　堅牢なゴブリン砦の上空は不穏な気配を漂わす暑い雲に覆われていた

　今にも泣き出しそうな空模様を引き裂く様に、大型火球が降り注ぐ

　大型火球が猛烈に砦内や周囲一帯に着弾し、ゴブリン達がその衝撃で

　吹き飛ばされる

　着弾するたびに地響きが鳴り、爆風が砂煙を巻き上げる

　慌てて逃げ惑うゴブリン達だが、この状況下で迅速な退避は不可能だった

　大型火球は、ゴブリン達に滑り込むような形で着弾し、轟音をあげて爆発し、

　次々と巻き上がる爆炎が周囲を照らし出す

　その凄まじい熱量で焼かれ、焦げ付き、黒こげになるゴブリン達や着弾時の衝撃派に薙ぎ倒されるゴブリン達・・・

　そんな中、爆心地から離れた場所では、常軌を逸した詠唱行動を行い

　火力を集中させているタルコットの姿があった

「ワレニオイツク　テキキナシ　　ワレニオイツク　テキキナシ　　

　ワレニオイツク　テキキナシ　　ワレニオイツク　テキキナシ

　死して護国の鬼とならん　　死して護国の鬼とならん　　死して護国の鬼とならん　　　　　　　　　　　　　　　死して護国の鬼とならん　　　死して護国の鬼とならん　　死して護国の鬼とならん

死して護国の鬼とならん　　　死して護国の鬼とならん　　死して護国の鬼とならん

　死して護国の鬼とならん　　死して護国の鬼とならん　　死して護国の鬼とならん　

　腹減った　腹減った　腹減った　腹減った　腹減った　腹減った　腹減った

　腹減った　腹減った　腹減った　腹減った　腹減った　腹減った　腹減っ

　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　

　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地」

　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　

　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地　　丸一陣地」

　タルコットは喉から血が出そうな大声を発し、この場にいる冒険者達では

　誰一人聞いたことのない名を叫びつつ、何度も何度も地面に額を叩き付けていた

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