第131話

「ああ、これか? 巨人種のトロールを近くで一匹発見して討伐したところさ。」

アルヴィンは得意げな笑みを浮かべて答える

「そういうのは知らせてくれよ!?

俺と同年代の子供数人を共に付近探索していたんだぞ?」

ベイセルがアルヴィンの言葉を聞いて呆れ顔になる

それと同時にアルヴィンの後ろから、ベイセルと同年内らしい3人の

少年少女が現れた

「ほら! ちびっこ先生に怒られてるじゃんか!!」

黒味がかった赤色の髪をした少年がそう言う

「ちびっこ先生に怒られても知らないって、言ってたのにぃ!」

その横にいる、薄桃色の髪の少女も言った

「だから、謝った方がいいよって私は言ったのにね」

金髪碧眼のおさげの少女は、苦笑いを浮かべている

「まったく・・・

アルヴィンの兄ちゃん、今からでも良いからクロエの姉ちゃんと

事務仕事変わってもらってよ」

ベイセルが溜め息交じりに言う

「 クロエは、『嫌よ、爪汚れるし』って言って拒否ったのさ」

アルヴィンは、その問いにまったく似てもいない

クロエの口調で答えた

「・・・ アルヴィンの兄ちゃん、物真似下手くそ過ぎだろ」

ベイセルはジト目でアルヴィンを見る

「似てもいないし」

黒味がかった赤色の髪をした少年が追い打ちをかけるように

言い放つ

「あと、そんな事クロエのお姉ちゃんは絶対言わない」

薄桃色の髪の少女も続けて発言する

「……」

金髪碧眼のおさげの少女は頷いた

「内心『似てねぇなぁ』とは思ったけど、途中でやめたらやめたで

呆れられるから続けたんだ」

アルヴィンはそう言うと、金砕棒を地面に降ろして肩を回した

「 『ギルドマスター』のおっちゃんにいつか怒られても知らねぇぞ 

アルヴィンの兄ちゃん」

ベイセルがアルヴィンに注意を促す


「それは大丈夫だよ。『ギルドマスター』なら『死人がでなければ問題はない』って言う人だ」

アルヴィンは、今度も似ても似つかない『ギルドマスター』エンゲルベルトの

口調と台詞で言い返した

「そういう問題じゃねえだろ!? 

あとその真似も似ても似つかないぞ」

ベイセルが再び、アルヴィンの物真似にダメ出しをする


「完成度が低すぎ」

黒味がかった赤色の髪をした少年が続けて言う

「もうちょっと練習してからじゃないと・・・」

薄桃色の髪の少女も同意するように続けて口を開く

「誰も笑わないと思う」

金髪碧眼のおさげの少女も頭を縦に振りつつ告げる

「ところで、ちびっこ先生には夕刻、俺と一緒に

砦化しているゴブリン集落の偵察に付き合ってもらう」

アルヴィンが金砕棒を担ぎ直しながらベイセルに提案した

「何、その飯でも食いに行かないかてきな軽い感じで誘ってんのさ

アルヴィンの兄ちゃん!?」

ベイセルが驚愕の表情を浮かべて叫ぶ

「終わったら終わったらで、ちびっこ先生には

宿場町の色街に連れてってあげるからさ」

アルヴィンがそう言いながら、金砕棒を肩に担いで笑みを浮かべる



「子供にそんな大人の遊び場に連れて行こうとするな!

馬鹿なのか!」

ベイセルが貌を真っ赤にしつつ、アルヴィンに

向かって怒鳴った

「ねえ、色街って?」

薄桃色の髪の少女が、黒味がかった赤色の髪をした少年の

袖を引っ張りつつ尋ねる

「そりゃあれだよ、ほら隣家のバルナルドの兄ちゃんがいつも

コレの所に行って、集落や宿場町内では

キャキャウフフが出来ないから外に行ってるだろ」

黒味がかった赤色の髪をした少年は小指をあげ、親指と人差し指で

輪っかを作りつつ少女に説明する

「あ゛、それバルナルドの兄ちゃんから『親父や御袋、あと

『ギルドマスター』のおっちゃんや『サブ・ギルドマスター』なんかには

バレても良いが、ちびっこ先生には絶対言うなよ』って言っているからね」

金髪碧眼のおさげの少女が『あちゃー』という貌をする


「ちょい待て!!

何で俺にバレちゃダメなんだよ!?

普通はおじさんやおばさんなんかに、バレちゃヤバい事だろ!  

あとちびっこ先生はやめろ」

ベイセルが思わず3人の少年少女達にツッコむ

「だって、ちびっこ先生が知ればくどくど説教するからじゃないかな?

『外は危険だから、いちゃつくなら集落内でしろ、集落で』とか」

アルヴィンがニヤリと笑いつつ、似ても似つかないベイセルの

口調を真似て言った

「そんな完成度の低い真似で言うのはやめてくれ」

ベイセルは頭を抱えながら、さらに深い溜め息をつく

「あたしは知らないよ?

バルナルドの兄ちゃんに口止め料としてお菓子を貰ったのに」

薄桃色の髪の少女は黒味がかった赤色の髪をした少年を

チラ見しながら言う

「あ、ズルいぞ!!

そっちこそ『色街って?』って聞いたじゃんか!」

黒味がかった赤色の髪をした少年が、薄桃色の髪の少女に詰め寄る

「バルナルドの兄ちゃんには、後で絶対バレると思う・・・」

金髪碧眼のおさげの少女は苦笑しながら呟いた

カーリンとハインツは、その様子を見て呆れたような

視線を向けるだけに止めた

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