第836話

「一つ、気になることがあるんだ」


「なんですの朝倉さん?」


「……ノエルのことについてだ」


 パラケルススと、その兄フラゥコンのことはさておいて。

 朝倉は、自分の弟子のことについて話を切り替えた。


 フラゥコンは、彼女の弟子であるノエルをして、ディアボリクァと呼んでみせた。

 その意図が、どうにも彼女は引っかかっていたのだ。


「もしかして、ノエルはその、フラゥコンが見たという、極彩色の輝きを持つディアボリクァなんじゃないのか?」


 沈黙が場を支配する。


 それは、あり得る話であると、暗にその沈黙は告げていた。

 パラケルススが目を瞑り、大きくその息を吐き出す。


「仮にそうだとして、クローデットよ、どうするつもりだ?」

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