なんか可愛い所あるんだよな
次の日。鳥の声で目が覚めた。思いの外、この世界に慣れてきたようだ。
彼女はどうやら起きていないもようで、とりあえず外にでて伸びる。日も登り始めて霧もないことを確認して、畑へと移動してみた。
「おおう……とりあえず、雑草抜きからかな」
耕す前に、最低限抜かないと根っことかいろいろでてきそうだ。岩とか何故かある切り株も考えておかねえとな。
「よっし、やるか!!」
俺は気合をいれて、畑にしゃがみこんで雑草を根っこから抜き始めた――。
体感で1時間ほどたったころだろうか。そこまで大きくない畑、というか。雑草を抜いてもどうにもならないところを除いて作業してることを考えて半分ほど終わった。
ただ、さっきから少し視線を感じるんだよな。俺、こんなに敏感だったか?
少しその方向を見に行ってみる。近づいて行ったら、森のなかをガサガサと動いていった。
「……でっけえ足跡だな」
詳しくないから何かわからないけどよ。毛が落ちてたので拾っておく。聞けばわかるかもしんねえし。
「よし、続きだ続き!」
雑草抜き再開。
更に体感時間1時間経過したところで、気づいた。まだ起きてないのか?
日は結構高くなってきている。
外でドロとか土を念入りに落としてから、中に入る。リビングやキッチンにその姿はないのを見ると、あとは自室のほかない。
つまり寝てるか部屋で作業をしている。
ちょっと心配なのでノックしてみた。
「んぅ……」
中からすごい、うめき声じゃないけど萌える声が聞こえた。これ寝てたな。
「朝だぞ~。寝過ぎは体に悪いって言うぞー」
「うぅん……もう少し寝る」
「……へっ?」
まだ寝んのか。
「昼になりかねないぞー」
飯は正直どうでもいい。そんだけ寝てるのを放置していいか若干心配だった。
「うんー……」
その後、返事がなくなってしまった。仕方なく、扉に耳を貼り付けてみると寝息のようなものが聞こえた。
ガチで二度寝しやがったぞ、あの女。
「…………はぁ」
ため息を付いて、俺は外に戻る。
少しして使える部分の雑草抜きは終了して、俺は斧を持ちだした。農具の勇者の武具ならばもしかすると、と思って念じてみる。
「うおっ!?」
少し驚いたが成功した。斧は鍬へと姿を変えた。
「肥料とかはねえし、このさい仕方ねえ。前にも使ってたなら、土は悪くないんだろうから水平にまずは耕す」
そうつぶやき確認をして、鍬を振り下ろし始めた。
10分もしないうちに休憩をし始めた俺。
いや、雑草抜きの時にむしろよく持ってくれたと思うが、腰がすごい痛い。
「くっそ、機械の有り難みをひしひしと感じる」
体験つってちっちゃい畑は耕したけど、最終的にあん時も機械使ったしな。
「ん~!!」
畑は家の横だが、少し裏よりの位置にあるが、切り株に座って腰を叩いてたらそんな声が聞こえた。
少し隠れながら除いてみると、寝間着姿の彼女が伸びしていた。
二度寝からお目覚めしたようで、スッキリしている雰囲気を感じる。
「ん? そこでなにしてるのよ?」
「いや、畑の整備してたけど……いいのか、お前」
「……何がよ?」
「いや、女子ってそういう姿を他人に、それも男に見せるのは気にするんじゃねえかなって思って――」
俺はいっている途中の時点で察したのか、顔がトマトみたいに真っ赤になる。いや、ありゃゆでダコだな。
家の中に逃げるように入ってしまった。
「うぅん……とりあえず、この辺にしておくか」
なんか、やる気もちょっと削がれたというか、集中力がきれたしな。あとは少し待って、入っても良さそうな雰囲気になってから家に戻ることにしよう。
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