第135話
野営天幕の前には砦化しているゴブリン集落討伐のため、300人の
冒険者達の中から80名程集まっていた
その周囲では残り220名の冒険者達と領民約30名が興味
深そうに眺めていた
80名の中にはハインツ達中心メンバーも含まれている
そして、そこには『蒼玉』級と『鋼鉄』級『クラン』がそれぞれ一つ、
金剛級『パーティー』から4組、どちらにも加わっていない
ソロの『蒼玉』等級冒険者2名が含まれている
「義務とは言え、冒険者諸君の『冒険者ギルドと地域住民合同訓練』の
参加感謝する!
これはロージア領で行われる『魔境』内の魔物や魔獣の間引き行事だ
この地は環境が良いためか魔物や魔獣の数は他の地域と比べて多く、
人里近くで出没することがあるため 故に、間引きは定期的に実施する
必要がある」
『ギルドマスター』エンゲルベルトがまず口を開いた
ハインツ達は、既に説明を受けたので特に驚くことはない
「この時期のの魔物や魔獣は秋から冬場に出没する種類とは異なり、
危険度も違う!
そして今回は人手が足りなく放置していたゴブリン砦の殲滅と
掃討作戦を実施する」
続いて口を開いたのは、領主ギルベルト=フォン=バルツァーだった
身に着けているのは、貴族らしく煌びやかな装飾を散りばめた
立派な礼服姿に、豪奢な金刺繍が施されたマントという姿ではなかった
装飾性よりも実用性を重視した造りで、いくつもの傷痕がある鎧を着用し、
両手剣を携えている
そして、威風堂々とした堂々たる立ち振る舞いだ
その傍には同じく実用重視の全身甲冑に身を包んだ子息の長男
ヴォルフラムの姿があった
この場にいるハインツ含んだ全ての冒険者達が、眼の前にいる領主は
良く見聞きする様なお貴族ではないことを改めて理解した
どちらかと言えば最前線に立つ騎士のような気質だとハインツは
特に思った
「まず220名の冒険者諸君と参加領民30名の領民は、ご領主ギルベルト様と
共にこの野営天幕からゴブリン砦までの周囲に棲息する魔物や魔獣の
間引きを行ってもらう
その間に我々80名は、ご子息ヴォルフラム様と共にゴブリン砦を
正面から攻めて殲滅する
この間引きが上手く行けば、ゴブリンの繁殖地を一つ駆逐できたことになる
冒険者諸君の参加報酬は討伐した魔物や魔獣の素材や魔石だ。剥ぎ取りも
制限はない
新しい武器や防具の素材とするのもよし、ロージアン『冒険者ギルド』で
買い取ることもできる
ゴブリンやオークの牙や爪や角などの部位が高額で売れるので、是非とも
頑張ってくれ!
また参加領民の大人諸君20名には参加砂糖一袋と蜂蜜酒二本と銀貨十枚、
子供諸君10名にはお菓子と銅貨二十枚をいつも通り進呈しよう!」
『ギルドマスター』エンゲルベルトがそう告げると、参加するロージアン領民達と
子供達は喜びの声をあげる
(確かに鞭ばかりでは士気は上がらないからな)
ハインツはそう思いつつ、領民達の喜ぶ姿を見つつ思った
この褒美についてもアルヴィンから少し聞いた限りでは、どうやら
ベイセルが数年ほど前に提案したものを採用したそうだ
『ちびっこ先生曰く、『褒美も何もなしで『魔境』の開拓に参加する辺境の
領民なんて、やる気も出ないし、誰もいないよ?
やる気を出してもらうには、褒美も出さないと
・・・金よりも辺境では手に入らない甘い物・・・砂糖なんか褒美にすれば
眼の色変えて張り切るんじゃない?』と
助言してくれたんだ。それから、その提案が実行され領主のギルベルト様が
息子であるヴォルフラム様に剣の稽古や間引きをする傍ら
領民達に礼儀作法を学ばせたりして、領地の発展に寄与しているんだ』
『サブ・ギルドマスター』アルヴィンが、まったく似ても似つかない
ベイセルの口調真似をして話した
礼儀作法に関してもベイセルの助言らしく、領主の息子ヴォルフラムは、領主と
同じく武人で剣の達人であり、父ギルベルト同様
冒険者登録し、父ギルベルトと共に間引きに参加している
「期間は2週間! 期間中には『夜間討伐』も実施する
では今より『冒険者ギルドと地域住民合同訓練』を開催する!
冒険者諸君、冒険者の本分を果たせ! 領主ギルベルト=フォン=バルツァー様と
ご子息ヴォルフラム=フォン=ベルツ様は、冒険者諸君と共にゴブリン砦へ
攻め入るのだ!」
『ギルドマスター』エンゲルベルトがそう告げると、訓練参加者一同は歓喜と
雄叫びをあげた
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