第19話終章:神様の手帳

古惚けた窓辺と青く涼しい光

自分が畳の上に寝ていることに気づく

『ここは…』よろめきながら

立ち上がり、周りを見渡す。

弦が切れたまま使ってないギター

乱雑に見えて何処か統一感のある本棚

気に入ったラクガキ

だけを残している机

そして窓から入ってくる朝空と

潮の香り。

そうだ。僕の部屋だ。

『祐〜祐〜!学校の支度は〜?』

誰かの声など耳に入る訳もなく

ただ、今の今までのそれらを

受け入れる事が出来なかった。

『祐!聞いてるの?』

誰かが入ってくる

僕は返事をしないまま日の光だけで

照らされた部屋に佇んでいた。

『どうしたの?夢でも見ていた顔して』

誰か…っと云っても母なのだが

母が言うように

僕はそんな顔をしていたのだろう。

だから僕は、まんざらでもないように

『そうなんだ。夢でも見ていた

みたいなんだ。』とだけ答えた。

母は不思議そうな顔をして

『ちゃんと行くのよー』

とだけ云って部屋から出て行った。

僕も後を追うように部屋を出た。


木造二階建ての古い民家

その二階にある小さな部屋の隅

日の当たるアルコーブのその上に

置いてきた手帳。

友人かみさまが残したその手帳を

あと何年かかるだろうか

少しずつ読み解いていきたいな。

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