第824話

「いや、落ち着いてもなにも、自分がやったと言っているんだから、そうなんだポン」


「ノエルたちは自白を強要もしてませんし。これもう、南条さんが犯人で問題ないんじゃないでしょうか?」


「……いいえ、師匠が犯人な訳ありません!! きっと何か深い理由があるのです!!」


 と、先ほどまでの、使命に燃える態度から一転。

 なぜか犯人をかばう方へと転じたカミュ係長。


 どうやら、彼女もまた役になりきれていないらしい。


「いや、深い理由もなにも、やったって言ってるんだから」


「このそこらへんに転がっていた、鉄バットで、パラケルスス老人の頭を殴打しましたのよぉ!!」


「……それなら、そこらへんに鉄バットが転がっているのが悪い!! 師匠は悪くありませんよ!!」


 いや。

 その理論はどう聞いてもおかしいだろう。


 そして、転がってるのもおかしいだろう。


 オチがどの方向に転がっていくのか、なんとなく見えた気がして、ノエルとポン子は額から汗を流したのだった。

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