第831話
風向きが変わった――というより、転機となったのはそのリーファの死である。
まだ年若かった彼女は、流行病にころりとやられて、そのまま帰らぬ人となった。
そして、その死により、彼らにとっての何かが大きく狂いはじめた。
「我らの師匠は、リーファの死を深く悲しんだ。そして、宮廷魔術師の地位を捨ててまでして、禁忌の研究へと没頭することになったのだ」
「……待ってください。つまり、魂の錬成ですか!?」
「いかにも」
「じゃぁ、師匠は巻き込まれただけじゃないですか」
「いや、ワシもフラゥコンも、師に志願してその禁忌に触れることにしたのだ」
かくして、三人の魔法使いは、冷凍保存したリーファの肉体にメスを入れた。
師は、その体の腐敗を取り除き、完全な肉体へと修繕を施した。
パラケルススは、魂の錬成に必要となる膨大な魔力を収集するための、高出力の魔力収集術式を編み出した。
そして、フラゥコンは……。
「魂の源泉へと至るための理論を確立させたのだ。後はそう、そこから、リーファのための魂を救い上げるだけでよかった」
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