師匠と師匠の師匠と師匠の兄
第827話
パラケルススの工房。
魔法協会の理事長を務めながらも、既に魔法研究の第一線から退いた彼。
過去に朝倉や南条達を育てた工房は既に娘に譲っており、自身はこじんまりとした小さな工房に移っていた。
その工房の中。
テーブルを挟んで、不肖の弟子二人。
朝倉と南条が、パラケルススに相対していた。
「師匠。あのフラゥコンって奴はいったい何者なんですか」
「朝倉さんから話は聞きました。なんでも師匠にそっくりだったと」
この三人が顔を突き合わせた理由はただ一つ。
魔法協会襲撃という強行に踏み切った仮面の集団。
その統率者であると思われる、鉄柵の魔法使いについて話を聞くためだ。
いつもは弟子たちに威厳を持って接するパラケルスス。
しかし、今日の彼にはそのいつもの威厳がなかった。
どこか憔悴しきった顔。
年相応というにしても、いささか沈痛な面持ちで、彼は弟子たちに頭を下げた。
「……すまぬな朝倉、それに南条。ワシの身内のことで迷惑をかけた」
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