第4話 嬉し悲しき場所

僕達は、ドリーミアと出会った草原にいた。

どうやらドリーミアの魔法で塔へ戻れるらしい。

「では、行っきますよ♪」

ドリーミアの軽薄な声に笑うと・・・

「ここが・・・雲の上・・・!」

「綺麗・・・ですね。」

そこからは幻想的な光が差し込む

塔が見えた。

でも、少し、邪悪な力を放っていた。

「あれが・・・管理塔?」

「はい。では、最上階まで、転送します。

したらすぐバトルになるでしょう・・・

準備はいいですか!」

「「「「うん!!」」」」


.+*:゚+。.☆


「ま、まさかこんなにいるなんてっ!」

そういう風にレイナが叫んだ。

「こりゃぁボス・・・いますね」

シェインが呟く先には、待ち構える真っ黒な

悪魔が椅子に座っていた。

僕はドリーミアを横目で見た。

予想どうり、悪魔を睨んでいた。

「どきなさい!そこは代々女神が夢を見る場所よ!

貴方みたいな奴に座らせはしない!!」


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私の名はドリーミア

雲の上に住む夢の管理人

『女神』です。

普段はおっちょこちょいで、ドジな私でも、

やる時はしっかりやります。

こんにちは。

今私は、エクスさんと、

レイナさんとシェインさんと、タオさんと

肩を並べて、戦っています。

相手はすごく強いけれど、

皆さんがすごく強い。

私だって、魔法は使えるし、空も飛べます。

いざとなれば、この地球ごと

破壊するぐらいのパワーも持ってます。

そんなことしたら、悪魔が死ぬし、

思い出の場所が、灰も残らなくなって

すべて消えますが。

でも、今はそれより、肩を並べて、戦う方がいい。

とっても久しぶりなんです。

幼い頃に母を亡くした私は、

幼い頃から、母に魔法を教わっていました。

母はとっても強くて、とっても優しい魔法を使います。

優しい治癒魔法。

母が歌う歌には、いつも穏やかで、暖かく

包まれるように感じます。

私は一生懸命、母の魔法を覚えました。

最初は回復する人を定められなかったり、

魔力をすぐ消耗してしまい、全然できませんでした。


「そのせいで・・・私のせいで・・・」


すっごく小さく呟きました。

きっと誰にも聞こえてない。

あの時だって。母が亡くなった時だって

本当は私が治癒してあげれば良かった。

でも、その時、魔法は不完全だった。

私はその場に立っていました。

エクスさんやレイナさん

シェインさんやタオさんが

精一杯戦っているのに、

私は見ているだけ。何故かって?


怖くて足が、動かないんです。


とっても怖い。怖くてたまらない。

母の時のように、もしもの時に

治癒出来なかったらどうしよう。

そう思うととっても怖い。

泣きたい。母に慰めてもらいたい。


でも、目的はそれじゃない。


今は代々続く女神達の椅子を取り戻す。

落ち着いて目を閉じれば

皆さんがところどころ

怪我をしているのがわかる。

私は、目を閉じると、相手の傷を読み取れる

力を持っています。


今の治癒魔法状態は完ペキ。


私は母がくれた治癒魔法を

完璧に覚えました。


母の死んだ次の日に。


見せてあげたかった。私の治癒魔法を。

完璧に成長した私を。

輝いている私を。お母さんに褒めてもらいたかった。

『その歳で子供だなぁ』って

言われてもいい。だって子供のままだから。

まだまだ貴方に甘えたい。

私を見ていてもらいたい。

でも、いま、母が見ていてくれている気がする。

ならば、やるしかない。


エクスさんは

右肩と左膝に

かすり傷。それほど重傷ではないけれど、

放って置いたら、少し危険。


レイナさんは

左頬と右腕に

打撲。骨とかは折れてないけど、

すごく痛そう。かなり危険。


シェインさんと、タオさんは

怪我は今にところないけれど、

すごく体力を消耗している。

このままじゃ倒れるに違いない。


みんな、傷を負っている。様々な傷を。

心理的な傷の人もいるけれど、

私にはそれは直せない。

なら、心で見える傷を、

私は治すしかないって、そう思う。

私は皆の幸せを願い、そして歌った。

『女神の羊たちよ。安らかに包まれるのだ!』

私は優しく、はっきりと

治癒魔法を唱えた。

光が皆さんを包み込んだ。


私が目を開けると、

みなさんが、心で

『ありがとう』って言ってくれていた。

とっても嬉しい。

誰かの役にたてるのが。


足でまといかもしれないけれど、

私は、笑って、皆さんに輪の中に入った。


そして、悪魔へと立ち向かった。

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