っているのであるか?……くっそムカつくである。
だが、奴に届くスキルは吾輩には……あ。忘れていた。
吾輩スキル解放と同時に魔法も解放されたのであるな!
魔法はステータスに表示されないし、魔爪と斬撃強化の印象が強かったからすっかり忘れていたである。
オークの猛撃を掻い潜りながら、頭の中で覚えた魔法を見つけ……ああもう気が散る!だが見つけたである!
「"シャドウハンド"」
そう唱えると、吾輩の近くの影――つまりはオーク共の影から黒い手が吾輩の意に従うかのようにうねうね動き、オークの足を絡め取り始めた。
なるほど、これは拘束用の魔法であるかー。……今意味ねぇ!!
これ吾輩が離れたら絶対魔法解かれるであるよな!?しかも足元だけ拘束してるからそれでもブンブン攻撃はとんでくるし!回避のために跳んだら解除されたし!
他の場面では有用かも知れぬが今はただオークの動きを少し阻害するのみではないか!
「ブヒィ!!」
「ブブヒィ!」
オークジェネラルの一声でオークソルジャーの剣が地面に着地した瞬間の吾輩に襲い掛かる。
着地した瞬間に避ける動作なんて……!む?この魔法名は!ええい!
「"エアドーム"!」
ぬおっ!?こ、これは吾輩を中心に半球体の風のバリアであるか……おお、攻撃を弾き飛ばしてくれるのであるか。
これは助かるである。上方でガンガンと殴る音が聞こえるが、エアドームが壊れるような感じはしない。
だが、難点と言えば……今魔力を結構消費していってるってことくらいであるかな!優秀な防御魔法故、消費も激しいという事であるか!
このまま使い続ければ魔力欠乏症になってそのまま殺されかねない――そう予測した吾輩は奴らが振りかぶった隙を見て、エアドームを解除し、急ぎ奴らの輪から逃げ出す。
そして吾輩は体勢を取り直し、唱えた――かのワイバーンの頭部を切断した全力の!
「”ウィンドカッター”!」
あの時同様、小さい風の刃が……おぉっ!2つも!
2つの刃は真っ直ぐジェネラルの顔面へと向かっていきあの時の切れ味がそのままであるのであれば、ジェネラルの首もスパッと行くはずである!
「ブギィ!」
「ブギアッ!」
現実はそうはいかないであるな!オークジェネラルの鳴き声に呼応して1体のオークソルジャーが己が身を盾にして2つのウィンドカッターを受け止めた。
ククク……だが、全力ウィンドカッターはワイバーンを切断するほどの切れ味を誇る魔法である。魔爪とは違ってお前の体など容易く――
「何っ!?」
思わず声が出てしまった。吾輩の期待に反してオークジェネラルは傷1つ付かずぴんぴんしているではないか!
もしかして何かしらのスキルを発動したのか、ソルジャーを殺すことには成功したが、ウィンドカッターがジェネラルまで届かなかったようである。
くそっ、今のウィンドカッターで大分魔力を使ってしまったようであるな。同じ威力のウィンドカッターを放つことは出来なさそうである。
かといってコイツ等引き連れて街に戻る訳にもいかないし、「あいつら逃げきれたか。ならば、俺の役目は終わりだ……ぐふっ」的な感じで死ぬわけにもいかん。
何とか1体減ったことで攻撃を尻尾や魔爪で防ぐにも先程より余裕は出来たが、休むことなく続くオーク共攻撃に吾輩はじりじりと押されてしまう。
……もう少し吾輩が強ければ蹂躙できたんであるがなー。やはり、オーク狩りで張り切り過ぎたのがイカンかったである。オーク狩り……魔核、あっ
「魔核である!そうである!!」
そうだ、吾輩のマジックボックスに魔核を20個分持っていたのである!コーリィが狩るたび狩るたびせっせと集めていたオークの魔核が!
早速とりかかりたいであるが、地に落ちた魔核を拾って食べながらオークの攻撃を防げるわけもない。
「――コ!」
1個だけでも食べる機会が来てくれればと思ったそんな時――吾輩を呼ぶ声が聞こえた。
聞こえるはずのない声が。まさか――
「ネコ!無事か!」
駆けつけたそいつは……リンピオだった。
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「……お前かよ!!!!」
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