第155話
「 さすが『迷宮の3勇士』は言う事が違う」
リザードマン種族の冒険者が軽い訛りで応える
「・・・ 」
アリアガッ卜は無言でその冒険者を見つめる
リザードマン種族の冒険者が口にした『迷宮の3勇士』の名には
聞き覚えがあった
主に活動していたのはセレネギル大陸西部地域内で、特に『氾濫』して混迷極める迷宮内部の探索を得意とした3人組パーティーだ
『氾濫』の影響で狂暴化した魔物に対しての対処も慣れており、強力な
魔物との戦闘で幾度となくセレネギル大陸西部地域では名を轟かせている
『迷宮の3勇士』という2つ名を名付けられた原因は、セレネギル大陸西部の
迷宮都市ディガリアで発生した『氾濫』を鎮める事に一役買ったからだ
迷宮都市ディガリアの迷宮は、セレネギル大陸西部地域内の迷宮でも
高難易度の迷宮であり、多くの冒険者達が挑戦して命を落としている
高難易度の要因となっているのは、下層から魔王、魔神と称されている
強力な魔物達が徘徊し出現する事だ
発生した『氾濫』により、それらの魔物達が地上へと這い出る事となり、
迷宮都市は冒険者達と騎士達が協力して防衛する事でかろうじて突破を防いだ
冒険者同士の情報交換では『迷宮の3勇士』は、劣勢を強いられていた
冒険者達の態勢を立て直す時間稼ぎに最下層へ潜り、強力な魔物達を
一掃したという
そこからも、そのパーティーの練度がいかに高いかがわかるだろう。
「頼むからあの2人には言わないでくれよ?
こんな事を知られたら 一生いじられる」
スマートな貌と身体をした人間種族の冒険者が、真剣な表情でそんな事を
言うものだからアリアガッ卜は軽く吹いた
リザードマン種族の冒険者は、納得し易いのか数回 首肯する
「あたしは『大物』を拝みに、会場に行ってくる。
後は任せた」
アリアガッ卜はそう言うと獰猛な笑みを浮かべ、一気に地面を蹴ると稲妻のように駆ける様に
その場から消え去った。
「―――そっちの同じ地域から、この愉快で楽しいココに来た知り合いは?」
スマートな貌と身体をした人間種族の冒険者が、アリアガッ卜が駆けた方向を 見やりながらそう尋ねる。
「好奇心と向上心の塊のパーティーメンバーは迫っ苦しい内部探索は嫌いらしく、
俺を省いてもう一つの馴染み連中と外でチャンバラごっこを しているよ」
リザードマン種族の冒険者が、肩を竦めつつ答える。
その答えを聞いた人間種族の冒険者は軽く笑い、アリアガッ卜が
駆けた方向を見つめる
「今更さらこんな所で自己紹介もどうかだが――名前は?」
そう尋ねつつ、まるで獲物を狙うように眼を細めた。
「アルバーンだ」
リザードマン種族の冒険者が、軽い訛りで応える
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