第147話
カルローラは、戦況を正確に把握すると再びハンドベルを振り鳴らす
それと共に、新たな『霊体』を具現化する
今度は前衛職や近接職系ではない『霊体』だ
現れたのは弓兵と吟遊詩人の『霊体』、そして3体の
遠距離職の魔術師が扱う様な杖を持った『霊体』だ
一体の魔術師系の『霊体』が複数体のゴブリン達に向けて手を向けると、
複数の小さな稲妻が発生させた
常識的に考えればありえない無詠唱の魔術だが、クリストフェルは
特に驚くこともなく その様子を眺めていると 、前方で
凄まじい閃光が放たれた
轟音が響き渡り、天へ昇った魔術がゴブリン達に直撃する
凶悪な威力を以て、閃光がゴブリン達を中心に辺りを白に染める
強力な雷撃 魔法は数体のゴブリン達を焼き尽くしたものの
後方にいたゴブリン達や蒼い獅子のような体躯の未知なる魔獣には効果は薄く、
行動不能に陥ったものはいなかった
続けて、弓兵の『霊体』が蒼い獅子のような体躯の未知なる魔獣へ、
矢をその生命を奪わんと放つが、魔獣はその矢を
避けようともしないで受ける
矢の一撃は、凄まじい轟音と共に魔獣に直撃するが弾かれてしまう
次の瞬間、蒼い獅子のような体躯の未知なる魔獣は聞く者の
心も体も恐怖で縛り付けるような雄叫びを上げる
そしてそこを中心として強い風と蒼い炎が発せられる
蒼い獅子のような体躯の未知なる魔獣は、その身に秘めた
膨大な力を一気に放出したのだ
その力量は尋常なものではなく、 既存の魔術のそれと比較しても
倍近くはあるだろう
燃え盛る劫火が一気に燃え広がり周囲を焼き尽くす様に覆う
凄まじい熱量と衝撃が、その空間にいる者全てを焼き
尽くさんとする勢いで 荒れ狂う
カルローラの霊体達は、その炎をまともに受けてしまうと、一瞬で
灰も残らずに燃え尽きるだろう
「あッ!? カルローラの嬢ちゃん!!
ありゃぁやべぇぞ!? このままじゃこっちにまで被害が来る!」
クリストフェルはカルローラの方へ視線を向けつつ叫ぶ
発火、爆裂性のある炎は、カルローラの周囲も焼き尽くさんとしているためか、
クリストフェルの瞳には、焦りの色が浮かんでいる
「心配ないよ!」
クリストフェルの問いに、カルローラは慌てる事もなく
ハンドベルを鳴らした
その刹那、吟遊詩人の『霊体』がハープを奏ではじめた
旋律と共に、とても美しい歌声で詩が詠われていく
どこか寂しげな音色でありながらも、勇ましい曲調の美しい歌声だ
詩に合わせて周囲の空間が歪んだかのように見える程、
凄まじい霊圧を感じる
同時に猛々しく燃え盛る劫火が、詩に合わせて
鎮火されていく
それはまさに、神話世界の一幕のような光景だった
蒼い獅子のような体躯の未知なる魔獣は、ゆらりと身体を
動かしつつ憤怒の咆哮を再び発した
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