第6話依代

無益で希望のない労働以上に馬鹿馬鹿しく恐ろしい刑罰はない。


誰かが言った事だ。






僕は…死んだのか…?


僕は彼女に質問した。

さっきまで剽軽な顔をしていた

彼女が面食らっている。


しばらく”う〜ん…”と悩んだ顔をして彼女は答えた。

『大正解!(((o(*゜▽゜*)o)))』


しばらくの沈黙。


『あれ…?質問はないんですか?』

彼女は問う

『質問して、答えてくれるの?君が?』

『そりゃあもう!…はぃ…もう…(:^^)』

訝しい…

『じゃあ質問するけど…

ここは何処?』

彼女は俯いて考える

まともに取り合ってないな…

すると彼女は、

『さぁ?あの世とこの世の境とかじゃないですか?』

…”じゃないですか?”って…

『質問してるのはこっちなんだけど…』

すると彼女は

『だって〜私にも

わからないんですもん!(⌒-⌒; )』


もういい…

『じゃあ質問を変えよう、

僕は死んだんだよな?』

『はい(^^)』

彼女は答える。

『なんで僕はここで生きている?なんで…僕は2回も死んだんだ…⁉︎』

一番知りたかったことだ。

『うーん…それを説明するには

情報不足です。(^_^;)』

意外な反応だった。

『どう言うことだ⁉︎』

僕は尋ねた。

すると彼女は、

『…あなたは過去に大きな忘れ物を

しています。大きな、大きな。』

彼女の真剣な語り方からして

嘘ではないのだろう。

『なんだよ…?その忘れ物って…』


『それを私の口から話すことはできません。ただ、これはあなたの犯した罪に対する償いであり、罰なのです。』



僕はただ唖然としていた。

すると彼女はまた薄い笑みを浮かべこう語りだした。

『まぁ、そんな深く考えることじゃないですよ(笑)

ただ、あなたが過去に犯した無知故の大きな過ち、そしてその過ちがこの世界を歪ませる原因になってしまった…』

僕にはわからなかった。

『僕が…一体何をしたんだよ!』

そう言うしかなかった。


『それを私が言うことはできません。そーゆールールですから(^_^;)』


『ルールって…誰がそんな…』

すると彼女は

『さぁ?』

そっけない反応だ


しばらくの沈黙の後。

彼女の方から口を開いた。

『あなたの質問には答えれませんが、あなたを手助けすることくらいなら出来るつもりです!(^_^;)』


『手助けって何の…?』


僕には理解できなかった。

『ぇ〜もーー!じれったいなぁー!

この輪廻から抜け出す手助けですよー!』


『⁉︎輪廻⁉︎』


『じゃあなんて言うんです?このループを』


確かにそうだ、これは、このループは輪廻と呼ばれるものなのかもしれない。


だが。


『輪廻は生まれ変わることだろう⁉︎何故17歳のまま生まれ変わってんだ⁉︎まるで…入れ物だけが変わっていくみたいに…』


すると少女は目を輝かせ

『おぉ!鋭い!なかなかいい線いってますよ!』

どう云うことだ…?

『僕は他の人の身体を乗っ取ったのか…?』

彼女は軽い口調で答える。

『正確には、依代ってやつです。(^^)彼らはあなたの入れ物となり生涯を閉じたってことですね』

さっきまでの全てが…依代…

『さっきまでの身体…伊波修也は、僕じゃないのか…?』

『はい違います』

彼女はさらっと答える。

『じゃあ…高梨栞っていうのも…』

『あなたの依代です。』

やはりなのか…

僕はやはり、一時ではあるが高梨栞だったのだ。

僕は二度死…いや、高梨栞も依代なら三度以上死んでいるはずだ。

『高梨栞が依代というのなら…僕の本当の名前は…』

彼女に尋ねた

『それは、私の口では語れません。まずはそこからですね。』

『え…?』

『あなたの本当の名前が分かればあなたの過去が自ずとわかります。そうすれば、あなたが過去に犯した大きな過ちに気づけるはずです!』

確かにそうかもしれないが…

『最後に質問だ、僕は計三度以上死んでいる。だが僕が依代に移って一日も立たないうちに三度も死ぬなんて”運が悪い”なんてどころの話じゃない。これもなにか原因があるのか?』

すると彼女は

『それがあなたに対する罰ですよ。

この世界はあなたを殺し続ける。ただ淡々と。』

『それから逃れる方法は…?』

恐る恐る尋ねる。

『うーん…じゃあヒントをあげましょう!あなたが犯した罪。それはこの世界に一つの大きな矛盾を作ったことです。その矛盾を消せばあなたはこのループから解放されます!』

『矛盾…?それはどういう…?』

『それは言えません。ただし、明らかな矛盾です。しかしこの世界よ住人は誰もその矛盾に気付きません。いや、気づけません。それをあなたが解決させれば、自らの罪を自らの手で消したことになります。よってループから解放されるって感じです。』


だいたいの事は理解できた。


『最後に一つ。』


『またですかー?さっき最後ってー…』

彼女が怠そうに云う。


『君の、君の名前だ。君をなんと呼べばいい?』


彼女は少し意外そうな顔をして、悩むような素振りをし、こう答えた。


『どう呼んでくれても構いませんが……』

『クチナシ…昔はそう呼ばれていました。(^^)』

彼女がうすら笑う。

微かな憂いを帯びた目で。

『梔子…?白い花の綺麗な…』

そう問うた途端。

激しい頭痛に襲われた。


あ”あ”あ”!


頭がおかしくなりそうな

頭痛のなかで微かに聞き取れた。

彼女の言葉。




『…ーくん…ゆうくん。』




気がつけば僕はまたベッドの上に寝ていた。


今僕がだれかなんてどうでもいい。


僕はとにかく例の事件についての情報を集めることにした。






外は錦秋の候。


あの街に吹いていた凪はただ

懐かしく。


少し冷たい。





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