第8話 吾輩の力量確認である(魔法編)
ティナは吾輩が木につけた傷跡を頼りに吾輩まで追いついたみたいであるが……それを差し引いても凄い速度である。
うん、吾輩逃げられないであるな。いや、置いていくことは可能かもしれないが、ティナはこの様子だとまた吾輩を追いかけてくるであるな。……それでティナが迷子にでもなったり怪我をしたりしたら吾輩、ギィガに合わせる顔がないである。
しょうがないから今は保護者にでもなるである。
「ねーネコー何するのー?」
「吾輩のスキルの練習である。」
「へーそうなんだー。見せて見せて!」
この反応を見るにスキル自体は珍しいものではないようであるな。
……ティナの視線を感じるであるな。ちらりとティナの方を見るとニコニコと笑顔で吾輩を見ている。
まぁ別にみられて困るような相手じゃないであるから構わんである。
さて、まずは……魔法系のスキルでも試してみるであるか。
んで、魔法であるが、吾輩の頭の中にその魔法の発動方法がインプットされ、さも当然かのように唱えられそうである。少し不気味であるが、気にしたら駄目そうであるな。
次にこの世界の魔法は、詠唱を必要としないようで、魔法名を唱えることで体の中の魔力を消費し、魔法を発動する。
今吾輩が持っている魔法スキルは、風魔法と闇魔法。それぞれ2つずつ魔法が使えそうでその効果も頭に浮かんでくる。
さっき猫パンチで破壊した岩の破片がいい的になりそうであるな。えーっと魔法名は
「"ウィンドカッター"。」
ぬっ、体の中から何かが抜け落ちるような感覚がしたであるな。これが魔力を使う感触であるか?
次に吾輩の目の前に魔法陣が浮かび、1つの風の刃が飛び、小さくなった岩の破片をさらに半分にした。ふむ、一発だけであるか。修練すれば増えるのであるか?
よし、次である。
「"フロート"。」
今度は吾輩の足元に魔法陣が浮かび――むっ!浮いてる!吾輩浮いているである!
浮かぶ魔法というのは理解していたがこれは楽しいであるな。ティナに自分も浮かせてとせがまれたであるが、吾輩自身を浮かばせた時よりちょっと魔力の消費が大きく感じたのは、重さとか関係あるようであるな。……内緒にしておくである。
しかし、これもまだまだ長く高く浮かべるわけでは無いみたいであるから、これも要練習っと……
風魔法は終了……さて、次は闇魔法であるな。
闇魔法とは一見悪そうな魔法であるが、これから吾輩が試す魔法は結構便利そうな魔法の様である。さて、まずは1つ目――
「?どうしたの、ネコ?私の影に入って。暑いの?」
いや、いい天気ではあるが、暑い程ではないであるぞ。寧ろ心地よいくらいである。
「違うである――"シャドウダイブ"」
「うわっ!ネコが私の影に入った!?」
さっきと言っている言葉は一緒であるが、意味は全然違うのである。
今唱えた魔法により、吾輩はティナの影の中にいる。つまりは影の中に潜ったという表現が正しいのである。流石影の中、すっごい暗い。右も左もわからんである。
ふーむ、これは潜伏用の魔法であるな。ちょっとずつ魔力が消費されていくのが分かるである。
「ネコー!大丈夫ー?」
外の声も聞こえるみたいであるな。上に視線をやると空が見えたである。中は暗いであるが影より上の光景は見えるのであるな……ブッ!ティナの下が見えっ!?だ、駄目である!さっさと戻るである!
「ぶはぁっ!!」
「ネ、ネコ?どうしたの?大丈夫?」
「大丈夫である……構うなである……」
純粋な眼で吾輩を見ないでほしいである……故意ではないとはいえ見ちゃいけない物を見てしまった吾輩を……!!
うむ、人の影に入るときは注意が必要であるな。
次である次!
「ティナ、本当にすまんであるが、痛くしないであるから魔法の対象になってもらえないであるか?」
「いいよ!」
「即決であるか!?」
「うん、だってネコが悪いことするわけないもん!」
あー、そう言ってもらえると凄い嬉しいであるが、吾輩さっき悪いことしちゃったである……もう忘れるである。吾輩の心の奥底に閉じ込めるである。
えーでは、改めまして軽ーく軽くである。
「"グラビティ"」
唱えるとティナの足元に魔法陣が浮かぶ。この魔法の効果はティナに聞いた方が早いであるな。
「ティナ、何か変わったことはあるであるか?」
「んー?えっとね、何か体がちょっと重いかな?」
よし、発動しているみたいであるな。これはその名の通り重力を操る魔法である。
操ると言っても重力を強くするだけで軽くする魔法ではないである。
粗方効果のほども分かったので魔法を解除する。
「ありがとうである、ティナ。」
「うん!どういたしまして!」
これで魔法は全部であるな。少しずつ練習する必要があるであるな。
さて、次に分身スキルである。早速発動してみると――おぉ、少し体がだるくなったであるが、吾輩がもう1人ポンと現れたである。
「うわぁ!ネコがもう一匹増えた!」
ちょ、ティナ行動速いである。分身の吾輩を瞬時に抱き抱えた。
……んー?いや、これ微妙に吾輩ではあるが吾輩じゃないであるな。
この分身、吾輩の前世の黒猫の姿をしているである。恐らくスペックも前世と一緒であるな。おまけに分身に意識を向けてみると――ほう、分身の視界が見えるである。吾輩が念じると念じたとおりに動くし、消える時は影も形もなく消える。この分身は偵察に使えるであるな。
あとは忍び足と気配遮断であるが、まぁこれらはゆっくりでも大丈夫であるな。
さてそろそろ帰るである――む?何かバッサバッサと聞こえる……
「ネコ!あ、あれ!何か来てる!」
ティナが空に向け指をさし吾輩はそれにつられその方向を見ると、何であるかあれ。いや、あれは吾輩知っているである!
ドラゴンに近い姿をしているが前足の無い竜、亜竜とも呼ばれる存在!
「何でワイバーンがこんなところにいるんであるか!?」
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