第14話鈍色の彼方

軽率だったろうか

無くしたモノに答えを

求めすぎていたのかもしれない。

優しく包んでくれた光は途切れ

今残るのはただ一人歩く彼女と

ぽっかり空いた大きな穴。





『おや、珍しい客だ…』

いつのモノかもわからない

色褪せた新聞から目を離して

メガネの青年は尋ねた

『お前は……あぁ…そうか』

少女が答える間もなく

あっさりと悟ったようだった。

『お前は…ここに来ない方がいい。寿命を縮めるだけだぞ?』

青年は、はっきりと言う。

『大丈夫…。あと、数日保てば…』

そうかと答えて、再び新聞を眺める。そして、思い出したように告げる。

『あぁそうだ。彼が今しがたここへ来たぞ。』


『…そう。』

彼女がそっけなく答える。

『彼は何て?』

『アレについてのヒントは与えてやった。だが、辿り着くかは五分五分だな。』

『そう…』

彼女は答えた。

そして青年は立ち上がり、伸びをしながら言った。

『お前はどう考えているかは、知らぬが、お前の##はもう######では#########。故にお前はもう…』

少しの静寂の後

振り返った彼女はこう答えた。

『もぅ〜知ってますよ〜(^ ^:

そ、の、く、ら、い❤︎』

青年はただ間を空け、また新聞を読み始めた。

少女の姿はとうに無く。

ただ寒空の駅にただ冬服の青年が

1人佇んでいた。

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