第152話
「ブラハルトのおっちゃん!!
クリストフェルの兄ちゃんが杖持ちのゴブリン集団から敵対心を煽りながら、
睨み合っている!!
なかなかイイ仕事してるよ!」
ベイセルは、ブラハルトへ大声で緊急報告する。
その報告を受けたブラハルトも上空から眼下の様子を確認し、クリストフェルが杖持ちゴブリン集団と敵対している事を確認した
ホワイトグリフォンの手綱を握っているブラハルトは、それには答えず
少し考える仕草をした
「事前説明で聞いた、『大物』はまだ姿を見せないか」
ブラハルトは舌打ちしつつ、眼下の状況を再確認する
上から見るとよく分かるが、杖持ちゴブリンの集団は、その数をかなり
減らしていた。
まだ十数匹ほどはいるが、クリストフェルが短剣で杖持ちゴブリンを確実に
斬り殺しながらその数を減らさせていた
「ブラハルトのおっちゃんやクリストフェルの兄ちゃんに限った話じゃないけど、
やっぱ冒険者は、『大物』を狙いたがる傾向があんだな」
ベイゼルも眼下の状況を確認しつつ、素朴な感想を述べる
砦内では奇妙な募集に応募した多種多様な冒険者達がゴブリン集団へ、
波状攻撃を繰り返している
タルコットによる大規模魔法攻撃で、ゴブリン側の戦力は
壊滅状態となってはいるが、それでも内部には、ゴブリン側が仕掛けた巧妙な罠や
仕掛けがある事をベイゼルから事前に説明があった
しかも、砦内にはゴブリン集団の他に魔獣やこの辺境で棲息する魔物が
複数潜んでいる可能性まであると言うのだから、
それに対する緊張感は半端ない
「全部が全部、そんな冒険者じゃない
ま、クリストフェルは久しぶりに母親に逢えて張り切ってるみたいだけどな」
ブラハルトは苦笑しそう言い終える
「エリザイラの姉ちゃんとは血縁者でも無いし、そもそも種族も違うぞ・・・」
ベイゼルは若干、呆れたようにブラハルトへ突っ込みを入れる
「生命の神秘ってやつだ」
ブラハルトは気障な言い方でそう返す
「・・・」
ベイゼルは大きく頭を振ると表情を引き締めて眼下を見下ろそうとして――――
大規模な空間震動現象を感知した。
このような現象は『空震』と呼ばれており、とてつもなく強大な質量を
持つモノが出現しようとしている一種の警告だ
「・・・これは余裕コイて、一服するヒマもないな」
ブラハルトが地上のある一点を凝固した視線を向けながら、愉悦も歓びも
何一つ感じられない口調でそう呟く
その『空震』を察知したのは何もブラハルト だけではなく、この砦化している
ゴブリン集落に突撃した冒険者達も察知していた
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