-3日目- 「無限タイムループ」
何の変哲もないいつも通りの朝だった。定刻通りにスマートフォンの目覚ましアラームを止めて、トーストを食べて、シャワーを浴びる。会社に行って、多少のミスをして(わたしは完璧なビジネスウーマンじゃない)その場限りしばらく凹む。そんな夜は、ビールから始めてワインのおかわりへのオーダーでスッキリ忘れて、翌日には持ち越さない。それが、毎日を其れなりに快適に過ごすためのわたしなりの流儀であった。そうしてさえおけば、よくある1日に過ぎない筈だったのだ。少なくとも、その日が終わるまでは、わたしはそう思っていた。そう、翌日朝、同じトラブルの連鎖が起きるまでは。
スタバを出て、まだ何をするかも決めることが出来なかったので、とりあえず山手線をぐるぐる回ってみることにした。目的もなく同じ毎日を繰り返している今の私にはお似合いの電車だなぁ。そんな皮肉めいた思いが頭をよぎって、我ながら虚しくなってきた。平日の昼間だけあって社内は座れるくらいに空いていた。いつ降りればいいのか自分でも判らなかったので、何となくドアの端に立って、ぼんやりと車窓の風景を眺めていた。線路を挟んだ向かい側のホームでは、列車の乗降客がそれなりに忙しそうにエスカレーターの出口を行き来している。こんなに暇を持て余してるのは私だけよねぇ。もはや、自己嫌悪の皮肉しか出てこない。
だが、ひとりだけ見つけた。グレイのブレザーの制服を羽織った女子高生が、ぽつねんとホームの端に立っている。あの子も私と同じく暇なのかしら?他に周りには同じ高校生らしき制服姿の女の子は見当たらなかった。
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