第837話

 魂の源泉。

 そのただなかに合って、不変であり、輝き続ける何か――。


 それがもし、自分の弟子の中に宿っているモノの本質であったとするならば。


「……いえ、聞いた私が馬鹿でした」


「であるか」


「ディアボリクァだろうとなんだろうと、ノエルは俺の弟子です」


「人の理から外れている存在だとしても、それは変わらぬということだな?」


「もちろん」


「……聞くまでもないことであったな」


 師弟の間にある絆がどういうものであるか。

 それを一番よく知っているのは、彼女の直接の師であるパラケルススだ。


 もし、朝倉がノエルの立場だったとして。


 自分ならばどう言うだろうか。

 それを考えれば、まさしく彼が言った通りだ。


「俺はノエルを全力で守る。バケモノになんかさせません。させてたまるものか」


 それは、彼女を弟子に取った時から変わらないもの。

 朝倉が馬鹿なやり取りを続けつつも、ずっと胸に抱き続けてきた思い。

 それに違いなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る