第142話
未確認の魔獣は、再びその強靭な爪を振り回し、時には
牙で噛み付こうとしてくる
だが、オオシマは忍特有の身体捌きと持ち前の鋭い
五感で繰り出す素早い攻撃を悉く回避していく。
オオシマは攻撃を回避しつつ、何かの瞬間を待ち構えているかのように
苦無の一撃を繰り出していた。
そんな時、遂にその機会は訪れた。
オオシマの苦無が魔獣の右眼を斬り裂いたのだ
魔獣は苦悶の叫び声を上げながら、激しく身悶える。
しかしオオシマは攻撃の手を休めない。
更に追撃を加えていく。
そして遂に、魔獣の左眼も斬り裂いた
両目を失った未確認の魔獣は怒り狂い暴れ回るが、オオシマは
その隙を見逃さなかった
手に持っていた苦無を未知の魔獣の頸元へ投げつけた
その一撃は、魔獣の首を貫通し致命傷となった
激しい攻防だったと関わらず、オオシマは息切れ一つしていなかった
そして、ゆっくりとした動作である方向に視線を向けた
その先では戦鎚持ちゴブリンとウルリーカの闘いが続いていた
戦鎚持ちゴブリンがその大きな体躯に似合わない俊敏な動きで
戦鎚を振り回し、周囲の大気を震え上がらせた
ウルリーカはその攻撃をことごとく受け流し、反撃の
機会を窺っていた
戦鎚持ちゴブリンのその一撃は、人間の肉体などいとも
容易く破壊される
ウルリーカは一撃一撃を、まるで風のように躱していた。
戦鎚持ちゴブリンが繰り出す攻撃の隙を突き、鋭い剣撃を
叩き込む。
だが、戦鎚持ちゴブリンもそれを紙一重で回避し反撃に転じる。
ウルリーカの回避能力を目の当たりにした戦鎚持ちゴブリンは、
更に攻撃速度を上げ、手数を増やしていく。
しかし、ウルリーカも負けてはおらず素早い動きで攻撃を
躱しながら、隙を狙い反撃していく。
ウルリーカが使っている武器は、身長の倍はありそうなやや大きめの大剣だ
それを軽々と振り回し戦鎚持ちゴブリンと互角以上に渡り合っている姿は、
凄まじいの一言だ
攻防が何度も続き、次第に戦局に変化が現れてきた
ウルリーカの攻撃速度が徐々に増していき、戦鎚持ちゴブリンに
ダメージを与え始めたのだ
ウルリーカが放った横薙ぎの一閃を戦鎚持ちゴブリンは間一髪で回避したが、
その拍子にバランスを崩し大きく体勢を崩した
好機と見たウルリーカはその隙を見逃さず畳み掛けるかのように
一撃必殺の勢いで剣撃を叩き込む。
猛然と突き進む大剣の切っ先が戦鎚持ちゴブリンの喉元に
突き刺さろうとした時、 咄嗟に身体を捻って急所を外すことに成功したが、
その代償として大剣の一撃を喰らうこととなってしまった。
喉元を掠り鮮血が飛び散る中、戦鎚持ちゴブリンは意表を突かれた形となり、
一瞬だが動きが止まった。
ウルリーカは追撃を仕掛ける
その追撃は、戦鎚持ちゴブリンの動体視力でもそれを捉えることは
不可能だった
戦鎚持ちゴブリンの首にウルリーカの剣が迫る。
鋭い刃は空を切る音だけを戦鎚持ちゴブリンの耳朶に残し、次の
瞬間には ウルリーカが戦鎚持ちゴブリンの眼前にまで
迫っていたのだ。
そして次の瞬間には戦鎚持ちゴブリンの首と胴体は分断されていた。
大量の血を噴き出し、戦鎚持ちゴブリンの身体は痙攣した後、
静かになった
ウルリーカは緑色の液体まみれになった大剣を一振りして払い落とすと、
睥睨するかの様に周囲を見渡した
その鋭い眼光は獲物を狙う捕食者のそれだった
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