第1008話

「師匠ぉおおおおおっ!!!!」


 ようやく口に出せたその言葉。

 それと共に、ノエルは理事長室を訪れた朝倉に飛びついたのだった――。


「おいおい、大げさすぎだろ。いや、連絡もなしに帰って来た俺も悪かったけどよ」


「師匠ぅうっ!! 師匠ぉおっ!!」


「なんだよお前、寂しかったのか? ったく、弟子取ったからもう師匠は要りません、なんて言ってたのに、ありゃ嘘だったのかよ!!」


「じゃなくって、じゃなくって――あぁっ!!」


「じゃなんだよ?」


 涙でぐしゃぐしゃになったノエル。そんな彼女を、包容力の無い胸の中に抱きこんで、朝倉はよしよしとあやしてみせる。

 薄い胸からは確かに――その心臓の鼓動が聞こえて来ていた。


「……お、おかえりなさい!! 師匠ぉっ!!」


「……おう。ただいま」


 師匠と弟子。

 やっぱり、二人揃っていなくっちゃ、厨二病は始まらないし終わらない。


 よく分からないって?

 仕方ないさ。


 ノリと勢いと不条理を捻じ曲げて格好良く片付ける。

 そしてどこまでもご都合主義で笑えるもの。


 それが、というものだから。


【厨二病の弟子 劇終】

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