第46話 無量光
翌日早朝。二人はまだ暗いうちにホテルを出るとアンコールワットを目指した。
神秘的な光景が見られると評判の日の出を拝むためである。
中央回廊の横の池にはすでに多くの観光客が集まり、今か今かと祠堂の方角を眺めていた。
夜明けが進むにつれて赤みを帯びた空にアンコールワットの影が映し出される。
そして、厳かな静寂の中、息を呑むほどの来光がやってきた。
辺りから漏れる感嘆の声。
今ここが極楽。
नमोऽमिताभाय (ナモ・アミターバーヤ)
नमोऽमिताभाय (ナモ・アミターバーヤ)
無量光。(永久に無限の恵みをもたらす光明)
ただただ、カズさんと巡り会えた感謝しかない。
「仏様。私は、この身で生を受けた意味が分かりました。もう、自分の運命からは逃げません」
見違えるほどガタイが良くなった彼は、東京の面接会場で居合わせた「冴えない男」とはまるで別人だ。
その瞳には信念を宿している。
二度と繋いだ手を離さない。
この人と一緒に歩いて行こう。
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