第1007話

「……え?」


「西の果てに東の果て、北の果てに南の果て。理事会辞めたついでに、大陸を飛び出して世界中を行脚してみたけれどもよぉ。やっぱりいやしねえよ」


「……あ、え、うん?」


「大陸だけじゃ物足りねえ。どうするよノエル――世界最強になって帰ってきちまったが、それでもやるかい、師匠越えって奴を」


 窓から差す光に照らし出されて、その顔が不敵に笑う。


 担いでいたバックをその場にどすりと落とせば、ぴょんとノエルはその場に立ち上がった。何か言えよと言いたげなその視線に応えるためだ。


 うん、どうした、と、物珍しいモノでも見るような顔をするその女に――。


「し、し……」


「あんだよ。でっかくなったのに、そんなぐっしゃぐっしゃな顔して。胸のサイズばっかり大きくなって、まだまだ中身は子供のまんまか。このわがまま娘め」


「し、し、しぃ……!!」


「弟子取ったんだろ、しっかりしろよ、この鹿が」

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